1.コンスタンはどんな薬
1-1. コンスタンの作用
コンスタンはベンゾジアゼピン系に属する抗不安薬で、アルプラゾラムと呼ばれる有効成分を含んでいます。ベンゾジアゼピン系の薬は、中枢神経(脳)の神経細胞にあるGABA受容体に作用して、γ-アミノ酪酸(GABA)と呼ばれる神経伝達物質の働きを強め、睡眠導入(催眠)作用、抗不安作用、筋弛緩作用などをもたらします。
コンスタンにもこうした作用が認められるため、不安・緊張・抑うつ・睡眠障害などの改善を目的として処方されています。
1-1. 抗不安薬の中でのコンスタンの位置付け
ベンゾジアゼピン系の薬は作用時間の違いによって、短時間型、中時間型、長時間型、超長時間に分けられますが、コンスタンはこのうちの中時間型に分類されます。コンスタンの作用時間は12~24時間程度であり、比較的長い時間に渡って安定した抗不安作用や催眠作用を得ることができます。
2.コンスタンの服用について
2-1. コンスタンにはどんな副作用がある?
コンスタンの主な副作用は、眠気、ふらつき、めまい、だるさ、頭痛、倦怠感などです。また、稀に生じる重大な副作用として、薬物依存、痙攣発作やせん妄などの離脱症状、刺激興奮、錯乱、アナフィラキシー、肝機能障害、黄疸などがあります。眠気やふらつきなどは服用初期に現れやすい副作用ですが、服用を続けて行くうちに治まることも多いです。
ただし、こうした症状がいつまでも続くようであれば、薬が合っていない可能性もあるので、処方医や薬剤師に相談するようにしましょう。
2-2. コンスタンは眠気を引き起こす?
中枢神経(脳)のベンゾジアゼピン受容体にはω1とω2の2種類があり、ω1は鎮静作用や催眠作用を、ω2は抗不安作用や筋弛緩作用をもたらします。コンスタンは抗不安薬のため、これらの受容体のうち、主にω2に作用します。ただし、コンスタンはω2受容体に対する選択性が高いものの、ω1受容体に対してもわずかながら作用を有しています。
このため、コンスタンを服用するとω1受容体の作用によって眠気が引き起こされる可能性があります。眠気が出る程度には個人差がありますが、初めて服用される場合は特に注意を払う必要があるでしょう。また、コンスタンはこうした理由から、服用後に車を運転したり機械の操作をしたりすることが禁止されていますので注意してください。
2-3. コンスタンは飲み続けていても平気?
コンスタンを長期に渡って服用する場合は依存に対する注意が必要です。依存には、薬が無くなると心が落ち着かなくなる精神依存と、身体的なバランスが崩れて体調不良に陥る身体依存の2つがありますが、コンスタンではどちらの依存も発症する可能性があります。
また、コンスタンを飲み続けると身体がコンスタンの作用に慣れてしまい、今までと同じ量を服用しても効果が現れなくなる可能性もあります(耐性の形成)。コンスタンを長期服用する場合はこうした依存や耐性に注意を払い、気になる点や不安な点がある場合は医師や薬剤師に相談するようにしましょう。
2-4. コンスタンと併用注意の薬は?
コンスタンには併用に注意が必要な薬がいくつか存在します。まず、インジナビル(商品名:クリキシバン)などの抗HIV薬とコンスタンを併用すると、コンスタンの作用が強まって過度の鎮静や呼吸抑制を起こすおそれがあるため、併用禁忌とされています。あまり処方される薬ではありませんが、コンスタンを服用中の方は念のため頭に入れておきましょう。
また、コンスタンは、向精神薬など中枢神経を抑制する働きのある薬と一緒に服用すると眠気などが強く現れる可能性があるので十分に注意してください。これ以外にも、各種中枢神経抑制剤、イトラコナゾール、フルボキサミンマレイン酸塩、シメチジン、イミプラミン、デシプラミン、カルバマゼピン、ジゴキシンなどの薬もコンスタンとの併用には注意が必要とされています。現在、服用中の薬がある方は医師や薬剤師に薬の名前を伝え、コンスタンと一緒に服用できるかどうかを確認してもらいましょう。
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2-5. コンスタンはお酒と併用できる?
