1.シラミとは?
シラミとは、一般的に、人に寄生し、血を吸う害虫のことをいいます。代表的なシラミとしては、アタマジラミ、ケジラミ、コロモジラミの3種類があります。
主な発生部位は、
アタマジラミ・・・頭髪
ケジラミ・・・陰毛
コロモジラミ・・・衣服
となり、今回は、主に頭髪に発生しうるアタマジラミについて解説していきます。
(1) シラミの発生状況
戦後、環境衛生の向上により、シラミの発生は激減しましたが、東京都福祉保健局の相談件数の推移※では、平成19年をピークに減少傾向でしたが、近年、再び相談件数が増えつつあります。小さなお子さんの間でうつりやすく、約8割は、8歳以下のお子さんで発症しています。
(2) シラミの原因
アタマジラミはヒトの髪のみに寄生するので、ヒトからヒトにうつります。例えば学校での生活や、日常生活で家族間などにおいて、寄生されている方の頭や使用したタオルなどから、他の人の頭にアタマジラミが移動し、寄生することによってうつります。不衛生だからうつるというわけではなく、どんなに清潔にしていても、集団生活の中で発生し、うつることがあります。
うつりうるケースとしては、
・直接的な頭部同士の接触
・タオル、寝具、帽子、衣類などの共有
などがあります。アタマジラミが寄生している人の頭が、他の人の頭に近づくと、髪と髪が触れて、その人の頭に移動します。子供同士は頭を近づけて遊ぶことも多いので、うつりやすいのだと考えられます。
適切な衛生対応策を心がければ、うつることを心配して、通園や通学、通勤などの制限を行う必要はありません。また、アタマジラミから何か病気が感染するということもないので、ご安心ください。
親が、アタマジラミについて認識がないと、お子さんが「頭がかゆい」と訴えていても見逃してしまうケースもあり、近年、再び増加傾向にある要因として考えられます。
(3) シラミの症状
アタマジラミは人間だけに寄生するシラミで、アタマジラミは寿命は1か月程度ですが、身体から離れると2-3日程度しか生きられません。
頭髪部位に住み着くと、頭皮の血液を吸って生き、成長し、増殖します。アタマジラミによって血液を吸われた部位が、とてもかゆくなります。
初期では、自覚症状が少ないですが、アタマジラミの数が増えていくと、次第にかゆみが増していきます。頭をかきすぎると、傷がつき炎症を起こすことがあるので注意が必要です。
アタマジラミは、卵→幼虫→成虫と成長していきます。
成虫になると、非常に小さいサイズですが、目で確認することができます。但し、成虫は、頭部を素早く移動するため、見つけるのが難しいこともあります。
そのため、シラミが寄生しているかどうか、髪の毛についた卵で判断することもできます。卵は、白色の楕円形で、髪の毛にこびりついており、後頭部や耳の後ろに多くみられます。
フケとの見分け方としては、フケは、簡単に動きますが、卵は、指でつまんでも簡単にはとれません。
(4) シラミの予防策
シラミが見られる場合には、他の方にうつらないように衛生的な対応策を行うことが重要です。特によく触れ合う家族間や、学校生活において注意しましょう。
(予防策)
・タオルなどを共同利用しない
・寝具(枕・シーツなど)を頻繁に交換する
・マフラーや帽子など頭に触れるような衣服は共有しない
・直接的に頭が触れ合うような遊びなどをしない
など
また、シラミは熱に弱いため、洗濯前後に熱処理(熱湯、アイロン、ドライクリーニング)なども有効です。
2.シラミに効果があるお薬について
シラミに効果があるお薬としては、飲み薬はなく、市販で購入することが可能なスミスリンシャンプー/パウダーがあります。病院を受診した場合にも、こちらのシャンプーの使用を勧められることが一般的です。
(1) スミスリンシャンプー/パウダー
ダンヘルスケア株式会社から販売されている
・スミスリンLシャンプータイプ【第2類医薬品】
・スミスリンパウダー【第2類医薬品】
があります。
