1.ゾピクロンはどんな薬

1-1. ゾピクロンの作用

ゾピクロンは短時間作用型の睡眠薬です。

先発品としてアモバン錠が発売されており、ジェネリック医薬品も各社から発売されています。ゾピクロンは、中枢神経(脳)の神経細胞にあるGABA-A受容体に作用して、γ-アミノ酪酸(GABA)と呼ばれる神経伝達物質の働きを強め、睡眠導入(催眠)作用をもたらします。

 

1-2. 睡眠薬の中でのゾピクロンの位置付け

睡眠薬は、作用時間の違いによって超短時間作用型、短時間型、中時間型、長時間型、超長時間に分けられますが、ゾピクロンはこのうちの超短時間作用型に分類されます。服用後30~60分程度で効果のピークが現れ、通常は3~4時間程度で効果が消失します。このため、翌日に眠気やふらつきなどが残る可能性が低く、睡眠薬の中では比較的安全な部類になります。睡眠薬の多くはベンゾジアゼピン系と呼ばれる分類に属しますが、ゾピクロンは非ベンゾジアゼピン系睡眠薬と呼ばれ、ベンゾジアゼピン系睡眠薬とは異なる化学構造を持ちます。

 

このため、ゾピクロンには筋弛緩作用が少なく、耐性や依存性も形成しにくいというメリットがあり、高齢者などにも処方されることが多いです。また、ゾピクロンには即効性があるため、布団に入っても中々寝付くことができないという入眠障害型の睡眠障害に適しています。ただし、ゾピクロンは作用時間が短いため、夜中に目が覚めてしまう中途覚醒型の不眠には向かないことには注意が必要です。

2.ゾピクロンの服用について

2-1. ゾピクロンの服用に注意が必要な人

以下に該当する人はゾピクロンが服用できないまたは慎重に服用する必要があるため、医師にご自分の状態をきちんと伝えて指示を仰ぐようにしましょう。

【ゾピクロンが服用できない人】
・ゾピクロンまたはエスゾピクロンに対して過敏症を起こした経験のある人
・重症筋無力症に罹っている人
・急性閉塞隅角緑内障の人
・肺疾患や気管性喘息などで呼吸機能が高度に低下している人

 

【ゾピクロンを慎重に服用する必要がある人】
・衰弱している人
・高齢の人
・心臓に障害のある人
・肝障害、腎障害のある人
・脳に器質的障害のある人

2-2. ゾピクロンの副作用

ゾピクロンの主な副作用には、にがみ、ふらつき、眠気、口渇、けん怠感、頭重、頭痛、嘔気、不快感、めまいなどがあります。また、稀に生じる重大な副作用として、依存性、呼吸抑制、肝機能障害、精神症状、意識障害、一過性前向性健忘、もうろう状態、アナフィラキシーが報告されています。服用後に何らかの異常が見られた場合は医師や薬剤師に相談するようにしてください。

 

2-3. ゾピクロンの長期連用について

ゾピクロンは非ベンゾジアゼピン系の睡眠薬に分類されるため、従来のベンゾジアゼピン系の睡眠薬と比較すると長期服用による依存などの副作用は生じにくいとされています。

ただし、依存が生じる可能性が全く無いわけではないため、服用に際しては医師の注意をきちんと守り、自己判断で服用量を増やしたりすることは慎んでください。また、ゾピクロンを長期服用している方が急に服用を止めるとその反動で大きな不眠が生じる可能性もあるため(反跳性不眠)、減量する場合は医師と相談しながら服用量を減らしていくようにしましょう。

 

2-4. ゾピクロンと併用注意の薬

ゾピクロンは以下に挙げる薬と併用すると、互いの薬の作用に影響を与える可能性があるため注意が必要です。現在服用中の薬がある方は必ず医師や薬剤師に薬の名前を伝え、指示を仰ぐようにしましょう。

 

・筋弛緩薬
・中枢神経抑制剤(統合失調症やてんかんの薬)
・薬物代謝酵素CYP3A4を誘導する薬(リファンピシンなど)
・薬物代謝酵素CYP3A4を阻害する薬(エリスロマイシン、イトラコナゾールなど)

 

またゾピクロンは、市販の風邪薬や鼻炎薬など抗ヒスタミン成分を含む薬と一緒に服用すると、眠気、めまい、ふらつきなどが強く生じる可能性もあります。こうした薬を購入する際は薬剤師や登録販売者に相談するようにしましょう。

2-5. ゾピクロンとお酒の併用

ゾピクロンとお酒はどちらも中枢神経抑制作用があるため、これらを併用することで通常より強い眠気やふらつきが現れる可能性があり危険です。また、ゾピクロンをお酒と併用することで依存を生じやすくなるとも言われているため、併用は避けるようにしましょう。

 

3.ゾピクロンの苦みについて

3-1. 苦みが生じる原因

ゾピクロンには他の睡眠薬と違って苦味という独特の副作用があります。ゾピクロンの苦味は体に直接害を及ぼすものではありませんが、精神的に苦痛を感じる方もいらっしゃいます。また、ゾピクロンの苦味は服用時だけではなく、翌朝目が覚めた時にも感じることがあります。患者さんの中には「ゾピクロンを多めの水で素早く服用したにも関わらず、なぜか後から苦味が出てきた」と不思議に思っている方も多くいらっしゃいます。

 

これは、消化管から体内に吸収されたゾピクロンが、唾液と共に再び口内に分泌されることによるものです。このため、いくらゾピクロンを素早く飲み込んでも、服用してから一定の時間がたつと口内に苦みを感じてしまいます。苦みを感じる程度には個人差があり、ほとんど気にならない人もいれば、大きな苦痛を感じる方まで様々です。

 

3-2. 苦味への対処法

ゾピクロン服用後の苦味を完全に消す方法は残念ながら存在しません。

 

苦味を消すためにガムをかんだり飴を舐めたりする方もいますが、ガムや飴は口内での唾液の分泌を促進するため、より多くのゾピクロンの成分が唾液と共に分泌されてしまい、苦みが強まる恐れがあります。どうしても苦味が我慢できない場合は医師に相談して、ゾピクロンの服用量を減らすか、類似した作用をもつ別の薬に変更してもらうことをお勧めします。

 

ゾピクロンの類似薬ルネスタについて
ゾピクロンの類似薬にルネスタと呼ばれるものがあります。ルネスタはゾピクロンの改良版として位置づけられており、ゾピクロンと比べて優れた入眠作用をもたらす一方で、苦みの副作用については頻度が少ないとされています。薬価はゾピクロンと比べて高くなりますが、ゾピクロンの苦味の副作用が気になるという方はルネスタへの切り替えについて処方医の先生に相談してみるといいかもしれません。

 

4.まとめ

ゾピクロンは従来のベンゾジアゼピン系の睡眠薬と比べて、筋弛緩作用や依存症などのリスクが少なく、使い勝手の良い睡眠導入剤と言えます。その一方で苦味という独特な副作用もあります。苦味については身体に有害な作用を及ぼすわけではないため、それほど気にならない方であればそのまま服用を続けていただいて構いません。

 

ただし、どうしても苦味が気になるという方は、医師に相談して類似した作用を持つ別の薬への変更などを相談してみると良いでしょう。