1.フェミニーナ軟膏とは?

陰部にかゆみやただれなどの症状があった場合、自分で治すことができたら、病院に行って恥ずかしい思いをしなくてもすみ、これほどありがたいことはありません。
フェミニーナ軟膏はそんな女性の悩みを解決してくれます。
ただ、どんなかゆみやトラブルにも対応できるわけではありません。
まずはフェミニーナ軟膏で対処できる症状をお教えいたしましょう。

 

1-1. フェミニーナ軟膏で対処できる症状

フェミニーナ軟膏の添付文書には「かゆみ・かぶれ・湿疹・虫さされ。皮ふ炎・じんましん・あせも・ただれ・しもやけ」(引用)と記載されていますので、一般的なかゆみ止めの塗り薬として使用が可能です。

 

とはいえ、製造元の小林製薬のHPには、陰部周辺という敏感な部分でも塗ることができる(粘膜以外)よう配慮していると記載されています。
では、陰部周辺にどのような症状が出たとき、フェミニーナ軟膏が効果的なのでしょうか?

 

・濡れていたり、汗が出ていたりしたことが原因のただれやかゆみ
・性状や色などに変化はないものの、おりものの増加などが原因によるただれやかゆみ
・生理中の経血が原因のただれやかゆみ
・下着や生理用ナプキンなどと陰部との接触によるただれやかゆみ
・トイレの後の拭き残しによるただれやかゆみ
・陰部周辺の過乾燥によるかゆみ
・タンポンや避妊具によるただれやかゆみ

上記のような症状が出たとき、一日5~6回塗ります。改善の兆しがなければ、医師や薬剤師に相談しましょう。

 

その他、フェミニーナ軟膏を塗った後、発疹、発赤、まぶれ、腫れなどの異常が見られた場合、フェミニーナ軟膏による副作用と考えられるため、即刻、使用を中止し、受診してください。

 

1-2. フェミニーナ軟膏では対処できない症状

●おりものの色や性状が通常よりも異なる場合
・湿疹やただれ、かゆみが強い場合
・下記の人はフェミニーナ軟膏を使用する前に医師や薬剤師に相談
(妊娠中、または妊娠の可能性がある方)
(これまでに飲み薬や塗り薬でアレルギー症状などが出たことがある方)
(病院のお薬を飲んでいる方)
(乳幼児)

ところで、膣カンジダという皮膚疾患をご存知ですか?
上記の「●」の文章ですが、膣カンジタの可能性を示唆しています。

2.フェミニーナ軟膏では膣カンジダを改善することはできない

膣カンジダも陰部の疾患であるためか、フェミニーナ軟膏で治ると考える方が多いようです。
しかし、添付文書の冒頭にはフェミニーナ軟膏は膣カンジタの治療薬ではないと記載されています。

 

2-1. 膣カンジタとは?

カンジダ菌は日常でも存在する常在菌で真菌(カビ)に分類されます。存在していても繁殖さえしなければ、無症状でいられます。

 

しかし、一旦、繁殖し始めると、その繁殖した部位特有の症状が出てきます。
膣であれば、おりものに変化が出て、かゆみなどが生じてきます。カンジダ菌はとくに湿気のある部位を好み、口腔につけば、口腔カンジダというわけです。

膣カンジダの症状は強いかゆみがあり、おりものの性状はカッテージチーズ状とかヨーグルト状、酒かすなどと表現されます。明らかに通常のおりものとは違います。

2-2. カンジダ菌が繁殖するときとはどんなとき?

健康体の膣内は常に酸性状態で、カンジダ菌はこの状態が一番繁殖しにくいといわれています。
そこに抗生物質の服用、妊娠出産などで常在菌のバランスが崩れると、急速にカンジダ菌の繁殖がはじまります。

 

また、糖尿病、あるいは風邪などの感染症、免疫抑制剤の服用、体力低下、ストレスなどで免疫力が低下した場合も、カンジダ菌は繁殖しやすくなります。
そのため、膣カンジタを予防するには清潔に保つだけでなく、体調管理がとても重要になってきます。

