1.ジフラールとは?

1-1. ジフラールの成分と作用

ジフラールは、「ジフロラゾン酢酸エステル」と呼ばれる有効成分を含むステロイドの塗り薬です。

 

副腎皮質ステロイド製剤には強力な抗炎症作用、免疫抑制作用、血管収縮作用などがありますが、ジフラールなどの外用ステロイド製剤は主にこのうちの抗炎症作用を期待して用いられています。

 

ジフラールには、ジフラール軟膏 0.05%とジフラールクリーム 0.05%の2種類の剤型があり、患部の状態や広さなどによって使い分けられます。

 

1-2. ステロイド塗り薬の強さとは?その中での位置付け

外用の副腎皮質ステロイド製剤には数多くの種類があり、それぞれ炎症を抑える強さが異なります。

 

各ステロイド製剤は抗炎症作用の強さによって5段階でランク付けされており、強い方から順に、I群(ストロンゲスト)、II群(ベリーストロング)、III群(ストロング)、IV群(マイルド)、V群(ウィーク)と呼ばれます。ジフラールはこの中でもI群(ストロンゲスト)に分類されており、非常に強い作用をもつ薬であることが分かります。

 

1-3. どんな皮膚トラブルに使用できる?

ジフラールは皮膚表面の炎症やアレルギーを抑える力がとても強く、アトピー性皮膚炎、湿疹、手荒れ、乾癬、虫刺されなど様々な炎症性の皮膚トラブルに用いることができます。I群(ストロンゲスト)のステロイドに分類されており、腫れや痒みなどの症状を大きく改善させる効果があるため、主に中等度~重度の症状に用いられます。

 

2.ジフラールの正しい使用方法(注意点)

ジフラールは最も作用が強いランクのステロイドに分類されるため、正しい使用方法を守ることが非常に大切になります。特に以下にご説明する点についてはしっかりと頭に入れておきましょう。

 

2-1. 原則として顔・首や陰部には塗らない

人間の皮膚は場所によって厚みが異なっており、外用薬を塗布したときの吸収量も様々です。

中でも、顔、首、陰部などは薬を非常に良く吸収する場所として知られており、その他の場所と比べて薬を塗布したときの効果がとても強く出ます。

ただでさえ最強クラスのステロイドであるジフラールをこれらの場所に塗ると効果が強く出すぎて、副作用を起こすリスクも高まってしまいます。このため、医師から特別の指示を受けた場合を除いて、これらの部位には塗らないようにしましょう。

 

2-2. 症状が出ている部位にのみ塗布する

ジフラールは激しい炎症が起こっている部位には高い効果を発揮しますが、作用が強い薬のため、できるだけ患部に限定して使用することが副作用のリスクを抑えるうえで大切になります。無意味に広範囲に塗るのではなく、必要最小限の部位に絞って塗ることを心掛けてください。

 

2-3. 塗る期間は必要最小限に留める

重症のアトピー性皮膚炎など一部の疾患を除けば、ステロイドは漫然と使用し続ける薬ではありません。まして、最強クラスの作用があるジフラールの使用は症状が良くなるまでの最短期間に留める方が良いでしょう。

 

2-4. 塗る量の目安をきちんと守る

ステロイドに限らず軟膏やクリームなどの塗り薬は、正しい塗布量の目安を守らず自分の感覚に頼って塗られている方が非常に多いです。強い効果を期待するあまり必要以上の量を塗布すると副作用を起こすリスクが高まります。

 

逆に副作用を恐れて極端に少ない量しか塗布しなかった場合はほとんど効果が得られずに症状が悪化してしまいます。このような事態を避けるためにも、以下に説明する一般的な塗り薬に共通する塗布量の目安についてはきちんと理解しておくようにしましょう。

 

軟膏やクリームなどの塗り薬はおよそ0.5g分で、成人の手の平2枚分の広さに塗ることができます。

 

0.5gとは、チューブに入った軟膏やクリームであれば、大人のひと指し指の先から第一関節まで一直線に中身を絞り出した時の量と大体等しく、これを1FTU(フィンガーチップユニット)と言います。

 

この目安を覚えておけば、わざわざ塗り薬を測り取らなくても、使用時に人差し指の先端に出すことでおよその塗布量を把握することができます。また、塗り薬がチューブではなく、軟膏壺のような容器に入っている場合は、およそ小豆1粒大の大きさが、成人の手の平2枚分の広さに塗れる量に相当するため、こちらも併せて覚えておくと良いでしょう。

 

ジフラールについても、このように正しい塗布量の目安を守って使用すれば、副作用のリスクを抑えながら最大限の効果を引き出すことができるでしょう。

 

2-5. 妊娠中・授乳中の使用は問題ない?

