1.脂質異常症に使用されるお薬

1-1.お薬の種類

脂質異常症は、生活習慣病のひとつで、「LDLコレステロール(悪玉)やトリグリセライド(中性脂肪)が必要以上に多くなったり、HDLコレステロール(善玉)が少なくなったりする病気」です。
お薬だけに頼るのではなく、生活習慣の改善(運動・食事療法)を行うことが第一です。
病院で処方されるお薬の種類としては、「HMG-CoA還元酵素阻害薬(スタチン)」「フィブラート」「陰イオン交換樹脂」「ニコチン酸誘導体」「プロプコール」「小腸コレステロールトランスポーター阻害薬」「多価不飽和脂肪酸」など多くのタイプがあります。医師の判断で、症状や体質などその方に合ったお薬が処方されます。

ここでは説明しませんので、詳しく知りたい方はこちらをご参考下さい。
脂質異常症(高脂血症)とは?治療のカギは生活習慣の改善×薬

1-2. リピトール、クレストールのお薬のタイプは?

脂質異常症のお薬にも、様々なタイプがあり、はたらきや副作用もそれぞれ特徴があります。その中でも、リピトールとクレストールは、「HMG-CoA還元酵素阻害薬」とよばれるタイプのお薬です。

 

1-3. HMG-CoA還元酵素阻害薬(スタチン)とは?

HMG-CoA還元酵素阻害薬のタイプのお薬の成分が、●●スタチンと、語尾に“スタチン”とつくことから、「スタチン系のお薬」と呼ばれることもあります。

体内において、コレステロールは主に「肝臓」で作られています。
HMG-CoA還元酵素阻害薬は、コレステロールを合成する際に重要な役割を担っている酵素(HMG-CoA還元酵素)のはたらきを特異的に抑えることによって、結果的にコレステロールが作られるのを抑える作用があります。

 

このような働きから、HMG-CoA還元酵素阻害薬には、LDLコレステロールを下げる効果を期待することができます。また、中性脂肪を下げ、HDLコレステロールを上げる作用も持ち合わせています。

 

2.リピトールとクレストールの成分・作用の違い

前述のように、リピトール、クレストールともに、HMG-CoA還元酵素阻害薬に分類されますが、両者では少し違いもあります。

2-1. リピトールの成分・作用

リピトールの成分は、「アトルバスタチン」です。アトルバスタチンは国内で4番目、2000年に発売されたお薬です。従来のお薬よりも、LDLコレステロールを下げる作用が強く、「ストロングスタチン」とよばれたりもします。

又、アトルバスタチンは肝臓で代謝され、体内からお薬が消失していきます。代謝に関与しているのが代謝酵素(主にCYP3A4)とよばれるもので、これにより、他のお薬やグレープフルーツジュースなどの飲み合わせに注意が必要なものがあります。

リピトールには、“ジェネリック医薬品”も販売されています。

2-2. クレストールの成分・作用

クレストールの成分は、「ロスバスタチン」です。ロスバスタチンは国内で6番目、2005年に発売されたお薬です。アトルバスタチンと同様に、LDLコレステロールを下げる作用が強く、ストロングスタチンとよばれたりします。

HMG-CoA還元酵素阻害薬のほとんどは、「脂溶性」という特徴がありますが、ロスバスタチンは、「水溶性」に分類されます。水溶性であると、細胞膜を通過できないため、組織への移行性が低く、副作用や薬の相互作用が少ないといわれています。

又、ロスバスタチンは、代謝酵素の影響をほとんど受けないため、他のお薬やグレープフルーツジュースの飲み合わせなどの影響が少ないとされています。

クレストールにも、直近(2017年9月)より“ジェネリック医薬品”が販売される予定です。

2-3. 成分・作用の違いまとめ

◆リピトール、クレストールともにHMG-CoA還元酵素阻害薬とよばれるタイプに分類され、LDLコレステロールを強力に下げることから、ストロングスタチンとよばれる。

◆リピトールは、代謝酵素の影響を受けやすいが、クレストールは代謝酵素の影響をほとんど受けないため、他のお薬やグレープフルーツジュースの飲み合わせなどの影響が少ないとされている。

3.リピトールとクレストールの価格の違い(2017年8月時点)

次にリピトールとクレストールの価格の違いについて比較してみます。
どちらも1日1回の服用が基本で、症状に応じて、増量していきます。

3-1. リピトールの価格

リピトール錠5mg 51.80円
リピトール錠10mg 98.6円
 ※リピトールにはジェネリック医薬品(GE)が販売されております。
リピトール錠5mgのGE 15.20円〜26.40円
リピトール錠10mgのGE 29.2円〜50.4円

3-2. クレストールの価格

クレストール錠2.5mg 63.1円
クレストール錠5mg 121.30円
 ※クレストールにはジェネリック医薬品(GE)は2017年9月より販売予定
 クレストール錠2.5mgのGE 31.60円
クレストール錠5mgのGE 60.70円

3-3. 価格の違いまとめ

◆クレストールの方が新しいお薬ということもあり、リピトールと比較すると少し高い価格がついている。
◆リピトールには、ジェネリック医薬品がある。一方で、クレストールは、今までジェネリック医薬品が販売されていなかったが、2017年9月より販売される予定。

4.リピトールとクレストールの副作用の違い
リピトールとクレストールはともに同じタイプのお薬で、主な副作用症状に大きな差はありません。
こちらの記載が全てではないため、詳細は公的文書、又は医師、薬剤師に必ずご確認下さい。

主な副作用としては、
胃の不快感、吐き気、便秘、下痢、かゆみ、倦怠感、肝機能値の異常
などがあります。

非常に稀ですが、注意すべき症状は、「横紋筋融解症」です。
筋肉の細胞が融解・壊死することで、筋肉の痛みや脱力などを伴う症状です。初期症状としては、筋肉痛のような痛み、手足に力が入らない、手足のしびれ、赤褐色の尿などがあります。いつもと違うような症状が現れた場合、すぐに医療機関を受診するようにしましょう。

4.おわりに

脂質異常症の治療に用いられる代表的なお薬、リピトールとクレストールの効果・副作用の違いについて参考になりましたでしょうか?

脂質異常症の治療の目的は、「血液中の脂質のバランスをコントロールすることによって、命に関わるような合併症になるリスクを減らすこと」です。自己判断でお薬の服用を勝手にやめたりせず、又、お薬の治療だけではなく、食事・運動療法も合わせて行っていくようにしましょう。