1.水いぼとは
水いぼは、正式には「伝染性軟属腫(でんせんせいなんぞくしゅ)」と呼ばれる子どもに多い皮膚の病気です。ウイルス性の病気で皮膚の小さな傷や毛穴から感染しますが、感染力はそれほど強くありません。
いぼは表面に光沢があって柔らかく、色は肌色~赤みのある色です。大きさは2~10mm程度でドーム状に盛り上がりますが、中央が凹んでいることもあります。いぼの中には粥状の白っぽいものが入っており、これが他の部分につくと感染が広がります。ちなみに、水いぼができやすいのは手足や胴体部分ですが、顔にできることもあります。
治療は、
・いぼをピンセットで取る
・液体窒素で焼く
・塗り薬を塗る
・漢方薬を飲む
などの方法がありますが、ピンセットや液体窒素を使う方法は痛みを伴うことが多いため、子どものストレスが非常に大きくなることがあります。また、塗り薬や漢方薬を使う場合は治るまでに時間がかかることが多いです。さらに、どの治療法でも再発の可能性は否定できません。
一方で、水いぼは通常は痛みもかゆみもなく、また何もしなくても半年~3年程度で自然に治ることから、症状によっては治療を行わない場合もあります。しかし、治癒を待っている間にいぼが増えたり他の子どもに感染したりするおそれがあること、また、アトピー性皮膚炎のある方は他の方に比べて感染が広がりやすい傾向があることなどから、状況によっては医師と相談して積極的な治療を行うことも視野にいれるべきでしょう。
2.スピール膏で水いぼを取り除く方法
では、ここからは市販のスピール膏を使った水いぼ取りについてご紹介します。
スピール膏は、魚の目やタコを柔らかくして取り除く治療に用いられる薬です。この「皮膚を柔らかくする」という性質を利用して水いぼを取り除きます。
ただし、市販のスピール膏はウイルス性のいぼへの使用が禁止されています。使用にあたっては必ず医師と相談し、皮膚トラブルが生じたら受診して適切な治療を受けるようにしてください。
また、アトピー性皮膚炎や乾燥肌の方、絆創膏などでかぶれやすい方などは、スピール膏を使用して水いぼを取ることはおすすめできません。該当する方は、皮膚科で治療を受けましょう。
2-1. 用意するもの
水いぼの除去に必要なものは
・スピール膏
・サージカルテープ
・消毒薬
の3点です。
スピール膏に含まれるサリチル酸は、いぼの部分だけではなく正常な皮膚にも働きかけます。そのため、スピール膏が大きすぎると健康な皮膚を傷つけてしまいます。健康な皮膚を守るために、スピール膏は患部の範囲に合わせて大きさが選べるタイプ(スピール膏EX50)か、フリーサイズのもの(スピール膏フリーサイズ)を選びましょう。
サージカルテープはスピール膏を固定するために使用します。スピール膏を購入すると、ドーナツ状の固定用絆創膏がついてくるので、そちらを利用すれば大丈夫です。水いぼの数が多い場合には、市販のサージカルテープを用意してください。
消毒薬は、感染症予防のために必要です。ポビドンヨードを含むものを用意してください。軟膏タイプ(イソジン軟膏、明治きず軟膏など)と液体タイプ(イソジンきず薬、明治きず薬など)がありますが、液体タイプは綿棒の先に薬をつけて患部に塗ってください。なお、ポピドンヨードを含むうがい液(イソジンうがい薬、明治うがい薬など)を消毒薬として代用することはできません。ご注意ください。
2-2. スピール膏の正しい使い方
スピール膏で水いぼを取り除く手順は、以下のとおりです。
①水いぼを消毒薬で消毒する。
→スピール膏を貼ったあとは数日間絆創膏をはがしません。感染症を防ぐために、必ず消毒してください。
②スピール膏を貼り、絆創膏(サージカルテープ)で固定する。
→スピール膏は、水いぼよりほんの少し大きなサイズでカットします。また、スピール膏ははがれやすいので、付属の固定用絆創膏かサージカルテープで固定してください。
③2~3日、貼り続ける。
→サリチル酸を浸透させるために、途中ではがさないようにしてください。入浴時にもはがしません。はがれてしまったら、再度消毒をして、スピール膏を貼り直してください。しばらくするとかゆみを訴えることがありますが、通常は問題ありません。ただし、かゆみがひどい場合には無理して使い続けず、皮膚科で診察を受けてください。
④スピール膏をはがす。
→小さな水いぼならば、スピール膏をはがす時に一緒に取れてきます。水いぼが残っている場合には、爪やピンセットでやさしく取り除きます。ふやけ方が足りず、十分にいぼを取り除けない場合には再度1.からやり直します。
ここまでが、スピール膏で水いぼを取り除く一連の流れです。この方法では皮膚が柔らかくなってから水いぼをやさしく除去するので、ほとんど痛みはありません。
2-3. 水いぼを除去したあとのケア
水いぼを取り除いても、アフターケアが不十分だと感染症を起こしてしまいます。そこで次は、水いぼを取り除いたあとのケアについて説明します。
水いぼを除去したあとは、消毒薬で患部を消毒します。消毒後は、バンドエイドなどで患部を保護します。1~2日消毒を続け、完全に傷が乾いたら治療終了です。
なお、水いぼの潜伏期間は2週間~6週間程度です。水いぼをきれいに取り除いても再発することがあるので、ご承知ください。
3.皮膚科を受診すべきケース
スピール膏を正しく使えば水いぼを取ることはできますが、水いぼが上手に取れない場合や、スピール膏で正常な皮膚が大きく傷ついてしまった場合には、皮膚科で治療を受けましょう。
また、患部が広範囲に渡って手におえない場合、何度治療してもしつこく再発する場合、とびひなど二次感染が生じた場合なども、受診が必要です。
市販のスピール膏による水いぼ治療は、適用の範囲外の使用法です。皮膚に異常を感じたら、必ず皮膚科を受診しましょう。
4.水いぼができたらプールには入れない?
水いぼはプールの水を介して感染することはないので、プールの使用を制限する必要はありません。ただし、ビート板や浮き輪などでうつることがあるので気をつけましょう。また、タオルの共用も感染の原因となります。
なお、他の方への感染を心配する場合にはラッシュガードなどで患部が露出しないようにし、肌が直接触れ合わないようにすると良いです。
5.おわりに
水いぼは自然に治る病気ですが、治癒するまでに他の部分へ感染が拡大したり、兄弟などにうつってしまったりすることがあります。そのため、状況によっては積極的な治療を考慮する必要があります。しかしながら、皮膚科での治療は痛みを伴ったり、長期間に渡り塗り薬や飲み薬を使用したりすることが多いため、治療を途中で断念するケースも少なくありません。
今回ご紹介したスピール膏による水いぼの除去は、痛みがほとんどなく、比較的短期間で手軽に行える治療方法です。ただし、市販のスピール膏は水いぼなどウイルス性のいぼへの適用はありません。スピール膏で水いぼを取る際には必ず医師と相談し、皮膚の異常が生じた際には医療機関を受診して診察を受けるようにしてください。
