◆目次◆
・薬局での支払いに関して
・薬代(調剤報酬)の4つのうちわけ
 ① 調剤技術料=基本使用料
 ② 薬学管理料=データの保守管理費用
 ③ 薬剤料=機種代金
 ④ 特定保健医療材料料=アクセサリー料金
・薬代の安い薬局を選ぶことはできる?
・まとめ
・参考文献

薬局での支払いに関して

薬局で皆さんが支払う「薬代」には、薬そのものの代金のほかに、「調剤」という行為に対する報酬が含まれます。

つまり、物自体だけの代金ではないということです。そのため、「ジュース1本100円」といった単純な計算にならず、代金の算出に時間がかかるのです。

この仕組みについて、これから解説します。

薬代(調剤報酬)の4つのうちわけ

先ほど「薬代」と表現しましたが、これは厳密には「調剤報酬」と呼びます。この調剤報酬は、次の4つからなっています。

① 調剤技術料
② 薬学管理料
③ 薬剤料
④特定保健医療材料料

これらを足し合わせて、保険の自己負担割合 (1割、3割など) を掛け合わせた数字が、薬局窓口で支払う金額になります。

調剤報酬の4つのうちわけは、携帯電話やスマートフォンの料金に例えるとわかりやすくなります。

① 調剤技術料=基本使用料

最初に挙げた「調剤技術料」は、いってみれば携帯電話の「基本使用料」に相当するものです。つまり、薬局を利用すること自体にかかる費用です。

ところで、携帯電話やスマホの基本使用料には、いろいろな額のプランがあります。例えば、月当たりの通信量の上限などで変わります。
となれば、「調剤技術料にも、いくつか種類があるのか?」という疑問が湧くことでしょう。これに対する答えは「イエス」です。

具体的には、調剤技術料のなかに「調剤基本料」という細目があります。この数字が、薬局によって異なります。
これは、幅広い病院からの処方せんに対応しているか、どのくらい1月あたりで調剤を行っているかなどによって、公的なルールに則って決められます。噛み砕いていえば、「地域のために手広く頑張っている薬局には、その分報酬を手厚くしよう」という方針になっています。

読者の皆さんの中には、「処方せんの内容は同じなのに、薬局が違うと支払いの金額も違っていた?」という経験がある方がいるかもしれませんが、それはこうした理由によります。

② 薬学管理料=データの保守管理費用

2番目の「薬学管理料」とは、「薬歴」を薬剤師がつけたうえで、薬の説明をすることに対する報酬です。

薬歴は、正確には「薬剤服用歴」と呼び、その人がどんな種類の薬を使っていたのか、そのときの症状や副作用はどうだったのかを、継時的に記録したものです。医師でいう「カルテ」の薬剤師バージョンといえばわかりやすいでしょう。

これにより、例えば別々の病院でもらった薬の飲み合わせを調べたり、過去に副作用が起きた薬が再び使われないようチェックしたりできます。

薬学管理料は、スマホでいえば、契約内容や利用履歴といった顧客データの保守管理費用に例えられます。薬の場合は、こうしたデータ・情報が直接患者さんの健康や命にかかわるため、その重要度はより高くなります。

③ 薬剤料=機種代金

「薬剤料」は、薬そのものの代金です。
いうまでもないことですが、これはスマホ等の「機種代金」に相当します。

スマホ等の場合は、各社が自由に機種代を設定できますが、薬はこうしたことができません。そのかわり、「薬価」という公定価格が存在します (1)。
ちなみに、薬価の決め方ですが、実は私はあまり詳しく知りません。新しくできた薬については、似た薬との対比で決める「類似薬効比較方式」と、まったく新しいものに適用する「原価計算方式」というルールが定められています (2)。

しかし、薬価は一度決めたらずっとそのまま、ということはなく、2年に1回見直されます。見直しは、役人が作成した素案をもとに、審議によって行われます (3)。ということは、四角四面のルールはないということです。

必然的に、人の判断が入ってきますので、どうしてもある程度おおらかな部分が出てきます。このことがよいか悪いかは、一概にはいえない問題です。

ともあれ、薬価の決定には、さまざまなプレイヤーが絡んでおり、結果的にその過程がとても分かりにくくなっています。「あまり詳しく知りません」と記載したのは、こうした意味合いです。また、「役人が薬価の素案を作る」と書きましたが、ここから「製薬企業と役人の癒着があるのでは!?」と考えるのは短絡的すぎるといわねばなりません。

さきほども指摘したとおり、薬価を取り巻く利害関係者は製薬企業以外にも、たくさんあります。例えば、ある薬の薬価を下げることで、それがプラスに作用する団体もあれば、マイナスに働くものもあるのです。

加えて、ひとくちに「役人」といっても、彼らも一枚岩ではありません。特に、医療分野を管轄する厚生労働省と、国の財布を握る財務省とは方針や思惑が一致しないケースもあります。

財務省としては、とにかく社会保障費を抑制したいと考えます。その一方、厚生労働省にとっては、医療費が減ることは自分の予算が減ることを意味するので、薬価の引き下げに手放しで賛同しない場合もあるのです。

少々話がそれましたが、ここでは薬価は公的に決められていること、その決め方は複雑であることを知っておいてもらえれば、と思います。

④ 特定保健医療材料料=アクセサリー料金

最後の「特定保健医療材料料」とは、スマホ等でいえば、アクセサリーや周辺機器の代金にあたります。充電器やストラップなどです。

薬の場合に、それは何かといえば、端的な例はインスリン注射器に装着する「針」などです。

針には当然ながら薬の成分は含まれませんが、薬を使う上で必要なものですから、この代金も保険でカバーされているのです。

薬代の安い薬局を選ぶことはできる?

薬局での負担金計算は複雑

調剤技術料が薬局によって異なるのは、さきほど述べた通りですが、ここから「技術料が安い=支払額が安くなる薬局を見分けるにはどうしたらよいか?」という疑問を持たれたかもしれません。

しかし、このことを事前に知ることはまず不可能と考えるべきです。その薬局の調剤基本料がいくらになるかは、チェックリストを使って決めるのですが、その内容はかなり細かく、内部の人間以外が正確に把握することは、事実上不可能だからです。

その代わり、現実的な方法として、使っている薬をジェネリックに変えることで支払い額を少なくできます。実は、同じ成分のジェネリック同士でも、薬価が違うことがあるので (1)、一度かかりつけの薬局で聞いてみることをおススメします。

まとめ

■薬局で支払う金額は、4つの項目の合算である
■調剤技術料は、基本使用料に例えられ、薬局によって異なる
■薬学管理料は、データの保守管理費用に相当し、薬剤師による説明も含まれる
■薬剤料は、機種代金のようなもので、公定価格である「薬価」にもとづく
■特定保健医療材料料は、インスリン注射の針の代金などが該当し、周辺機器やアクセサリー代金と似たものである

参考文献