1.薬局とは?

1-1. 薬局とは

薬局と言うと、皆さんはどのようなイメージを浮かべますか? 薬局とドラッグストアを混同していて、よく分からないという方も多いかもしれません。

一般的に、薬局とは、処方せんに基づいて、薬剤師が調剤を行い、適切な説明や相談とともにお薬を販売する場所になります。規定の届け出を行い、健康保険対応の保険調剤を行うことができる薬局のことを「保険薬局」といいます。

お薬を調剤する調剤室が完備されており、薬剤師が常にいることが特徴です。処方せんに基づいて販売できる「医療用医薬品」と、処方せんがなくても購入可能な「市販薬(一般用医薬品)」も販売することができます。

市販薬というと、ドラッグストアでしか買えないイメージが強いですが、薬局でも、市販薬を販売していることが多いです。

保険薬局以外の薬局は?
日本に存在する薬局のほとんどが「保険薬局」ですが、実は、それ以外の薬局も存在しています。その一例としては、漢方薬をメインで取り扱う「漢方薬局」があります。この場合の漢方薬局では、保険は適用されませんが、漢方に詳しい専門的な薬剤師が、症状のヒアリングを行い、その方に適した漢方成分の煎じ薬や、粉薬、錠剤などを調合し、販売しています。

1-2. 薬局とドラッグストアの違い

ドラッグストアは、薬局ではなく「店舗販売業」というタイプに該当します。市販薬(一般用医薬品)を販売していることに加え、化粧品や日用雑貨、食料品など幅広く取り扱っていることが特徴です。

薬局とドラッグストアの大きな違いとしては、保険薬局は、処方せんに基づく医療用医薬品を扱っていますが、ドラッグストアでは、医療用医薬品は扱っていません。ドラッグストアでは、薬剤師が常駐しているわけではないことも特徴です。そのため、薬剤師による販売が義務付けられている市販薬(要指導医薬品や第1類医薬品)については、薬剤師がいない場合は、扱っていないこともあります。

しかし、最近では、ドラッグストアに保険薬局を併設し、薬剤師が常駐しているケースも増えてきました。保険薬局を併設したドラッグストアであれば、薬局との機能的な大きな違いはありません。

2.薬局をきちんと選ぶべき5つの理由

病院の前に立地している薬局に行かなければいけないというルールは全くありません。処方せんを持っていく薬局は、保険薬局であれば、全国どこの薬局でも構わないのです。そのため、ぜひ、ご自身で、気軽に通うことができる「かかりつけ薬局」をお選びください。

薬局をきちんと選んだほうがよい5つの理由を解説します。

かかりつけ薬局とは・・・
ひとつの薬局に毎回通うことで、全てのお薬(市販薬、サプリメント等を含む)の管理をはじめ、服用状況、体調・症状の把握、飲み合わせや副作用などの相談、その他健康全般のアドバイス等を薬局で行ってもらうことをいいます。

2-1. 処方せんは全国どこの薬局でも受付できる

説明のとおり、処方せんは、保険薬局であれば、どこの薬局でも受付できます。そのため、ご自身で通いやすい薬局を選んだほうが圧倒的に便利です。

薬局の選び方として、家の近所や勤務先の近くなど、通いやすい場所にあるかはひとつのポイントです。遠方だと、毎回行くのが大変で足が遠のいたり、すぐに相談したいことがある場合に駆けつけることができません。近所であれば、処方せんを一度薬局に預けて家に帰宅後、準備ができたところで薬局にお薬を取りに行くといったこともできます。

また、複数の病院を受診している場合にも、ひとつの薬局でお薬を管理することもできます。

2-2. 対応が良く、親身に相談に乗ってくれる薬局がある

今まで行っていた薬局が、何となく合わないなあと思っていて、しぶしぶ通っている方もいるかもしれません。そういった場合は、もっと対応が良く、親身に相談にのってくれる、あなたに合った薬局がある可能性があります。

初めて薬局に行った際に、薬局の雰囲気、受付や薬剤師の対応が良いか、ご自分に合っているかをみましょう。

初回利用時に、ご自身の健康・薬に関する問診票を通常は書きますが、それに基づいてアドバイスをしてくれているかも重要です。お薬の説明時に、難しい言葉を使わず、分かりやすく教えてくれる薬剤師が良いでしょう。よく話を聞いてくれ、相談しやすい、又、何かあったときの相談に対して親身に乗ってくれるとGOODです。一方的に話をしてきて、何もこちらからの話を聞いてくれない…という薬局は避けた方が良いでしょう。

