ロキソニンとボルタレンは、どちらも「NSAID」と呼ばれるグループに属する

今回のテーマであるロキソニンとボルタレンは、いずれも「NSAID」という薬のグループに属します。これは「Non-Steroidal Anti-Inflammatory Drugs」という英語の頭文字をとったもので、日本語では「非ステロイド性抗炎症薬」と呼ばれます。

NSAIDにはたくさんの薬があり、それぞれの特性が微妙に異なるのですが、共通する特徴としては、以下の点が挙げられます (1)。当然、これらはロキソニンとボルタレンにも当てはまるので、前提知識として知っておいてください。

NSAIDに共通する特徴

● 痛み・熱・腫れなどに効果がある
● 体内でプロスタグランジンという物質の合成を抑制する作用を持つ
● 副作用として多いのは、胃の痛みや腎傷害などである
● 痛み止めで喘息を起こしたことのある人や、妊娠している人は服用できない
● 一部の抗菌薬と一緒に使用すると、けいれんを起こしやすくなる

NSAIDは、さらにいくつかのサブグループに分類できる

NSAIDに属する薬は、その化学構造に基づいて、さらにいくつかのサブグループに分けることができます (1)。

● サリチル酸系:アスピリン、エテンザミドなど
● フェナム酸系:メフェナム酸など
● プロピオン酸系:ロキソプロフェン、ケトプロフェン、フルルビプロフェンなど
● アリール酢酸系:インドメタシン、ジクロフェナクなど
● オキシカム系:メロキシカム、ピロキシカムなど
● コキシブ系:セレコキシブ、ロフェコキシブなど
● 塩基性NSAID:チアラミドなど

上に挙げた例のうち、ロキソプロフェンはロキソニンの、ジクロフェナクはボルタレンの成分名です。つまり、ロキソニンはプロピオン酸系に、ボルタレンはアリール酢酸系に属するNSAIDということになります。

一般的には、プロピオン酸系のNSAIDは、上で述べた胃腸や腎臓に対する副作用が少ないというメリットがあると考えられています (1)。片や、アリール酢酸系は比較的即行性があるのがメリットです。反面、効き目の持続時間は短いものが多いのも特徴と言えます (1)。

ロキソニンとボルタレンには、飲み薬のほかに、貼り薬や塗り薬もあります。これまで述べた点を踏まえたうえで、こうした薬の形 (剤形と言います) 別に両者の特徴を比較していきます。

飲み薬

ロキソニンとボルタレンは、どちらにも錠剤があり、通常1日3回服用する点でも共通しています (2, 3)。

ボルタレンの方にしかない剤形として、カプセル剤があります。これは1日2回の服用でよいというメリットがあります (4)。ただし、使用できる病気がより限られるため、こちらを使いたい場合は薬剤師や医師に確認するようにしてください。

一方、ロキソニンにしかない剤形には、細粒という粉薬があります (2)。錠剤を飲むのが苦手な方には、こちらの方がよいでしょう。ただし、粉薬といっても、子供に使用するわけではない点には注意が必要です。

ロキソニンとボルタレンの錠剤の効果については、直接比較しているエビデンスは非常に少ないのが実情です。ロキソニンは、日本では非常によく使用されていますが (5)、諸外国ではあまり使わないようで、こうしたことがエビデンスの少なさに関係していると思われます。

一般的に言えば、すでに述べたようにアリール酢酸系に属するボルタレンの方が効果は強いと予想されます。しかし、ロキソニンと同じプロピオン酸系のイブプロフェンと、ジクロフェナクの関節痛に対する効果を比較した研究では、両者の効果はほとんど変わりませんでした (6)。

また、様々な種類のNSAIDとジクロフェナクの、同じく関節痛に対する効果を調べた研究でも、薬の種類による効果の違いはそれほど大きくないことが示唆されました (7)。

関節痛という限られた症状に対するエビデンスですが、NSAID間の効果の差は、一般的に考えられているよりも大きくない可能性があります。したがって、ロキソニンとボルタレンの飲み薬の効果の違いについては、それほど神経質にならなくても大丈夫だと推測されます。
後編では、貼り薬や塗り薬などの外用剤や、市販薬について解説します。

まとめ

■ ロキソニンとボルタレンは、どちらもNSAIDというグループに属する薬である
■ ロキソニンの飲み薬には錠剤と粉薬がある
■ ボルタレンの飲み薬には錠剤とカプセルがある

参考文献

(1) 赤池昭紀 他 疾患別薬理学第4版 廣川書店
(2) ロキソニン錠60㎎/ロキソニン細粒10% 添付文書 第一三共株式会社 
(3) ボルタレン錠25㎎ 添付文書 ノバルティスファーマ株式会社
(4) ボルタレンSRカプセル37.5㎎ 添付文書 ノバルティスファーマ株式会社
(5) Tsumura H, et al. Prescription of nonsteroidal anti-inflammatory drugs and co-prescribed drugs for mucosal protection: analysis of the present status based on questionnaires obtained from orthopedists in Japan. Intern Med. 2007;46(13):927-31. PMID: 17603228
(6) Gallelli L, et al. The effects of nonsteroidal anti-inflammatory drugs on clinical outcomes, synovial fluid cytokine concentration and signal transduction pathways in knee osteoarthritis. A randomized open label trial. Osteoarthritis Cartilage. 2013 Sep;21(9):1400-8. PMID: 23973155
(7) Pavelka K, A comparison of the therapeutic efficacy of diclofenac in osteoarthritis: a systematic review of randomised controlled trials. Curr Med Res Opin. 2012 Jan;28(1):163-78. PMID: 22168216