1.ロキソニン®SテープはスイッチOTC薬
ロキソニン®S外用薬シリーズはスイッチOTC薬として2016年に発売されました。
発売当初は、薬剤師からの対面の販売のみの要指導医薬品でしたが、その後2019年に第1類医薬品へ移行し、今回の安全対策部会において第2類医薬品に移行することが決定されました。
スイッチOTCとは、医療用医薬品として長期間使用され、安全性が充分に確認された上で要指導医薬品または一般用医薬品として販売が可能になったOTC医薬品のことです。
OTC医薬品のうち、要指導医薬と第1類医薬品は薬剤師が販売する義務があります。しかし第2類医薬品以降は、薬剤師の他に登録販売者も販売することができます。
今回、ロキソニン®S外用薬シリーズが第2類医薬品に引き下げられることで、更に手軽に購入することができるようになりました。
この章では、スイッチOTCが販売されてからの移行の流れや、OTCの分類に関して説明します。
1-1. 要指導医薬品から一般用医薬品への移行の流れ[1]
スイッチOTCが販売開始した後は、要指導医薬品として販売されます。販売開始から原則3年の製造販売後調査を経て一般用医薬品の第1類医薬品へ移行することができます。
その後、安全対策調査会やパブリックコメント、安全対策部会を経て医薬品のリスク区分の判断が行わます。結果1年ほどで、一般用医薬品の第2類または第3類医薬品と移行していきます。
1-2. OTC薬の分類
OTC医薬品は要指導医薬品と一般用医薬品に分類されます。一般用医薬品は副作用や、他のお薬との飲み合わせのリスク大きさに応じて、第1類・第2類・第3類医薬品に分類されています。それぞれ販売ができる専門家や情報提供の必要性などが決められています。[2]
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OTC医薬品分類 |
情報提供 |
対応する専門家 |
相談があった場合の応答 |
インターネット販売や郵送での販売の可否 |
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要指導医薬品 |
対面、文章での情報提供義務 |
薬剤師 |
義務 |
不可 |
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一般用医薬品 |
第1類医薬品 |
文章での情報提供義務 |
可 |
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第2類医薬品 |
努力義務 |
薬剤師または登録販売者 |
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第3類医薬品 |
不要 |
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2.ロキソニンS®テープが第2類医薬品になった経緯
2016年に要指導医薬品として発売された、ロキソニン®Sテープを含むロキソニン®S外用薬シリーズは2019年に一般用医薬品の第1類医薬品に移行しました。
第1類医薬品に移行するには、厚生労働省の薬事・食品衛生審議会薬事分科会の医薬品等安全対策部会安全対策調査会よって了承が必要です。
その後、2020年7月に薬事・食品衛生審議会医薬品等安全対策部会による専門家参加の審議によりロキソニン®Sテープなどのロキソニン®S外用薬シリーズが第2類医薬品に移行することが決定しました。
パブリックコメントには、ロキソニン®S外用薬シリーズを第1類医薬品から第2類医薬品に移行することに関しての賛成意見と反対意見が出されました。その一部をご紹介します。分かりやすくするため、原文の意味を変えない程度に一部加筆修正しています。[3]
賛成意見
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- そもそもOTCの分類目的はリスク別であるはずが、「第一類=よく効く」という認識を持つお客様が多く、他の選択肢があるにも関わらず第一類の商品に誘導すること目的として見えてしまう。
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- ロキソニンテープの効果および副作用については、他の NSAIDs 外用剤との大差はないと考えられ、結果としてより安価な第2類のフェルビナク製剤を勧めることもあるぐらい。
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- 同内服薬であるロキソニンS錠のパブリックコメントでも妊婦やアスピリン喘息等のリスク回避が重要と挙がりましたが、そのリスク回避は薬剤師でなくても登録販売者でも十分に担えます。
- 第1類医薬品に位置付けられることで販売可能店舗が限定され価格競争が生まれにくくなり、販売価格は上昇する傾向にあります。
反対意見
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- 処方されるロキソニンの外用剤を使用する外来患者の中には、貼付部位や、枚数が守れない人がいます。その消費する枚数には驚かされます。薬剤師による適切な指導が必要です。
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- 調剤薬局薬剤師です。ロキソニン錠剤が、妊娠末期のラットの実験で、胎児の動脈管収縮が報告されています。ロキソニンテープの様な貼付剤となると、体内に入る量は少ないとは思いますが、2類になると幅広く使えるようになり、漫然と使用される方も出てくると思います。万が一、妊娠後期にも貼って胎児の奇形が起こったら心配です。また、喘息も知り合いが亡くなっており、アスピリン喘息も心配です。2 類には反対です。
- ロキソニンは一般の方々にも周知され、良い薬ではありますが、近年長期連用による腎機能不全の報告がなされるようになり、我々整形外科医の間でもその処方については慎重になる動きが出ています。海外でも NSAIDsではなく、アセトアミノフェンを第一選択とする流れがあります。ですのでロキソニンはそのような事情を知った医師や薬剤師が管理するべき薬剤であると考えています。
3.ロキソニン®S外用薬シリーズの安全性
パブリックコメントを参考にし、整形外科領域の参考人の意見を踏まえて審議した結果、厚生労働省医薬・生活衛生局医薬安全対策課では以下の理由からロキソニン®S外用薬シリーズを第2類医薬品に移行することが妥当であると結論づけています。
- 調査期間中に報告された副作用には重篤なものはない
- 同等のリスクがあると考えられている、ジクロフェナクナトリウムなどの類似薬がすでに第2類医薬品で販売されている
また、2016年8月25日~2019年8月24日の期間で行われた副作用頻度調査において、ロキソニン®Sテープの副作用発現症例率は販売開始以降の累計で3.0%でした。[4]
接触皮膚炎、そう痒症、皮膚刺激などが主に報告されたロキソニン®S外用薬シリーズの主な副作用です。
また、ロキソニン®S外用薬シリーズの有効性については要指導医薬品としての審査の過程で確認されています。
以上の観点からも、ロキソニン®S外用薬シリーズを第2類医薬品に移行したとしても安全であると考えられます。
しかし、第2類医薬品に移行したとしても、続けて注意喚起を行うことが必要です。ロキソニン®S外用薬シリーズの添付文書には、5ー6日間使用しても症状が良くならない場合は、医療機関に相談する様に促したり、多く使い過ぎたりしない様に注意喚起されています。
4.ロキソニン®Sテープを正しく使おう
ロキソニン®S外用薬シリーズが第1類医薬品から第2類医薬品に移行し、薬剤師以外でも販売できることが決まりました。安全性や使用する人の利益等考えた上、妥当な結果だと考えられます。
第2類医薬品で手軽に買うことができる医薬品であっても、正しく使うことが重要です。以下にロキソニン®S外用薬シリーズの主な注意点をあげます。
- 1日の使用量、上限の量を守る
- 5ー6日で効果がなければ、続けて使用しない
- かぶれ等があれば使用を中止する
- 治療が必要なので骨折時には使用しない
- 15歳未満は使用不可
- 妊産婦・授乳婦の使用には注意する
医薬品は正しい知識の元、使用する様にしましょう。ロキソニン®S外用薬シリーズ使用して効果がない場合やかぶれ等がある場合は、早めに医療機関に受診することも必要です。
[1] https://www.mhlw.go.jp/content/11120000/000645363.pdf
[2] https://www.jsmi.jp/what/index2.html
[3] https://www.mhlw.go.jp/content/11120000/000645368.pdf
[4] https://www.mhlw.go.jp/content/11120000/000645365.pdf
