1.ジスロマックについて
1-1. 有効成分と作用
有効成分
ジスロマックの有効成分は「アジスロマイシン」という抗生物質です。
作用の仕方
細菌のタンパク質を合成する「リボソーム」という細胞小器官に作用し、タンパク質合成を阻害することで、細菌の増殖を抑制します。
1-2. どんな症状に使われる?
ジスロマックは、抗菌薬なので以下のような感染性疾患に使用されます。
・皮膚感染症
・リンパ節炎
・喉頭炎
・扁桃炎
・急性気管支炎
・肺炎
・尿道炎
・子宮頸管炎
・副鼻腔炎
・歯周組織炎
・顎炎
特にクラミジア感染症と歯周病の治療に対してジスロマックの有効性が非常に高いことから、この2つの疾患にはよく使用されます。
1-3. ジスロマックの剤形
ジスロマックには、以下の剤形があります。
・ジスロマック錠250mg
・ジスロマック錠600mg
・ジスロマックSR成人用ドライシロップ
・ジスロマックカプセル小児用100mg
・ジスロマック細粒小児用10%
それぞれ、服用する方の年齢や症状・疾患に合わせて使い分けされています。
ジスロマック細粒の飲ませ方
「ジスロマック細粒小児用10%」は、パイナップル風味に甘くコーティングされていますが、有効成分のアジスロマイシンは非常に苦味が強いため、服用を嫌がるお子さんが多い薬です。
牛乳やコーヒー牛乳、プリン、ココア、お茶に混ぜると苦味がマスクされて飲みやすくなります。薬をアイスでサンドして服用するのもいいでしょう。
逆に、ヨーグルトや乳酸菌飲料、オレンジジュース、スポーツドリンクなどの酸味の強いものと一緒に服用すると、コーティングが剥がれて苦味が強くなってしまいます。
また、痰切りの薬である「ムコダインDS(カルボシステインDS)」と混ぜた場合にも、コーティングが剥がれて苦味が出てきてしまいます。必ず別々に服用しましょう。順番は、「ムコダインDS(カルボシステインDS)」を先に服用した方が、より苦味を感じにくくなります。
2.マクロライド系抗生剤について
2-1. 抗生物質の分類
抗生物質は、作用の仕方から主に以下の7種類に分類されています。
・ペニシリン系抗生物質
・セフェム系抗生物質
・カルバペネム系抗生物質
・マクロライド系抗生物質
・テトラサイクリン系抗生物質
・アミノグリコシド系抗生物質
・ニューキノロン系抗生物
ジスロマックの有効成分「アジスロマイシン」は、マクロライド系抗生物質に該当します。
2-2. マクロライド系抗生剤の特徴
マクロライド系抗生物質は、リボソームの働きを阻害することで、細菌がタンパク質の合成をできなくすることで抗菌作用を発揮します。
細菌を死滅させるのではなく、細菌の増殖を抑制し、菌の数を増やさないようにする効果があります。
そのため、治療には体内の免疫機能の助けが必要になります。
同じマクロライド系抗生物質の「クラリスロマイシン」や「エリスロマイシン」は「14員環マクロライド系」に属し、抗菌作用以外にも、抗炎症作用や膿を排出する作用などがあり、慢性副鼻腔炎(蓄膿症)に使用されることがあります。
しかし、アジスロマイシンは「15員環マクロライド系」であり、そのような作用・効能はありません。
風邪やインフルエンザに抗菌薬が使用される理由は?
ご存知の方も多いかもしれませんが、風邪やインフルエンザの原因は、細菌ではなくウィルスです。
抗菌薬は細菌には有効ですが、ウィルスを抑制する効果はありません。
では何故、風邪やインフルエンザに抗菌薬が使用されるのでしょうか?
