1.速効性インスリン分泌薬(グリニド系)の特徴
グリニド系は、速効型インスリン分泌促進薬とも言われています。一般名が、○○○グリニドとなっています。
体内で脾臓のランゲルハンス島β細胞のスルホニル尿素(SU)受容体に作用しインスリンの分泌を促進する事で体内の血糖値を降下させる働きがあります。以前に解説をしたスルホニル尿素(SU)系の糖尿病治療薬と同じ作用を持っていますが、作用の発現時間や消失時間などに違いがあります。
1-1. 速効性インスリン分泌薬(グリニド系)一覧
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商品名 |
一般名 |
作用時間(Hr) |
血中半減期(Hr) |
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ファスティック錠® スターシス錠® |
ナテグリニド |
3 |
0.8 |
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グルファスト錠® |
ミチグリニドCa水和物 |
1.2 |
3 |
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シュアポスト錠® |
レパグリニド |
1.0 |
5-8 |
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グルべス配合錠 |
ミチグリニドCa水和物 /ボグリボース合剤 |
1.2 |
3 |
速効性インスリン分泌薬は以上の医薬品が日本国内で販売されています。α-グルコシダーゼ阻害剤(α-GI)であるボグリボース製剤との合剤も販売されています。
作用時間、半減期が短く、体内に吸収されると、約5分~15分程度で薬効が現れます
1-2. 速効性インスリン分泌薬(グリニド系)の作用機序・特徴
速効性インスリン分泌薬はスルホニル骨格を持っていませんが、SU剤と同様に体内で脾臓のランゲルハンス島β細胞に作用します。インスリンの分泌が促進され、体内の血糖値が下がっていきます。
速効性インスリン分泌薬とSU系の違いはいくつかあります。
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作用発現までの時間 |
作用時間 |
消失する時間 |
服用方法 |
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速効性インスリン分泌薬 |
速効 |
短い |
短い |
食直前 |
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SU系 |
普通 |
長い |
長い |
食前・後 |
・速効性インスリン分泌薬は速効で血糖値の降下が現れ、直ぐに消失する。主に食後の血糖値を下げます。服用方法は1日3回、食直前服用となります。
・SU系は1時間程度で血糖降下作用の発現時間が現れ、消失も同じくらい。服用方法は、1日1〜2回、食前or食後服用となります。
速効性インスリン分泌薬は食後血糖値を健常者と同じように降下させる目的で服用をする事が多いです。糖尿病の患者さんはインスリンの分泌が悪かったり、体内から分泌されるインスリンで処理が出来ないくらい体内に糖が溜まっている事が多いです。食後血糖値もなかなか下がらず、高い値が続いてしまっています。食後血糖値の改善目的で速効性インスリン分泌薬が処方されます。
体内からも消失が早いため、負担もかかりにくいのが特徴です。
速効性インスリン分泌薬は食後に服用をすると吸収が悪くなってしまうこと、また、効果発現が早いことで低血糖のリスクが高まるため、SU系とは異なり、食直前の服用と決められています。SU系は食前、食後のどちらでも服用のタイミングは問題ありません。
1-3. 速効性インスリン分泌薬(グリニド系)の副作用、その対処方法
速効性インスリン分泌薬の主な副作用は低血糖症状です。冷や汗や倦怠感、悪心嘔吐、意識消失などの症状が現れます。インスリンの分泌が促進されるため、体内の糖分が不足し、低血糖の症状が出やすくなります。
SU系と比較して低血糖の症状は起こりやすいです。
・作用発現の時間が早い
・食直前服用
これらの理由があるためです。作用時間が早いため、服用後の食事に時間がかかってしまったり、服用後の食事するタイミングで食事が取れなくなってしまうなどが起きてしまうと低血糖の症状が出やすくなってしまいます。
低血糖の対処法は糖分の摂取です。飴や飲料などで糖分を取るようにして下さい。ここで気をつけてもらいたいのがノン・カロリー、ノン・シュガーの飲食物は低血糖の症状を改善しません。人工甘味料で甘みが出ているだけで糖分が入っていない事が多いためです。糖尿病を治療中の患者さんはノン・カロリーやノン・シュガーの飲食物を摂取していたり常備している事が多いです。
速効性インスリン分泌薬もSU系と同じように副作用として、体重増加、中性脂肪値の増加があります。インスリンの分泌が増加する事で体内での糖の処理機能が増えます。糖は体内で中性脂肪として蓄えられます。そのため、体重増加や中性脂肪値が増えてしまう事があります。
1-4. 速効性インスリン分泌薬(グリニド系)のジェネリック医薬品
ファスティック錠®、スターシス錠®、グルファスト錠®にはジェネリック医薬品が販売されています。シュアポスト錠®、グルべス配合錠®ではジェネリック医薬品は販売されていません。
成分量、効能効果は先発の医薬品と同じになっています。
2.速効性インスリン分泌薬(グリニド系)の注意点、飲み合わせについて
速効性インスリン分泌薬にはいくつか注意点、飲み合わせの悪い医薬品があります。
注意点として速効性インスリン分泌薬は服用時に食事の影響を受けてしまう事です。食事後に服用してしまうと速効性インスリン分泌薬の吸収率が低下してしまい、効能効果が落ちてしまいます。そのため、速効性インスリン分泌薬は食直前の服用が決められています。
食直前の服用は飲み方が難しい、コンプライアンス不良になりやすい服用方法でもあります。
普段の薬は食後服用が多く、習慣付いている患者さんが多いため、食直前服用を忘れてしまう事が多いです。食前服用の薬によっては食後でも問題無い薬はありますが、速効性インスリン分泌薬のように食事の影響を受けてしまう薬は服用を守らなければなりません。
食前、食後、食直前など飲み方の違いですが大まかに以下のようになります。
・食前 食事開始30分前
・食後 食事30分後
・食直前 食事開始 5分前
・食直後 食事5分後
食事を規則正しく取れていないと低血糖の症状が出やすくなってしまいます。また、炭水化物を抜いたり、糖分を全くとらないでグリニド系を服用すると低血糖の症状が出やすくなってしまいます。糖尿病の治療は食事療法が基本です。規則正しい食事を行う事が大切です。
速効性インスリン分泌薬はSU系の糖尿病治療薬と併用は出来ません。共にランゲルハンス島β細胞を介したインスリン分泌を促進するためです。
他の糖尿病治療薬と併用する場合も低血糖のリスクが増加してしまうので注意する必要があります。
3.まとめ
速効性インスリン分泌薬はSU系と同様にインスリンの分泌を促進する事で血糖値を下げる働きがあります。SU系よりも効果の発現時間や体内からの消失が早いという特徴があります。SU系は常時の血糖値のコントロール、速効性インスリン分泌薬は食後血糖値のコントロール目的で使い分けられる事があります。SU系と速効性インスリン分泌薬の併用は禁忌では無いのですが、どちらかを継続で服用していて、途中から追加になった場合は念の為に疑義照会(医師に問い合わせ)等を行う必要があります。
速効性インスリン分泌薬は、食直前と服用時点が限られている医薬品ですので、飲み忘れや飲み間違えを起こしやすいことがあります。飲み忘れや飲み間違えが続くような時は処方医に相談すべきかもしれません。
