1.ARBにはどんなお薬があるの?

まずは、どんなお薬があるのか、確認してみましょう!
※ここでは商品名を「新薬(先発医薬品)」の名称で記述していますが、昨今、多くのジェネリック医薬品が出ているため、名称が様々あります。この一覧に該当医薬品がない場合や、ご不明な場合は、薬剤師に相談してみましょう。
一般名(成分名)       商品名
バルサルタン        ディオバン®
ロサルタンカリウム     ニューロタン®
カンデサルタンシレキセチル ブロプレス®
テルミサルタン         ミカルディス®
オルメサルタン メドキソミル  オルメテック®
イルベサルタン         アバプロ®、イルベタン®
アジルサルタン         アジルバ®

2. どのように体の中ではたらいて、血圧を下げるの?

(1)アンジオテンシンⅡとは?(前回の復習)

前回、「アンジオテンシンⅡ」という物質が、血液の循環をバランス良く保てるように重要な働きをもっているというお話をしました。アンジオテンシンⅡには、血管を収縮し、強力に血圧を上げる作用や、循環する血液を増やし、血圧を上げる作用があります。

(2)アンジオテンシンⅡが作用を発揮するには?

アンジオテンシンⅡは、受容体にくっつくと、初めてその効果を発揮することができます。(実際には、受容体には「AT1受容体」と、「AT2受容体」の2種類があり、主に血圧上昇に関わるのは、AT1受容体となります。)逆を言えば、受容体にくっつくことができなければ、アンジオテンシンⅡの効果は発揮されない、ことになります。

(3)ARBは、アンジオテンシンⅡの作用をおさえ、血圧を下げる

ここで、ARBの出番です。正式名称は、アンジオテンシンⅡ受容体拮抗薬。字のごとく、ARBは、受容体に作用し、アンジオテンシンⅡが受容体にくっつくことを邪魔します。そのため、アンジオテンシンⅡの作用である、血圧上昇を引き起こす作用を抑え、結果的に血圧を下げることができます。
(※ARBは、血管収縮に関わるAT1受容体に選択的に作用します)

3. どんな副作用があるの?

ARBの種類によっても様々ですが、主な副作用は、「めまい、ふらつき、頭痛、浮腫、高カリウム血症」などがあります。ここに記した副作用がすべてではないので、気になる症状が出た場合は、医師または薬剤師に必ず相談しましょう。

4. 注意が必要なこと

妊婦、授乳婦の服用は禁止されています。また、心臓疾患、腎障害、肝障害をお持ちの方は注意が必要となります。必ずかかりつけの医師、薬剤師にその旨を伝えましょう。

5. おわりに

高血圧のお薬の1つであるARBについて、どのように体の中で作用しているのか分かりましたでしょうか?簡単におさらいしますと、ARBは、血圧を上昇させる物質(アンジオテンシンⅡ)が受容体に作用することを妨げます。ARBは、副作用が少なく、効果も期待できるため、その他の高血圧のお薬と併用して、処方されることが多いお薬です。ぜひ、ご自分の飲んでいるお薬を調べてみましょう。

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