ジフラールの添付文書(製薬会社によるジフラールの取扱説明書)には、妊娠中の使用については「妊婦又は妊娠している可能性のある婦人に対しては使用しないことが望ましい」と記されており、授乳中の使用についても「本剤使用中は授乳を避けさせることが望ましい」と記されています。

 

しかし、医療の現場で頻繁に使用されている参考書『薬物治療コンサルテーション 妊娠と授乳』(南山堂)によれば、妊娠中のステロイド外用剤の使用について、「一般的な臨床使用量、使用方法であれば全身循環への吸収は少ないので、妊娠中の使用は問題ないと考えられている。ヒトでは妊娠中のステロイド外用薬使用による催奇形性の報告はない」と明記されています。

 

また、授乳中についても同様に、「外用薬については、全身循環への吸収が非常に少ないので、授乳中の使用は問題ないと考えられる」と記されていることから、医療現場での見解に基づけば、ジフラールについても、医師の指示を守って正しく使用していれば、妊娠中・授乳中であっても安全性が確認されており、心配する必要はないと言えます。

 

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小さなお子さんがいる場合の注意点

 

小さなお子さんがいるご家庭では、お子さんによる薬の誤飲事故を防ぐために細心の注意を払う必要があります。一般に子供は生後5ヶ月を過ぎると何でも口に入れたがる習性があり、医療用医薬品についても毎年数千件に及ぶ誤飲事故が発生しています。

 

こうした事故を防ぐためにも医薬品の取り扱いや保管には以下の点を守って十分に注意するようにしましょう。

 

➀薬は子供が容易にアクセスできない場所に保管する

子供は好奇心が非常に旺盛なため、たとえ子供の手の届かない高い場所に薬を保管していたとしても、踏み台などを使って手に取ろうとする可能性もあります。薬を保管する場所は鍵のかかる場所、子供の力では開けられない容器の中、子供の目に付かない場所にするなど十分に考慮してください。

 

➁服用後はすぐに片づける

服用後に薬をテーブルの上に出して目を離したわずかな隙にも誤飲事故が発生しています。薬を使用したら、他の行動に移る前に直ちに薬を保管場所に戻すようにしましょう。また、薬の服用は子供に見せないようにし、いたずらに子供の興味をあおらないようにすることも大切です。

 

➂万一の事故の際は専門機関に相談する

万全の注意を払っていたにも関わらず不幸にして誤飲事故が発生してしまった場合は、状況に応じて、救急車を呼ぶか、しかるべき専門機関に相談するようにしましょう。例えば、「小児救急電話相談」「中毒110番」などの機関に電話すると、取るべき対応策について適切に指示をしてもらうことができます。

 

3.ジフラールで注意すべき副作用

ジフラールは上記で説明した正しい使用法を守ってお使いいただければ、それほど副作用の心配をする必要はありません。ただし、副作用はたとえ正しく薬を使っていたとしても時には発生してしまうものなので、万一に備えて細心の注意を払うことが大切です。

以下にジフラールの注意すべき副作用についてご説明しますので、使用後に万一こうした症状が見られた場合は直ちに医師または薬剤師に相談するようにしてください。

ジフラールでは主に以下のような副作用が報告されています。

 

・皮膚が薄くなる

・皮膚が赤くなる

・皮膚の感染症

・ニキビ

・副腎皮質機能の低下

 

ジフラールを含むステロイドによる上記のような副作用は、長期間に渡って漫然と使用し続けた場合に起こりやすくなります。

 

このため、医師から指示された期間をしっかりと守って使い、自己判断で使用期間を調節するのは止めるようにしましょう。また、ジフラールには免疫抑制作用もあるため、ヘルペスなどの皮膚感染症の部位には原則として使わないようにしてください。

 

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ステロイドが怖い・・の誤解

 

日本ではかつてマスメディアによってステロイドの副作用が大々的に報道された影響もあり、ステロイド=怖い薬というイメージが未だに根強く残っています。

 

しかし、ステロイドの副作用のリスクが高まるのは、一般の方が自己判断によって誤った使い方をした場合であり、医師の指導の元で正しく使用している限りにおいては重大な副作用被害に遭う可能性はほぼありません。

 

ステロイドに限らずどんな薬にも何らかの副作用は報告されており、それらを過度に恐れていたのでは薬物療法を行うことは不可能になります。

大切なのは決められた用法・用量を守って薬を服用し、万一、異常が見られた場合は医師や薬剤師などの医療従事者にすぐに相談できる体制を構築しておくことです。こうすることで副作用のリスクを最小限に抑えることができ、何らかの副作用が発生した時にも被害を最小限に食い止めることができます。

 

ステロイドは正しく使えば、これまで難治性とされてきた様々なアレルギー性疾患、炎症性疾患の症状を劇的に改善させることができる大変便利な薬です。副作用を起こす最大のリスクはステロイドそのものではなくその使い方にあるということはしっかりと頭に入れておく必要があるでしょう。

 

4.ジフラールは市販でも販売されている?

ジフラールは「Strongest(最も強い)」に分類されるステロイド外用薬で大変強い作用を持つため、残念ながらドラッグストアなどでは市販されていません。

 

ジフラールを手に入れるには医療機関を受診して医師に処方箋を発行してもらう必要があります。

 

通常、市販されているステロイドは「strong(強い)」以下の強さのものになり、フルコートF(成分:フルオシノロンアセトニド)やベトネベートN軟膏AS(成分:ベタメタゾン吉草酸エステル)などの商品が市販薬では最も強いものになります。

 

したがって、このクラスの外用薬で対処できない疾患の場合は、医療機関を受診して医師による診察を受ける必要があると言えるでしょう。

 

5.まとめ

ジフラールは確かに強い作用をもつステロイドではありますが、正しい使用方法を守って使えばそれほど怖い薬ではありません。お使いいただく際は、今回説明した内容をしっかりと頭に入れておき、万一、使用中に異常が見られたり、困ったことが発生した場合は、迷わず医師や薬剤師などの専門職に相談するようしてください。

この記事を読まれた一人でも多くの方がジフラールについて正しい知識を身に着け、辛い炎症症状を改善されることを祈っております。