1.お薬手帳とはどういうものなのか

お薬手帳とは、どの医療機関でいつ、どのような薬をもらったのか、どのくらいの期間を服用したのかを記録するものになります。

お薬手帳には、他にもアレルギー歴、副作用歴、既往歴などの情報を記載するができます。

これらの情報は医師、歯科医師が治療方針を決める際には大きな情報源になります。

そして、各医療機関で処方されたお薬の飲み合わせについて、お薬手帳を元に薬剤師が確認していきます。

 

2.お薬手帳を持参することのメリット

2-1. 安くなる

以前、お薬手帳を持参しないことで会計が安くなるとニュースで取り上げられて、お薬手帳の持参率向上の妨げになっていました。

これを受けて、2016年4月からは「お薬手帳を6ヶ月以内に同一薬局に持参した場合に自己負担金額が安くなる」よう制度が変更されました。

 

お薬手帳の持参によって下がる金額は少額ですが、長い期間お薬をもらうことになる場合は、大きな差になってきます。

 

2-2. 飲み合わせを確認できる

お薬手帳の大きな役割の一つとしてはお薬の飲み合わせを確認できる事です。

お薬手帳の導入のきっかけになった事件としてソリブジン薬害事件というものがあります。

 

抗がん剤である5-フルオロウラシルを服用中の患者に、帯状疱疹に使われる抗ウィルス薬であるソリブジンが使われた事で5-フルオロウラシルの副作用が増強されてしまい、患者が亡くなってしまいました。

 

このようにお薬の組み合わせによっては有害なものになるものもありますが、病院や診療所同士で情報共有をしていない事が多いのが現状です。

 

お薬手帳を活用することで、全てのお薬についての情報を共有し、処方の安全性をあげる事ができるのです

 

2-3. 他の病院へ受診した時に情報伝達がスムーズになる

いつも受診している病院以外の病院に受診する場合、お薬手帳を出す事で医師は患者が飲んでいる薬を正確に把握する事ができます。

 

飲んでいるお薬と一緒に飲んでも問題ない薬を選ぶ事ができますし、過去に使って副作用を起こした薬剤やアレルギー歴、既往歴などを記載していると、それらを考慮した処方を選択する事ができますので安心してお薬を飲む事ができます。

また、血液をサラサラにするようなお薬を使っている方は、歯医者で抜歯する場合等に出血が止まらなくなる可能性があります。

そのため、歯医者でもお薬手帳を確認する必要があるのです。

 

2-4. 災害時にすぐに対応できる

1995年に起きた阪神淡路大震災の時には多くの病院、薬局も被災して多くの人が通常通りにお薬をもらう事が出来なくなりました。

 

当時このような緊急時には、処方箋がなくてもお薬手帳をもとにお薬を受け取ることができるようにして対応しました。

2011年の東日本大震災においても、津波で病院も薬局も流されてしまった被災地で、お薬手帳を元にお薬を受け取ることができました。

 

このようにお薬手帳は、災害時の備えという側面からも普及が進んでいます。

 

3.どんな人にお薬手帳が必要か

3-1. お子様

お子様が小さい時は、夜間に急な発熱などで救急診療に受診される事も多いでしょう。お薬手帳があると様々な情報を確認する事ができるので迅速に対応ができます。

 

また、旅行や帰省など普段利用していない病院や薬局を利用する際にも、お薬手帳の情報を元に処方薬を検討できるメリットがあります。

 

一見、薬と関係無いように思える食物アレルギーでも、風邪薬に使われるリゾチームは卵由来で、卵アレルギーには禁忌になります。薬剤の添加剤にもトウモロコシデンプンなどの食物由来のものが使われている事があります。

 

そのため、食物アレルギーがある場合にはお薬手帳に記載しておくといいでしょう。

特に食物アレルギーが起きる可能性の高い小児期には注意が必要です。

 

3-2. 持病がある

年齢を重ねると高血圧や糖尿病などの生活習慣病にかかる確率も上がってきますし、そのほかにも持病を抱える割合が高くなってきます。

 

生活習慣病や慢性的な病気になると長期的、あるいは生涯に渡ってお薬を服用することもあります。年齢に伴って、お薬の種類も増えてくることはよくありますし、受診する医療機関が増えてくることもあります。

 

服用する薬が増えてくると、その分飲み合わせが合わないリスクも増えてきます。

 

急な腹痛や風邪の時にも飲んでいるお薬をすぐに確認できるため、お薬手帳を活用するメリットは大きくなります。

 

3-3. よく病院で受診する

持病がなくても風邪をひきやすい、お腹が弱くてよく病院を受診される場合や歯医者によく行く方は、飲むお薬が重なってくる可能性もあるのでお薬手帳が必要になってきます。

 

例えば、花粉症で抗アレルギー薬をもらっていが歯医者で鎮痛薬ももらっているという場合には、医師もお薬手帳を活用する事で飲み合わせを確認できます。また併用薬など治療の上で正確な情報をすぐに判断をする事ができます。

 

抗生剤や鎮痛剤などではアレルギーなど副作用を起こす方もいますが、お薬手帳にアレルギー歴と副作用歴を記入しているとそれらの薬剤が処方されることも防ぐ事ができます。

 

4.若くて持病もない人にもお薬手帳は使える

特に持病もなく、病院とは縁の薄い若い人にもお薬手帳は使えます。

 

お薬手帳に過去のアレルギー歴、副作用歴を記載していると、急に医療機関を受診した時だけでなく、ドラッグストアで市販薬やサプリメントを購入する場合にもリスクを減らす事ができます。

 

市販の風邪薬に含まれるリゾチームは卵白から抽出されたものなので、卵アレルギーの方が使うと重篤なアレルギーを起こしてしまう可能性があります。

 

サプリメントの中にも食物アレルギーを引き起こす可能性がある食物を原料としたものもあり、注意が必要です。

市販薬やサプリメントでも使用にはある程度のリスクがありますが、お薬手帳を活用する事で安全に使う事ができます。

 

5.いつも同じお薬なのにお薬手帳がいるのか

定期的にお薬をもらっている人の中には、お薬手帳のシールを毎回貼る必要があるのかという疑問を持たれる方もいます。

お薬手帳に毎回シールを貼る事で現在も服用しているのかどうかを確認できるのと、どれぐらいの期間、どのような薬を飲んでいたのかで治療の方針が変わることも考えられます。

 

例えば、お薬手帳を貼っている頻度と処方日数からお薬を毎日飲むことができていない可能性があるので、患者さんに確認することもできます。

 

お薬をきちんと飲むことができていない場合には服用回数が少ないお薬を検討する事もできます。

 

6.まとめ

お薬はどうしてもリスクを伴うものですが、きちんとリスクを理解できている人はあまり多くありません。であっても、健康で若い人であっても、市販薬で風邪薬を買ったり、サプリメントを使ってみたりと、薬を使用する機会があります

お薬手帳を活用する事で、同じような薬を重複して飲むことだけでなく、副作用やアレルギーを引き起こす可能性がある薬の処方を防ぐことができます。

 

お薬を安全に使用する事ができるようになりますので、皆さんも是非病院や薬局にお薬手帳を持参してみてください。