ランナーがよく服用するお薬としては、以前ご紹介したことがある、こむら返り(足がつる)に効果がある漢方薬、芍薬甘草湯と、ロキソニンなどの鎮痛剤になります。
今回は、マラソン時の鎮痛剤、ロキソニンの服用の注意点について説明します。

■目次■
・マラソン時服用の鎮痛剤ロキソニンとは?
 ロキソニンの成分
 ロキソニンに期待できる効果
・マラソン時にロキソニンは服用して良い?
・マラソン時のロキソニン服用の注意点
 鎮痛作用があるからこそ、怪我を悪化させてしまう
 ロキソニンの副作用
 用法を守る
 他のお薬との飲み合わせなど
・おわりに

マラソン時服用の鎮痛剤ロキソニンとは?

まずは、ロキソニンについて簡単に説明します。

ロキソニンの成分

ロキソニンに含まれる主成分は「ロキソプロフェン」になります。もともとは病院で処方されるお薬でしたが、近年は、ロキソニンSなど市販薬として、薬局・ドラッグストア等でも購入することができるようになり、より身近なお薬となりました。
ロキソプロフェンは、「非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)」とよばれるタイプに分類されるお薬の成分になります。
体内の「痛み、炎症、発熱」などを引き起こす物質である「プロスタグランジン」が作られるのを抑えることによって、炎症に伴う腫れや痛みを和らげたり、熱を下げる効果が期待できます。

ロキソニンに期待できる効果

医療用のロキソニンも、市販薬で販売されているロキソニンも成分は全く同じで、期待できる効果は同じになりますが、市販薬の場合は、「短期服用・頓服使用」が目的となります。

市販薬の効能効果は、
頭痛、月経痛(生理痛)、歯痛、抜歯後の疼痛、咽喉痛、腰痛、関節痛、神経痛、筋肉痛、肩こり痛、耳痛、打撲痛、骨折痛、ねんざ痛、外傷痛の鎮痛、悪寒、発熱時の解熱
などがあります。

医療用のロキソニンでは、さらに幅広い疾患においても処方されることがあります。このように、ロキソニンは、様々な痛みに対する鎮痛から、発熱時の解熱まで、幅広く利用されることが分かります。

ロキソニンの作用は15分〜60分ほどで出始め、5~7時間、効果が持続するとされています。そのため、1日に複数回服用する場合には、4~6時間あけるようにします。

マラソン時にロキソニンは服用して良い?

様々な痛みに対する鎮痛効果が期待できるロキソニンですが、「マラソン時に服用しても問題がないのか?」という点になります。

結論からいえば、マラソン時のロキソニンの服用は、ドーピング禁止薬には該当しないため、問題ないといえます。

ただし、マラソン時のロキソニン服用については、ランナーの中でも賛否両論があり、「自分の力ではないので服用は邪道」「完走するために服用するのは全く問題ない」「服用はしてしまったものの後ろめたさがある」など意見は様々なものがあります。
そこは、個人の見解や、所属するクラブの見解によって違うかと思いますので、ご自身の判断に任される部分になります。

ドーピングにはあたらないので、マラソン時のロキソニン服用自体は問題ありませんが、マラソン時にロキソニンを服用すると判断した場合には、注意しなければいけない点がありますので、次に服用の注意点について説明していきます。

マラソン時のロキソニン服用の注意点

マラソン時にロキソニンを服用する際には、下記を必ず確認するようにしましょう。

鎮痛作用があるからこそ、怪我を悪化させてしまう

マラソン時の体の痛みは、体からの警告信号になります。体に異変があるために、それ以上悪化させないようにするため、体から痛みが生じ、走るのをやめさせようとします。

前述にあるように、ロキソニンには、素晴らしい鎮痛作用が期待できます。そのため、逆をいえば、痛みという体の警告信号を、無視させてしまうものになります。

例えば、捻挫をしてしまっているのに、ロキソニンを服用し、無理して走ってしまい、走り終わった時に骨折しているなど、時には、選手生命に関わるような重大な怪我につながる可能性もあります。

ロキソニンを服用したからといって、怪我が治るわけではありません。
決して勘違いをせず、自分の体の痛みにしっかりと向き合うことが大切になります。

ロキソニンの副作用

ロキソニンの代表的な副作用に食欲不振、胃の不快感や胃痛、悪心・嘔吐、食欲不振などの消化器症状があります。そのため、市販のロキソニンには、胃薬が一緒に配合されているものもあります。

胃潰瘍などの疾患をお持ちの方は基本的には服用はしないようにしましょう。ご高齢の方や、長期で服用されている方は副作用があらわれやすく、症状をみながら使用する必要がありますので、おすすめはできません。

マラソン時の服用においても、空腹時の服用を避け、できれば胃薬と一緒に飲むことを勧めます。走っている最中に服用する場合でも同様で、エイドなどで食べられるものがあれば、口にいれてからロキソニンを服用するようにします。

ロキソニンには、前述した副作用のほかにも、浮腫、むくみ、発疹、蕁麻疹、眠気などの副作用があります。よく名前を聞くから安心、というわけではなく、このような副作用のリスクがあることを、しっかりとご自身で理解した上で服用するようにしましょう。

用法を守る

上記で説明したように、副作用のリスクがあります。自己判断で効かないからといって、1回に多く飲んだり、走っている最中に何度も飲むなど飲む回数を増やしたりするようなことは、絶対にしないようにしましょう。

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他のお薬との飲み合わせなど

ロキソニンとの服用に注意すべきお薬は他にもあります。
服用しているお薬がある場合は、必ず事前に医師や薬剤師に確認するようにしましょう。

おわりに

今回は、マラソン時のロキソニンの服用について説明しましたが、実は、私自身も100kmのウルトラマラソンに出場するようなランナーですが、ロキソニンなどの鎮痛剤は一度も服用したことはありません。ただ、服用することが悪いと思っているわけではなく、お薬によるリスクを知っているからこそ、服用を躊躇してしまっている部分があります。実際には、多くのランナーの方が、ロキソニンなどの鎮痛剤を服用しているかと思います。少しでも多くのランナーに、マラソン時に服用するロキソニンなどの鎮痛剤のリスクについてよく知ってもらった上で、今後のランナー生活をより素晴らしいものにしてもらえれば幸いです。