1.腎臓病の治療での食事制限・食事療法の目的
腎臓は人体で作られた毒素をろ過する臓器です。毒素を尿に、たんぱく質などの必要な栄養素を人体に戻します。しかし、この機能が低下してくると毒素をろ過することができず、そのまま血液に毒素が流れていきます。
また尿の量を調節もしているので腎臓病になると尿量が増えたり少なくなっていったりもします。そうなると体に沢山の水分が溜まり心臓に負担がかかることがあります。また、電解質のバランスが崩れて具合が悪くなったり、高血圧に繋がることもあります。
食事制限や食事療法をするのは体内に溜まる毒素を減らしたり、水分の調整、高血圧の予防が目的です。
そうすることにより腎臓にかかる負担が減り、腎臓の機能低下の予防に繋がっていきます。
2.腎臓病での食事のポイントと注意点
腎臓病での食事で一番のポイントは塩分とたんぱく質の摂取量です。
塩分は控えることがとても大切となります。6g未満/日が推奨されている塩分の量です。目的の部分でも書きましたが腎機能が低下すると体に沢山の水分が溜まりやすい状態となりますが、塩分の摂り過ぎは更に体内に水をためてしまう原因になります。
たんぱく質を制限する理由は腎臓の細い血管を傷つけてしまうことと毒素の生成を抑えるためです。しかし、たんぱく質は筋肉の材料となるものなので食べるのを控えすぎると筋肉量が少なくなってしまいます。それを補うために高いカロリーが必要になってきます。
腎臓病の進行度はステージによって分けられており、ステージによって食事制限の目安も異なってきます。詳しくは、主治医、または栄養士の指示を守るようにしましょう。
2-1. たんぱく質制限
たんぱく質が含まれている食材は魚、肉、卵が代表的です。使用するときは脂の多い部位をおすすめします。鶏むね肉よりも鶏もも肉を、豚ロースよりも豚バラ肉を選ぶことでカロリーを上げることもできてたんぱく質を抑えることもできます。
納豆や豆腐などもたんぱく源ですが納豆ではタレを使用することによって塩分を摂取してしまうことになりますのでタレは半分だけ入れる、辛子や薬味を入れるなどをして塩分の摂取量を抑えましょう。また豆腐は水分が多いので使用する際は水切りをすることをおすすめします。
たんぱく質摂取量の目安
過剰な摂取量にならないよう気をつけましょう。
目安は1.3g×標準体重(kg)/日を一つの目安にしましょう。
ステージ別たんぱく質摂取目安量
G1~2 上記の目安たんぱく質量を超えないようにしましょう
G3a 0.8~1.0g×標準体重/日
G3b 0.6~0.8g×標準体重/日
G4 0.6~0.8g×標準体重/日
G5 0.6~0.8g×標準体重/日
2-2. 塩分制限
食塩と聞くと塩を思いがちですが味噌や醤油、ソースなどの調味料にも塩分は入っています。お味噌汁はもちろん、ラーメンの汁や干物、練り物に沢山の塩分が入っています。
麺類の汁は飲まない。またつけ麺にすることで普通に麺類を食べるよりも摂取する塩分の量は減らすことができます。お味噌汁は汁の量を半分にする、具だけ食べることを心がけましょう。今はスーパーでも減塩醤油や減塩味噌といった減塩調味料も売っていますので食卓に取り入れてみてください。
干物や練り物、ハム、ベーコンも塩分が多いので生魚や生肉を使用することで塩分の摂取量を抑えることができます。
塩分摂取量の目安
食塩摂取量の目安は3g~6g/日未満です。
2-3. カリウム制限
カリウムは尿の排泄を促し、むくみを解消してくれる栄養素ですが多すぎても少なすぎても危険な状態となります。腎機能が低下してくるとカリウムは上がってくるので動向には気をつけなければいけません。
カリウムは生の野菜、果物に沢山含まれています。カリウムは水に溶けやすい性質を持っているため茹でると少なくなります。なのでサラダよりは煮物などの茹でられたもの、果物は缶詰を選ぶと良いでしょう。
ステージ別カリウム摂取目安量
G1~3a 基本的には制限はありません
G3b 2000mg/日以下
G4 1500mg/日以下
G5 1500mg/日以下
ステージG1~G3aまでは制限はありませんとありますが、カリウムの多い食の取りすぎには注意してください。基本的に主治医、管理栄養士の指導に基づいた量を守って下さい。
2-4. カロリーを増やす
たんぱく質を抑えることを目的とした食事になるため、どうしても全体的に食事の量が減ってしまいエネルギーが不足しがちになります。エネルギーが不足すると人体は筋肉から先に分解してエネルギーを作り出します。そのため、全身の筋肉量が低下してしまうのです。それを防ぐためにも高めのカロリーが必要になってきます。
カロリーを上げるためには油を上手に使っていきましょう。パンを食べるときはバターを塗ったり、焼き魚ではなくムニエルにしたりするとカロリーを上げることができます。またマヨネーズやごま油やサラダ油、ドレッシング等は少量でも高いカロリーを取ることができます。
カロリーの目安
25~35kcal×標準体重(kg)/日が目安です。
しっかりとエネルギーは確保するように心がけてください。
3.おすすめの食品・気をつけたほうがよい食品
3-1. おすすめの食品
鶏もも肉や豚バラ肉などの脂身の多い肉類:
たんぱく質を摂ることができると同時にカロリーアップができます。
白身魚:
魚の中でたんぱく質量が少なく、様々な料理にもあわせやすいのでおすすめです。
卵:
1個で約12gのたんぱく質があります。手に入りやすくたんぱく質の把握もしやすいです。
豆腐や油揚げなどの大豆製品:
身体への吸収がよく納豆と比べるとカリウム、リンが少ない点がおすすめのポイントです。
ごま油、お酢やレモン汁:
風味良く味付けに使うと食塩や醤油の使用量を抑えることができます。
3-2. 気をつけたほうがよい食品
干物や練り物などの塩蔵品:
塩分、リンが多く含まれています。
バナナ、メロン、キウイなどの生果物:
生果物や野菜はカリウムが多いですがここに載せている果物はカリウムが特に多いものです。
納豆、チョコレート、ドライフルーツ:
カリウムが多い食品です。豆類、乾物はカリウム、リンが多いので食べる量に気をつけましょう。
4.食事療法を継続していくためには
食事は今までの生活そのものと言っても過言ではありません。病気などによって今までの習慣を変えるのはとても大変なことでありそれはストレスとなります。また家族にも影響が出て切る場合もあります。一番大事なのは無理をしないことです。
疑問・不安に思ったこと、どうしても辞められないなどの悩みがあるならばすぐに主治医や管理栄養士に相談してください。一人で抱え込まず専門家に相談して一緒に病気を改善させていくことが継続していくことに繋がります。
5.終わりに
腎臓は毒素をろ過し体に必要な栄養素を供給してくれる大事な臓器ですが、悪くなってしまうと回復することがなかなか難しい臓器でもあります。機能が低下してきたらいかにその機能を残していくかが大切です。
薬の治療も大事ですが食事も同じくらい大事なのです。疾患の状況によって目安が異なることもあるため、主治医や管理栄養士の指示に基づいて食事を行うようにしましょう。
腎臓病の食事は決まり事が多く大変ではありますがまずは出来ることから始めてみてください。