薬剤師との信頼ができれば、薬局に気軽に訪れ、お薬のことはもちろん、介護のこと、家庭環境のことなど、幅広く相談することもできます。

2-3. 処方せんに間違いがあれば医師に相談してくれる

薬局では、医師が発行した処方せんの内容で疑わしい点がある場合や、お薬について疑問がある場合に、医師に問い合わせを行い、しっかりと内容を再確認し、必要があればお薬の変更を行います。

薬剤師には、疑義照会(疑わしい場合に、医師に処方内容を確認すること)を行うことが義務付けられています。服用しているお薬や過去のアレルギー歴、持病などをふまえて、処方されているお薬の安全性を確認することも、薬剤師の重要な業務です。

疑わしい点がある場合に、曖昧なままで終わらせず、しっかりと確認してくれる薬局を選ぶべきでしょう。

2-4. お薬の在庫がないときに迅速な対応をしてくれる

医療用医薬品は、約2万もの数があり、すべてのお薬を薬局で取り揃えておくことは現実的に難しいです。そのため、遠方の病院の処方せんを受け取った際に、お薬の在庫がないということがあります。その場合に、薬局がどういった対応をとってくれるかが重要です

薬局に在庫がないので、処方せん元の病院近くの薬局に行ってくださいと頭から言われるようであれば、NGです。

次のような対応を行ってくれれば、GOODです。

・不足しているお薬が近隣の薬局にないか確認し、入手してくれる。
・不足しているお薬が、数日分ある場合には、不足分を後日届けてくれる
・全く在庫がない場合には、緊急で卸に連絡をしてくれ、できるだけ早めに入荷し、入荷した際は連絡をくれ、届けてくれる
・在庫があるお薬で代用し、変更できるかを医師に問い合わせてくれる

など、要するに、お薬の在庫がないことに対して、患者さんの視点に立ち、迅速に対応してくれるかどうかが重要です。

2-5. 実は、市販薬や健康食品等を購入することができる

あまり知られていないのが、薬局にも市販薬や健康食品などが置いてあります。薬局というと、ドラッグストアと比べて敷居が高くて、気軽に入れないといったイメージがありますが、実は市販薬や健康食品も置いている薬局が多くあります。

行きつけの薬局があれば、自分の健康や体調、服用しているお薬のことを理解してくれており、それに合った市販薬や健康食品を勧めてくれます。

処方せんが無くても、薬局にご自身の体調について、ぜひ相談しに行ってみてください。次のようなメリットがあります。

・病院に行ったほうが良いのかどうか、必要であればおすすめの病院を教えてくれる
・市販薬で様子をみればすむ症状であれば、適切な市販薬をすすめてくれる
・予防的に健康食品が必要であれば、おすすめの商品を教えてくれる

 

薬局によって、実は値段が変わる?
同じお薬であっても、薬局によってお薬代の値段が変わることがあります。その理由を簡単に説明します。 保険薬局において、お薬代は、国が定める「調剤報酬点数」で決められています。薬局では、この点数をもとに、お薬代を計算し、患者さんに支払いを求めます。 お薬代は、主に「調剤技術料」「薬学管理料」「薬剤料」「特定保険医療材料料」の4つの項目で構成されています。この内、薬局によって、調剤技術料が異なる場合があるため、お薬代が変わってきます。薬局の規模や業務内容によって定められており、例えば、受付している処方せんの枚数や、特定の1つの医療機関からどの程度処方せんがきているか(集中度)など様々な条件により、割り振られています。 長く通うのであれば、値段は安いことに越したことはないですが、一方で、長く通うのであれば、値段以上に信頼がおける薬局かどうかが重要になります。

 

健康サポート薬局とは?
皆さんは、「健康サポート薬局」をご存知でしょうか?薬局を活用する方法のひとつですので、紹介させていただきます。 健康サポート薬局とは、「薬局および薬剤師の基本的な機能を有し、地域住民による主体的な健康の維持と促進を積極的に支援する薬局である」と定義されています。少し難しいですよね。 分かりやすく説明すると、患者さんのために、お薬や健康全般のアドバイスはもちろんのこと、地域医療の拠点として、近所の病院、介護施設、地域包括センターなどと幅広く連携して質の高い医療を提供したり、地域の人々のために地域活動にも進んで参加している薬局のことをいいます。 国が定めている基準に基づき、保健所に申請を行い認められると、健康サポート薬局として名乗ることができます。 健康サポート薬局といっても、薬局によって様々な特徴がありますが、国が健康サポート機能があると認めた薬局ですので、一定以上のサービスを提供している信頼のおける薬局だとご認識下さい。

