1.ムコサールをよく処方する医師の声

去痰剤「ムコサール」を第一選択する医師の声を聞いて、ムコサールの効果を感じてみましょう。

 

○効果が強く、剤形が多く、徐放剤〜ドライシロップまであって使いやすい(50歳代循環器専門医)

○一日一回、飲むだけでよい徐放剤は患者さんが飲み忘れることがなく、コンプライアンスが良好(40歳代一般内科医)

○気管支にたまった痰の排泄が容易になり、治療効果が上がる(50歳代一般内科医)

○高齢者に就寝前の徐放剤投与で早朝、痰が楽に出やすくなる(60代一般内科医)

○ムコダインよりも粒が小さいため、高齢者に処方しやすい(30歳代精神科医)

○ほとんど副作用がなく、処方しやすい(50歳代神経内科医)

その他

 

医師の評判も上々のムコサール、ムコソルバン(ムコサールの先発品)です。これからムコサールの使いやすさを検討するため、基礎情報から……。

 

2.ムコサールの成分・用法・用量や効果効能(ムコサール錠15㎎添付文書から)

2-1. 成分・用法・用量

ムコサールは、ムコソルバンのジェネリック医薬品です。

成分名:アンブロキソール塩酸塩15㎎/錠

 

用法・用量:1回1錠  1日3回

     年齢や症状に合わせて適宜、増減します。

 

2-2. 効果・効果

・急性・慢性気管支炎、気管支喘息、気管支拡張症、肺結核、塵肺症の去痰

・手術後の喀痰,喀出困難

・慢性副鼻腔炎の排膿 

 

3.医師がムコサールを使いやすいという理由

3-1. 剤形が豊富で老若男女に飲ますことができる

➀ムコサール錠15㎎

②ムコサールLカプセル45㎎

③ムコサールドライシロップ1.5%

 

錠剤は、同じ去痰剤であるカルボシステイン(先発品ムコダイン)よりも小さいので高齢者も飲みやすくなっています。ムコサールLカプセルは徐放剤であるため、1日1回飲むだけでよく、飲み忘れを防ぐことができます。

また、ドライシロップは錠剤やカプセルを飲ますことができない幼、小児に飲ますことができます。

 

3-2. 痰の排出がスムーズに行われる

痰は粘り気が強いほど、排出が困難になり、留まってしまう傾向があります。

アンブロキソールは肺の分泌液を増やし、気道の粘膜に痰が付着しにくいように粘着性を下げます。さらに線毛運動を促進させ、痰を排出しやすくさせることができます。

 

気道の粘膜は、線毛と粘膜から分泌される粘液で覆われています。外からホコリ、細菌やウイルスなどの異物が侵入してくると、粘液がこれらを包み込み、線毛によって喉の方に押し上げ、痰として口中から外に排出されます。

ウイルスに感染する等、あらゆる原因で粘液量が減少し、線毛の働きが弱くなると、痰の排出が困難になります。

ムコサールの成分であるアンブロキソールは、この一連の動きを正常化させることで痰の排出を容易にします。

 

3-3. 同じ去痰剤であるカルボシステイン(ムコダイン)を併用できる

同じ効果効能をもち、作用メカニズムが同じ薬剤であれば、副作用が強く出やすくなるため、極力、併用はしません。(中には医師の判断で併用することもあり)

 

従って、ムコサールもカルボシステインも同じ効能効果・作用メカニズムであれば併用には注意が必要ですが、作用メカニズムが異なるため、併用が可能になります。

 

添付文書に記載されていることをざっくりと言うならば、カルボシステインは痰の中の成分構成比を正常化するとあります。

つまり、何らかの原因で粘り気が増し、排出しづらくなった痰をサラサラにして粘り気を減らすことで排出しやすくする薬です。

 

一方、前述しましたようにムコサールは分泌液を増やしたり、線毛運動を促したりすることで痰の排出を容易にします。

このように同じ効果効能でありながら、作用メカニズムが違うため、併用による副作用の出現危険率は低下すると考えられ、カルボシステインとの併用は可能です。

 

 