理由は、いくつかあります。
・細菌による二次感染を防ぐため
・溶連菌、マイコプラズマ肺炎など抗菌薬が必要な疾患の可能性を見越して
・患者さんの強い希望
以上などの理由から、医師は風邪・インフルエンザにも抗菌薬を処方する場合があります。
しかし、抗菌薬に抵抗性を持つ「薬剤耐性菌」が国際的に問題になっており、医療界全体が「不必要な抗菌薬の使用は避けるべき」という流れであるため、今後は抗菌薬の処方が減少すると考えられます。
3.ジスロマックの服用方法と注意点
3-1. 服用方法
ジスロマック錠250mg
通常、1日1回、1回2錠を3日間服用します。
尿道炎、子宮頸管炎の治療の場合は、1回4錠を1回のみ服用します。
ジスロマック錠600mg
「後天性免疫不全症候群(エイズ)に伴う播種性マイコバクテリウム・アビウムコンプレックス(MAC)症の発症抑制及び治療」にのみ使用します。
発症抑制には、1回2錠を週に1回服用します。
治療では、結核の薬「エタンブトール」と共に1日1回、1回1錠服用します。
ジスロマックSR成人用ドライシロップ2g
この製品はプラスチック製の瓶に粉状の薬が入っており、水で懸濁して空腹時に服用します。1回のみ服用する薬です。10秒ぐらい強く振り、水に懸濁させた直後に服用してください。服用後2時間は食事を控えなければなりません。また瓶の中に薬が残っている場合は、再度水に混濁させて飲み切るようにしましょう。
ジスロマックカプセル小児用100mg
ジスロマック細粒小児用10%
小児に対し、体重1 kgあたり10mg(アジスロマイシンとしての量)を1日1回、3日間服用します。ただし、1日量は成人の投与量500mg(アジスロマイシンとしての量)を上限とします。
3-2. 服用できない人
アジスロマイシンを服用して過敏症を起こしたことのある方は服用できません。
また、ジスロマックと同じマクロライド系抗生物質を含む薬で過敏症を起こしたことのある方にも、一般的には使用しません。
3-3. 妊婦さん・授乳中への安全性は?
ジスロマックは、妊婦さんが服用した場合の胎児への安全性は高いと考えられています。
また、授乳中の方が服用した場合にもお子さんへの影響もほとんど問題ないと考えられます。
3-4. その他の注意事項
・決められた日数を飲み切らなければ、「薬剤耐性菌」発生のリスクが高まります。症状が良くなったからといって自己判断での服用中止は避け、最後まで飲みきってください。
・不整脈の症状を悪化させることがあります。不整脈をお持ちの方は、服用後に脈の乱れ、動悸などがみられる場合は主治医へご相談下さい。
4.ジスロマックの副作用
抗菌薬は、共通して下痢・軟便の副作用があります。これは、抗菌薬が腸内の善玉菌にも作用し、腸内環境が悪化することで起こります。しかし、抗菌薬の中でもジスロマックは、下痢・軟便がにくい薬ですので、症状があったとしても軽度なことが多いでしょう。軽度な場合は、水分補給をしっかり行いながら、服用を継続してください。
症状が重度な場合(1日に何回も下痢を起こす、血便、粘液が混ざった便)は、服用を中止して受診するようにしましょう。
ジスロマックには、他にも以下のような副作用が報告されています。症状に心当たりがある場合は、医師・薬剤師にご連絡ください。
アナフィラキシーショック
皮膚の痒み、蕁麻疹、喉の痒み、冷や汗、息苦しい、動悸、めまい、意識の低下 など
皮膚粘膜眼症候群(Stevens-Johnson症候群)
中毒性表皮壊死融解症(TEN)
高熱(38℃以上)、目の周りや唇のただれ、喉の痛み、皮膚の広範囲の赤み など
QT延長
頻脈、脈の乱れ、動悸、立ちくらみ、痙攣 など
肝機能障害
倦怠感、食欲不振、発熱、発疹、吐き気、皮膚の痒み、皮膚や白目が黄色くなる など
腎機能障害
尿量が少なくなる、ほとんど尿が出ない、むくみ、発疹、倦怠感 など
偽膜性大腸炎
重篤な下痢、粘性の便、お腹の張り、腹痛、発熱、吐き気 など
間質性肺炎
軽い運動(階段を登るなど)での息切れ、痰が絡まない咳、発熱 など
横紋筋融解症
筋肉の痛み、手足の痺れ、手足に力が入らない、全身のだるさ、尿が赤褐色になる など
5.おわりに
記事の中でも少し触れましたが、抗生物質が効きにくい「薬剤耐性菌」が国際的に問題になっています。マクロライド系抗生物質は使い勝手が良いことから、乱用や不適切な使用をされてきた経緯があり、「マクロライド耐性菌」が特に問題視されています。
薬剤耐性菌を生み出さないためにも、抗菌薬はしっかりと注意事項を守って服用しましょう!