3.意外と知られていない薬局の3つの活用方法

信頼できる薬局を見つけた後は、薬局をより有効活用することが大切になります。今回は、薬局を有効活用するために、意外と知られていない薬局の活用方法を3つご紹介します。

3-1. ネット予約やFAXを利用して待ち時間をゼロにする

病院が混んでいて、長時間待ってようやく終わったと思ったら、薬局に行って、さらに長時間待たされるということがあるかもしれません。ネット予約やFAXを利用することで、その待ち時間を短くすることができます。

処方せんをネット予約やFAXを利用して、事前に送信しておき、薬局の準備ができた段階で、処方せんの原本を持って行き、お薬を受け取るといったサービスです。そうすることで、待たずにお薬を受け取れます。また、お薬が不足している場合も、先にあるかどうかを確認し、取り寄せて準備をしてもらうこともできます。

FAXに関しては、病院やクリニックに設置してある場合がありますので、そちらを利用するようにしましょう。FAX番号をいつも通っている薬局に事前に聞き、FAXの受付を行っているか確認しておきます。

ネット予約に関しては、次のようなサービスがあります。

ネットやアプリで処方せんを送信してお薬の受け取り予約ができるサービスです。待ち時間を短縮することができ、時間を有効活用することができます。お薬の準備が整うと薬局から準備完了メールなどの通知がくるので便利です。全国約8000店舗の薬局に対応しています。

3-2. 処方せんが無くても気軽に相談できる

「薬局は、処方せんがないと行ってはいけないのでは?」という意識を持たれている方が多くいらっしゃいます。薬局を有効利用するためには、ぜひ、その意識は捨ててください。処方せんがなくても、気軽に立ち寄って相談しても問題ありません。相談内容も薬のことだけに限らず、健康全般、介護、病院のことなど、どんなことでも気軽に相談できる、それが多くの薬局が目指している姿になります。

どんなことでも気軽に相談できる薬局をあなた自身で探すことが大切になります。

3-3. お薬手帳を活用して、大切なことを共有する

薬局からのお声がけもあり、お薬手帳を持っている方も多いのではないでしょうか?お薬手帳を活用して、大切なことを病院・薬局に共有し、ご自身の健康を管理することが大切です。お薬手帳を活用する上で4つのポイントがあります。

①過去・現在の病歴、副作用やアレルギー歴を情報共有できる

お薬手帳には、病歴、お薬の副作用やアレルギー歴などを記載できる欄があります。その記載をしっかりしておくことで、病院や薬局で確認してもらい、事前に飲むとリスクがあるお薬の処方を防ぐことができます。又、あまり知られたくない薬、言葉では言いづらい薬のことなどを記載しておくと便利です。

②お薬の飲み合わせを確認できる

複数の病院に通われている場合、同じような効き目のお薬や飲み合わせが良くないお薬がでていないか確認する必要があります。お薬手帳に記載しておくことで、医師や薬剤師がスムーズにチェックすることができます。また、市販薬やサプリメントを購入する際も、お薬手帳をみせることで、飲み合わせが問題ないか確認してもらうことができます。

③気になったことを記載しておくことでコミュニケーションができる

お薬が家に残っている場合に、その数を手帳に書き込んでおきましょう。また、何か気になったことがあった場合に手帳に事前に書き込んでおくと、病院や薬局に行った際に、忘れずに伝えることができます。手帳をとおし、自身の健康について医師や薬剤師と円滑にコミュニケーションを進めることができます。

④災害時に重要になる

お薬手帳は、災害時や緊急時に非常に有効です。

災害時には、病院や薬局の機能が停止し、多くの方が、ご自身が今まで飲んでいたお薬の種類や名前を把握していない、副作用歴やアレルギー歴がわからないといった状況におちいります。そんなときでも、お薬手帳を管理・携帯しておくことで、スムーズにお薬を処方してもらうことができます。

「毎回お薬手帳を医療機関に持ち歩くのが大変」という方もいるかもしれません。その場合は、「電子お薬手帳」といって、スマホのアプリ等でお薬手帳の管理ができるものがあります。電子お薬手帳をご希望の場合には、薬局の受付時に相談してみましょう。

4.まとめ

薬局について意外に知らないことが多いという方のために、薬局をきちんと選ぶべき理由と、意外と知られていない薬局の活用方法について解説しました。是非とも、ポイントをおさえていただき、「病院の近くという理由で何となく通っていた薬局」から、「ご自身で信頼のおける薬局を探してみる」という一歩を踏み出してください。

また、薬局を有効活用することは、あなた自身の健康管理の面において、とても重要になります。今回ご紹介した薬局の活用方法を参考に、より安心して、健康に毎日を過ごせるようになっていただけますと幸いです。