3-4. 徐放剤使用で1日1回の服用で症状改善効果

ムコサールLカプセルは徐放カプセルです。

カプセルの中の薬効成分が少しずつ体内に放出されるよう、製剤設計されています。その成分の血中濃度を長時間、一定に保てるため、薬効は長時間持続します。

そのため、1日1回飲めばよく、飲み忘れを防ぐことができます。

 

また、夕食後にムコサールLカプセルを飲むことで、早朝の喀痰喀出を容易にします。その効果はムコサール錠を1日3回飲むよりも効果があるとされています。

 

医師がいくら、ムコサールの使い勝手が良いと言っても、医薬品である以上、副作用がどうしてもついて回ります。

副作用とは指示通り飲んでも有害な症状、あるいは治療上必要な主作用を妨害するような症状のことをいいます。

 

4.ムコサールの副作用

4-1. 重大な副作用

ショック症状、アナフィラキシ―ショック様症状や皮膚粘膜眼症候群(Stevens-Johnson症候群)という非常に重症な副作用が非常にまれですが、出現することがあります。

 

アナフィラキシーショックは全身性の重篤なアレルギー症状です。ここではムコサールの主成分であるアンブロキソールがアレルゲンです。

 

アナフィラキシーショックレベルのアレルギー反応が起きると、呼吸器や循環器、皮膚など一度にたくさんの臓器にダメージが襲いかかります。そのため、血圧が下がり、意識消失に至るまで、非常に短時間で行き着いてしまいます。

薬剤では、約5分で心停止に至ることもある報告されています。

 

皮膚粘膜眼症候群は炎症が眼、皮膚、外陰部、口腔内にまで広がる病気です。重症例では死亡することもあります。

従って、皮膚に異常、あるいは全身症状、意識障害などが現れたら、速やかに医療機関を受診してください。

 

4-2. その他の副作用

上記以外の副作用で頻度が多いのが、消化器障害、消化器の不調です。

胃痛・腹部膨満感・腹痛・下痢・吐気嘔吐・消化不良など。

じんましん・発疹・痒み等の軽度の皮膚症状が出現することもあります。

 

どんな症状でも副作用と思われたら、飲むのを中止し、症状にあわせた処置をしなければいけません。

 

5.ムコサール服用で注意を喚起したい人

5-1. 高齢者

高齢者であれば、たとえ、健康であっても身体の生理機能低下が見られ、副作用も出現しやすくなります。そのため、成人量よりは減量するなどの配慮が必要になります。

 

 

5-2. 妊娠中・授乳中の人

アンブロキソールは、妊娠中の安全性が確立されていない薬剤です。妊娠中や妊娠の可能性が考えられる人は治療上の有益性が危険性を上回ると医師が判断した場合のみ、使用します。

 

授乳中の場合、当薬剤を飲んでいる間の授乳は避ける必要があります。(ラットの実験で母乳中への移行が確認されているため)

 

6. ムコサールの市販品

ムコサールは非常に私達の生活の中に入り込んでいる薬の一つです。
大正製薬のパブロンシリーズ、エスエス製薬のエスタックシリーズ、興和新薬のコルゲンコーワなどに含まれています。

 

ただ、残念なのは、ムコサールのみの市販品は現在のところ(平成30年6月)は存在していないことです。

風邪でもなく、鼻炎でもなく。エヘン虫がやたらと喉に絡むといった、症状が喉周辺に限定される場合、ムコサールを含む市販の風邪薬などを飲むと、不必要な薬剤まで飲むことになります。

そのため、症状が痰のみの場合、水分を多くとるとか、タバコなどを控えるなどを試みて、それでも改善されなかったら、医療機関を受診する方が、市販品による副作用を避けることができ、ピンポイントな改善が期待できます。

 

8.まとめ

ムコサールは安全性が高く、医師の信頼が得られている薬です。また、徐放カプセルなどもあり、飲み忘れを防げ、確実なコンプライアンスも見込めるため、医師は治療計画を立てやすいというメリットがあります。

 

ただ、病院でもムコサールが処方されているにも拘らず、ドラッグストアなどでムコサールの入った市販医薬品も購入してしまうということも十分に考えられます。

 

病院を受診されている人が市販の風邪薬を購入される場合は、お薬手帳を薬剤師に見せていただくか、病院に受診していることを薬剤師、登録販売者に申し出てください。