目次

・さらに急激な上昇が予想される医療費
 >何が医療費を増加させるのか?
 >国民皆保険制度を維持するための様々な取り組み
・2016年4月に行われた湿布薬に関する医療保険ルールの変更
 >一回の処方せんで出せる湿布薬は合計70枚まで
 >処方せんに湿布薬の使用期間を明確に記載する
・最後に

さらに急激な上昇が予想される医療費

湿布薬の話に入る前に日本が抱えている医療費の問題についてまとめておきます。

病院に行って診察を受けたり、処方箋を持って薬局で薬をもらう際、保険証があるおかげで支払いは一部で済んでいると思います。日本には国民皆保険制度という素晴らしい制度があるため、少ない保険料で、すべての国民が公的医療保険に加入しています。その負担割合は年齢や収入等で差がありますが、多くの方は3割〜2割の負担で医療を受けることができます。特定の条件に当てはまる場合、負担はさらに軽減され1割や0割となります。

では、残りの医療費を誰が負担してくれているかというと、国や自治体です。みなさんが普段から納めている保険料や税金を利用して国民皆保険制度は成り立っています。この国民皆保険制度を始めとする日本の医療制度は世界でも類を見ない素晴らしいものなのですが、現在、その存続が危うくなるくらいの危機に直面しています。

2000年度に給付された医療費全体の金額は25兆円程度でした。それが2012年度の段階では約35兆円と年間10兆円も増えています。これだけでも大変なのですが、2025年度の予想を見てみるとなんとさらに急激な増加を見せ、1.5倍の約50兆円にもなるということが予想されています。

何が医療費を増加させるのか?

医療費の増加には様々な理由があります。
一つは高齢化問題。加齢とともに抱える疾患は増えていく傾向にあります。データによると、日本人全体の医療費を平均すると年間医療費は一人当たり約30万円ですが、75歳以上の方の場合、年間医療費は一人当たり約90万円となり(※1)、平均の約3倍になると言われています。先ほど例に挙げた2025年度と言うのは、日本で最も人口数の多い1947~49年生まれの方々(いわゆる団塊世代)が75歳以上となるタイミングです。

他の問題では、医療の高度化があります。10年前は治らなかったのに今は完治可能な病気は少なくありません。その背景には高度な医療技術の開発があります。検査方法や治療に使用する医薬品や医療機器はめざましい発展を続けています。そこで問題になるのがその医療費です。これまで不可能だった治療を可能にする技術には莫大な費用がかかります。治療技術の発展は素晴らしいことなのですが、それには莫大な医療費が必要となるのです。

国民皆保険制度を維持するための様々な取り組み

今の状況を放っておくと日本の医療制度は崩壊しています。それを維持するためには財源である医療保険料や税金を増やすか、医療費の無駄を削減していくしかありません。そこで、2年に1回の見直しで、医療費が削減できる方向に進んでいくような改定が行われています。
代表的な例の一部を挙げてみると

・医薬品の公定価格である薬価の引き下げ
・後発医薬品(ジェネリック医薬品)の推進
・無駄な検査や治療をなくすための条件の厳格化
などがあります。

医療費問題は非常に難しい問題で、医療費を過剰に使っている人、そうでない人も含めて国民全体で負担していかないといけない問題です。そのため、中には不公平と感じてしまう人もいるかもしれません。そういったことを少なくするために、国は様々な専門家の意見を取り入れて会議に会議を重ねて制度の改革を行っています。

2016年4月に行われた湿布薬に関する医療保険ルールの変更

平成28年4月に実施された2年に1回の医療制度の改定で湿布薬についてのルール変更がありました。

湿布薬は飲み薬と違って大きな副作用がないというイメージ(あくまでもイメージで湿布薬と言っても重大な副作用を引き起こすことがあります)があり、保管も容易なため、「多くもらっても困らない」という認識を持っている方が少なくありません。

そのため、必要以上に処方されてしまうケースが少なくなく、そのことによる無駄な医療費は年間数十億円にもなることがわかっていました。今回の改定ではその部分にメスが入った形です。あくまでも無駄に使用されてしまっている湿布薬の削減を目指した変更ですが、一部、本当に必要な人への負担があるかもしれないことも事実です。

一回の処方せんで出せる湿布薬は合計70枚まで

まず、湿布薬の処方枚数に制限がかけられました。一度に出せる枚数は原則70枚ということになっています。
この70枚までという制限、皆さんの目にはどのように映るでしょうか?
その感想は今まで湿布をもらっていた枚数によって変わると思いますが、「そんなに多くもらうことないから大丈夫だよ」って人もいると思いますし、「70枚しかもらえないの!?」と困る人もいるはずです。

今回の改定は、そのような差を無くすことが一つの目的なのだと思います。あくまでも処方せん1回についての枚数なので、月に70枚しかもらえなくなったというわけではありません。医学上必要であれば月に複数回処方されるケースもあるとは思います。

処方せんに湿布薬の使用期間を明確に記載する

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