その他、膣カンジダは性病とは違いますが、性交渉で感染することもあるので要注意です。

2-3. フェミニーナ軟膏には膣カンジタの効能効果はない

まず、フェミニーナ軟膏の成分を見てみましょう。

フェミニーナ軟膏の成分

・リドカイン(局所麻酔剤:かゆみ止め)
・ジフェンヒドラミン塩酸塩(抗ヒスタミン剤:かゆみ止め)
・イソプロピルメチルフェノール(殺菌消毒剤)
・トコフェロール酢酸エステル(ビタミンE:血行を良くする)

 

イソプロピルメチルフェノールは厚生労働省の資料によると、主に細菌、いわゆる雑菌の殺菌効果はありますが、真菌に対しては「頻度不明」となっています。

 

要するに、真菌に効果ありと確実に判明していないイソプロピルメチルフェノールでは、膣カンジダの改善を期待することはできないということです。
フェミニーナ軟膏の添付文書の効能効果には当然ながら、膣カンジダの文字はありません。

 

しかし、膣カンジダに侵された陰部に潜む菌はカンジダ菌だけでなく、雑菌もたくさん存在しています。
そのため、イソプロピルメチルフェノールが入ったフェミニーナ軟膏をつけることで雑菌が減り、その上、フェミニーナ軟膏にかゆみ止め成分が入っていることから、症状が一時的に改善したように感じられてしまう怖れがあります。
このようなことが膣カンジダの徹底治療を遅らせ、重症化するきっかけをつくってしまいます。

 

また、カンジダ治療をしながら、ときにフェミニーナ軟膏を使用することがあれば、かゆみが止まることもあり、カンジダ治療で改善したのか、フェミニーナ軟膏で改善したのかわからなくなります。

 

というわけで、フェミニーナ軟膏は膣カンジダ治療には有効ではなく、治癒の判断を誤ってしまう可能性があります。
膣カンジダは、「フェミニーナ膣カンジダ錠」という薬が改善してくれます。

 

3.膣カンジダに効果あるフェミニーナ膣カンジダ錠


フェミニーナ膣カンジダ錠は、再発専用です。

3-1. 膣カンジダかも?と思ったら、まずは受診を

膣カンジダと思ってもそうではなく、別の疾患の場合もあり、正しい病名を知るためには病院で検査を受ける必要があります。
まずは、病院で完治させることが先決です。

 

3-2. 再発には、フェミニーナ膣カンジダ錠を

フェミニーナ膣カンジダ錠に含まれる有効成分は、オキシコナゾール硝酸塩というカンジダ菌の殺菌に有効な抗真菌剤です。

 

膣カンジダは医師の治療で完治できる疾患であり、膣の自浄作用によって自然治癒することもあります。その一方で、何かの拍子に再発しやすい疾患でもあります。
一度、膣カンジダに罹患した方は再発かどうかの判断ができます。フェミニーナ錠カンジダに限らず、市販されている膣カンジダ用の薬は全て「再発用」です。
フェミニーナ膣カンジダ錠は薬剤師の指導が必要な第一類医薬品であり、薬剤師は必ず再発かどうかを確認します。

 

ただ、再発といっても2カ月以内、あるいは半年以内に2回以上、再発している方は使用できません。また、おりものが膣カンジダのおりものの性状に似ず、異臭がある場合は使用を控え、受診しましょう。
また、15歳未満、60歳以上の方は使用できません。

 

4.フェミニーナシリーズの製品情報

フェミニーナシリーズを紹介します。

○フェミニーナ軟膏S
・第二類医薬品
・成分
リドカイン
ジフェンヒドラミン塩酸塩
イソプロピルメチルフェノール
トコフェロール酢酸エステル

○フェミニーナジェル
・第二類医薬品
・成分
リドカイン
ジフェンヒドラミン
イソプロピルメチルフェノール

○フェミニーナミスト
・第二類医薬品
・成分
ジフェンヒドラミン塩酸塩
イソプロピルメチルフェノール
ベンゼトニウム塩化物

○フェミニーナ腟カンジダ錠
・第一類医薬品
・成分
オキシコナゾール硝酸塩

5.まとめ


膣カンジタという皮膚疾患を通して、皮膚の状態を良好に保つためには体調管理も重要ということがお分かりいただけたと思います。
無関係のようですが、体の全てとつながっているのですね。


また、フェミニーナ軟膏とフェミニーナ膣カンジダ錠の併用はできませんが、違いをはっきりと把握して使いわけをしていけば、デリケートゾーンの不快な症状は改善できます。万が一、改善の兆しがなければ、まずは受診しましょう。



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