コンスタンの添付文書(製薬会社が作成した薬の説明書)には、コンスタンとお酒を併用すると「眠気、注意力・集中力・反射運動能力等の低下が増強することがある」と記されています。このようにコンスタンとお酒の併用は危険であり、思わぬ事故につながる恐れがあります。また、コンスタンとお酒を併用すると依存を生じやすくなるとも言われており、精神的にも悪影響を及ぼす可能性があるので、お酒との併用は避けるようにしましょう。
2-6. コンスタンの服用を中止するときの注意点
コンスタンを長期に渡って服用されている方が急に服用を中止すると、痙攣発作、せん妄、振戦、不眠、不安、幻覚、妄想等の離脱症状が現れる可能性があります。このような離脱症状は中時間型や長時間型のベンゾジアゼピン系の薬で起こしやすいとされているため、コンスタンについても注意が必要になります。服用を中止するときは体を慣らしながら少しずつ服用量を減らしていく必要があるため、自己判断で服用を中止せずに、医師の指示を仰ぐようにしてください。
3.コンスタンのジェネリック医薬品について
3-1. コンスタンのジェネリック医薬品と薬価の違い
コンスタンは武田薬品工業から発売されており、コンスタン0.4mg錠とコンスタン0.8mg錠の2種類の規格があります。薬価(1錠当たりの薬の値段)は2019年7月時点では、コンスタン0.4mg錠が8円、コンスタン0.8mg錠が13円に設定されています。また、コンスタンはそれぞれの規格に対して以下のジェネリック医薬品が発売されています。
アルプラゾラム錠0.4mg「トーワ」 (薬価:5.6円)
アルプラゾラム錠0.4mg「サワイ」 (薬価:5.6円)
アルプラゾラム錠0.4mg「アメル」 (薬価:5.6円)
アルプラゾラム錠0.8mg「トーワ」 (薬価:6.7円)
アルプラゾラム錠0.8mg「サワイ」(薬価:6.7円)
アルプラゾラム錠0.8mg「アメル」 (薬価:6.7円)
このように、コンスタンのジェネリック医薬品の薬価は横並びになっており、メーカー間では違いはありません。それではコンスタンをジェネリック医薬品に変更するとどのくらいお値段が安くなるのでしょうか?コンスタン0.4mgを1日3錠服用している方で、自己負担割合が3割の場合は一か月分の薬代は8円×3錠×30日×0.3=216円となります。これをジェネリック医薬品にすると、薬代は5.6円×3錠×30日×0.3=151円となるため、65円ほど安くなる計算になります。コンスタンは古い薬で先発品自体の薬価が安いため、ジェネリックに変更してもそれほど薬代は変わりませんが、薬価の高い薬ほどジェネリックに変更したときの値段の下げ幅は大きくなります。
3-2. 各ジェネリック医薬品の特徴
コンスタンのジェネリック医薬品は沢井製薬株式会社、東和薬品株式会社、共和薬品工業株式会社の3社から発売されていますが、どれも薬価は同じであるため、これら3つにおける差は無いと考えて良いでしょう。当然のことながらどのメーカーの薬も先発品と同じ有効成分のアルプラゾラムを同量含んでいるため効き目には違いがないと考えられます。
錠剤の大きさや重さにはメーカー間でわずかな違いがありますが、服用するうえではいずれも大差が無いといえるでしょう。このため、ジェネリック医薬品を希望する場合は、処方箋を持参した薬局に在庫のあるメーカーのものにしてもらえば問題ないでしょう。
3-3. ジェネリック医薬品を処方してもらうには
現在は医療費抑制の観点から国が主体となってジェネリック医薬品の使用を推奨する流れとなっています。このため、何らかの事情により医師が先発医薬品を指定する場合を除いて、患者さんの希望によりコンスタンをジェネリック医薬品に変更調剤してもらうことができます。ただし、コンスタンが処方された際に、処方箋の変更不可欄に医師によるチェック(☑)が記載されている場合は原則としてジェネリック医薬品に変更することはできません。
このような処方箋を発行された患者さんは診察時に医師にジェネリック変更について相談してみてください。また、医師に直接聞きづらいという人は、調剤薬局で薬剤師に相談すれば、その場で薬剤師が処方医に電話連絡して処方医の許可が出ればジェネリックに変更調剤してもらうことができます。
ジェネリック医薬品を希望することを毎回医療機関や薬局で伝えるのが面倒という方には、「ジェネリック医薬品希望カード」の活用をお勧めします。これは、日本ジェネリック製薬協会、協会けんぽ、市町村の国民健康保険などの各種団体が発行しているカードで、カードの表に「ジェネリック医薬品を希望します」と大きな文字で印刷されています。このカードを健康保険証、診察券、お薬手帳などと一緒に携帯し、病院や薬局の受付時に提示することで、常にこちらの希望を伝えることができます。
ジェネリック医薬品(後発医薬品)と聞くと、先発医薬品と比べて質が劣る粗悪品というイメージを持たれているかたもいらっしゃいます。しかし、こうした考え方はすでに過去のものであり、現代のジェネリック医薬品には当てはまりません。ジェネリック医薬品は承認審査にあたって、安定性や先発品との生物学的同等性を証明するための厳しい試験をクリアしており、先発品と変わらない効果を有することが科学的に確認されています。近年は自己負担や国民医療費の抑制に向けて、厚生労働省が率先してジェネリック医薬品の使用を推奨していることからも、ジェネリック医薬品は先発医薬品と同様に安心して使用することができると言えます。ただし、一部の外用薬(貼り薬や塗り薬など)では、先発品とジェネリック医薬品とで使用感に差が生じる場合もあります(お薬の効果は変わりません)。このため、外用薬をジェネリックに変更する際には薬剤師に相談すると良いかもしれません。