1.ソラナックスの適応について

ソラナックスのような、俗に言う「気持ちを落ち着かせる薬」というのは精神科、心療内科といったメンタル系の診療科のみならず、消化器科、婦人科など、様々な診療科からもよく処方されます。

例えば、消化器科であれば、消化性潰瘍、過敏性腸症候群、機能性胃腸症などの疾患に使われます。

婦人科であれば、更年期障害、月経前症候群、自律神経失調症などに使われます。

 

ソラナックスの適応症を見ると、「心身症(胃・十二指腸潰瘍、過敏性腸症候群、自律神経失調症)における身体症候ならびに不安・緊張・抑うつ・睡眠障害」となっており、ストレスが関係する心身症に適応があります。

 

ソラナックスなどのベンゾジアゼピン系の薬が頻用されるのは、それだけ病気の原因として「ストレス」が多いということです。現代社会はストレス社会なのです。

私も多くのストレスを抱えておりますので、薬でストレスが軽減されるのであれば飲んでみたい気もします。しかし、メリット(効果)もあればデメリット(副作用)もあるのが薬です。

 

次に、ソラナックスの注意すべき副作用について挙げていきます。

 

2.ソラナックスは眠くなる?

2-1. ソラナックスの副作用

まず、ソラナックスの添付文書上の副作用を列挙すると、

 

・依存性、離脱症状、刺激興奮、錯乱、呼吸抑制、アナフィラキシー、肝機能障害、黄疸、眠気、めまい・ふらつき、頭痛、不眠、眼症状(霧視・複視)、構音障害、焦燥感、神経過敏、振戦、健忘、尿失禁、AST(GOT)、ALT(GPT)の上昇、γ-GTPの上昇、動悸、血圧降下、口渇、悪心・嘔吐、便秘、腹痛・腹部不快感、食欲不振、下痢、発疹、そう痒、光線過敏性反応、脱力感・倦怠感、筋弛緩等の筋緊張低下症状、発汗

 

とまあ、様々な副作用があって一般の人がみると怖く感じるかも知れませんが、大抵の薬には、このくらいの種類の副作用はあって、滅多に出ない副作用も記載されています。

 

2-2. ソラナックスの特徴的な副作用である眠気

ベンゾジアゼピン系薬に特徴的な副作用としては、まず「眠気」があります。

 

ソラナックスはベンゾジアゼピン系抗不安薬に分類されますが、ベンゾジアゼピン系薬には睡眠薬もあり、ハルシオンやレンドルミンといった眠気の強いベンゾジアゼピン系薬は睡眠薬として使われます。

 

ソラナックスの適応症にも「睡眠障害」とあるので、「眠気」は副作用なのか作用なのかわかりづらいところもありますが、一般的には、夜の眠気は薬の効果であり、日中の眠気は薬の副作用となります。

 

最近は高齢者による自動車事故が社会問題になっていますが、ソラナックスのような薬を飲んで運転するのも危険な行為です。

 

ソラナックスの添付文書にも「眠気、注意力・集中力・反射運動能力等の低下が起こることがあるので、本剤投与中の患者には自動車の運転等危険を伴う機械の操作に従事させないように注意すること。」と、服用中は運転禁止を求めています。

 

しかし、私が住むような東北のド田舎で「運転禁止」と言われても、困り果てるおじいちゃんおばあちゃんが多いのが実情です。

取り返しのつかない事故を起こすことのないよう、車を運転する必要のある方は、眠くなるソラナックスなどのベンゾジアゼピン系薬は飲まないようにすべきです。

 

3.ソラナックスを服用しているとクセになる?

ベンゾジアゼピン系抗不安薬を作用時間ごとに分類すると以下のようになります。

 

・短時間型(半減期約3~6時間) :クロチアゼパム(リーゼ) 、エチゾラム(デパス) 、フルタゾラム(コレミナール)

・中間型(半減期約12~20時間) :ロラゼパム(ワイパックス) 、アルプラゾラム(ソラナックス、コンスタン) 、プロマゼパム(レキソタン、セニラン)

・長時間型(半減期約20~100時間) :ジアゼパム(セルシン、ホリゾン) 、クロキサゾラム(セパゾン) 、フルジアゼパム(エリスパン) 、クロルジアゼポキシド(コントール、バランス) 、オキサゾラム(セレナール) 、メダゼパム(レスミット) 、メキサゾラム(メレックス) 、クロラゼプ酸二カリウム(メンドン)

・超長時間型(半減期100時間以上) :ロフラゼブ酸エチル(メイラックス) 、フルトプラゼパム(レスタス) 、プラゼパム(セダプラン)

 

作用時間の短いものは、即効性が期待できる半面、薬を止めようとすると離脱症状を起こしやすいという特徴がある。

逆に作用時間の長いものは、持ち越し効果(ハングオーバー)を起こす可能性が高く、翌日まで眠気、ふらつき、頭痛、頭重、倦怠感、脱力感などを残すことがある。

昔は、体内から早く消失するデパスのような短時間型の薬剤が好んで使われていたが、逆に離脱症状、依存性を起こしやすいため、今はワイパックスやソラナックスのような中間型の薬剤のほうがよく見ます。

ソラナックスのような中間型ベンゾジアゼピン系抗不安薬は離脱症状を起こしにくく、癖になりにくいと言えます。

 

4.服用を続けているとバカになる?

ベンゾジアゼピン系薬の副作用で「ボケる」と言われることがありますが、認知症を進行させるということはありません。

ただ薬が効いている間のことを覚えていない、ということはあります。

ソラナックスの副作用にも「健忘」とあります。

 

しかし、ベンゾジアゼピン系薬には手術による恐怖や不安を和らげるため、麻酔前、手術前夜の服用が適応となっているものもあり、手術中のできごとなどが記憶に残らないことがかえって有利に作用することもあります。

 

ベンゾジアゼピン系薬は、海馬を中心に分布しているベンゾジアゼピン受容体に結合して、抗不安作用、催眠・鎮静作用を引き起こす薬です。海馬は、記憶を司る脳領域でもあるので、記憶機能も抑制してしまうのではないかと考えられています。

このように書くと、ソラナックスを飲むと記憶力が悪くなる、バカになるという誤解を生みそうですが、何事もバランスが重要であることは言うまでもありません。

飲んでから眠るまでの間、中途覚醒時の出来事を覚えていない、などの健忘症状があれば、減量、薬の変更といった対応が求められます。

 

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5.ソラナックス服用中はお酒を飲んじゃダメ?

以上、ソラナックスの副作用についてお話しさせて頂きましたが、最後にこれらの副作用を助長してしまう飲酒、アルコールとの相互作用について付け加えます。

 

添付文書にも、併用注意に「アルコール(飲酒)」とあり、中枢神経抑制作用を増強してしまうので、眠気、注意力・集中力・反射運動能力等の低下が増強することがあります。

 

眠れない人が寝酒として飲酒することもありますが、依存性や記憶障害はベンゾジアゼピン系よりもタチが悪いでしょう。

 

6.まとめ

今回は、ベンゾジアゼピン系抗不安薬のソラナックス(アルプラゾラム)の副作用についてお話しました。

ソラナックスのような抗不安薬を「長い間飲み続けていて大丈夫だろうか?」という不安を漠然と抱いている人も多いかと思います。用量の上限が設定されているという点では、お酒よりも長期服用の安全性は高いと言えます。

 

副作用に対する正しい認識と理解を深め、薬の効果を最大限に発揮し、QOL(クオリティオブライフ:生活の質)を改善する一助になれば幸いです。