パウダーは、1981年より、シャンプーは1988年より販売され、30年以上の歴史を持っています。
これらのお薬には、「フェノトリン」とよばれる成分が含まれています。
寄生虫(アタマジラミなど)の神経伝導を遮断することにより、殺虫作用を示します。
1回の使用で、幼虫・成虫に対しては殺虫効果がありますが、卵は殻に覆われており効果がないため、卵がなくなるまで一定期間、繰り返して使う必要があります。
具体的には、卵が約7日間で孵化するため、2日おきの使用を304回繰り返します。孵化してきた幼虫が成長し卵を産む前までに殺すことで、卵、幼虫、成虫全てを除去させることができます。
シャンプータイプとパウダータイプがありますが、通常使用する場合には、シャンプータイプの方が一般的です。というのも、パウダータイプは、頭部に振りかけてから、1時間程度待たなければいけないのに対し、シャンプータイプでは、シャンプー後、5分ぐらい放置するだけで、短時間で使用することができます。
一方、頭髪以外の寝具や衣服、床などに使用する場合には、パウダータイプは粉末となっているため、ふりかけることによって使用することができます。
(2) 成分フェノトリンの安全性
スミスリンに含まれているフェノトリンの成分は、家庭用殺虫剤に多く用いられるピレスロイド系とよばれる殺虫成分になります。
ピレスロイド系の成分は、虫の神経系に作用して殺虫効果を示します。私たち、人を含む哺乳類や鳥類においては、体内で速やかに代謝され、短時間で尿などによって排出されます。そのため、人に対しては安全性が高いといえます。その上、飲み薬ではなく、外用薬なので、より安全性は高くあります。
また、厚生労働省によって、安全性試験の結果より厳正な審査を行われた上、一般の方が使用しても安全であるということが十分に確認された上で販売されています。
スミスリンに至っては、販売されて30年以上が経過しており、十分な臨床データがあります。その中でも大きな問題が起きていないことを考えると、非常に安全性は高いと判断できます。
但し、万が一飲み込んでしまった場合は、しばらく様子をみて、症状が急変するようであれば、すぐに医療機関を受診するようにしてください。
また、使用後に、発疹・発赤、かゆみ、かぶれなどのアレルギー症状がみられた場合には、すぐに使用を中止し、医師や薬剤師に相談するようにしてください。
3.シラミを駆除する専用の櫛
また、シラミの卵、幼虫、成虫を駆除するために専用の櫛が市販で販売されています。目が非常に細かくなっているため、すくことによって、髪の毛にこびりついている卵や幼虫、成虫を取り除くことができます。
様々な専用の櫛が販売されていますが、中には、皮膚を傷つけてしまうものや、目が荒く、しっかりと取り除くことができないものもありますので、ご注意ください。
ちなみに、スミスリンLシャンプータイプには、専用櫛が付いています。シャンプー使用後に、残った卵の抜けぬけがらや死んだ卵を取り除くために、合わせて使用できます。
4.病院を受診したほうが良い時は?
頭がかゆいという症状がみられるものの、ご自身で、シラミかどうか判断できない場合には、早めに皮膚科や小児科を受診し、判断してもらうことが大切です。
・頭を掻きすぎてしまい炎症を起こしている場合
・市販のシャンプー、専用櫛を利用しているものの症状が良くならない
このような場合も、早めに医療機関を受診されると良いでしょう。
5.おわりに
今回は、シラミに関する基本知識を解説するとともに、シラミを駆除する専用シャンプーや専用の櫛について説明しました。
シラミがうつることによって重い病気になるようなことはありませんが、頭のかゆみが続きストレスになることや、学校内や身近な人たちや家族間で、正しい衛生知識がないと拡がることもあるため、適切な対処でしっかりと駆除することが大切です。
しらみ=不衛生と考えがちで偏見をお持ちの方もいますが、清潔にしていてもうつるものです。シラミについて正しい知識を持つことで、冷静に対応していただけますと幸いです。
