1.ワーファリンの働きを邪魔するビタミンK
ワーファリンは、ビタミンK拮抗薬とよばれており、血液を固めるときに必要なビタミンKのはたらきを抑え、血栓(血液の塊)ができないようにするお薬です。
そのため、ビタミンKを大量に摂ると、ワーファリンの作用と逆に働いてしまい、ワーファリンの作用が弱まってしまうのです。
1-1. ワーファリンを飲んでいる時に絶対に食べてはいけないもの
先ほども述べたとおり、ワーファリン服用中はビタミンKを多く含む食べ物を摂取してはいけません。その中でも絶対にダメと言われているものがあります。それは、納豆、青汁、クロレラです。
・納豆
納豆には多くのビタミンKが含まれていますが、それに加えて、納豆の中にいる納豆菌は腸内でもビタミンKを産生すると言われています。そのため、納豆に含まれている以上の量のビタミンKを摂取してしまうことになるのです。
納豆100gを食べることでワーファリンの効き目がほぼなくなってしまい、すぐには元に戻らなかったというデータがあります。納豆100gというと標準的な納豆2パックに該当します。また、少量の納豆の摂取でもワーファリンの効果が妨げられることが知られています。
・青汁
青汁は緑葉野菜を絞って作ります。そのため、多くの栄養分を簡単に摂取することができる、代表的な健康食品です。ですが、青汁に使用されている緑黄色野菜にはビタミンKが豊富に含まれており、それらを集めた青汁にもビタミンKが多く含まれています。含まれているビタミンKの量は製品により異なり、中にはビタミンKを含まない青汁も存在しますが、基本的にワーファリン服用中には青汁の摂取は禁止と覚えておいてください。
・クロレラ
クロレラは緑色の藻の仲間で栄養を豊富に含んでいます。このクロレラを乾燥させたものが健康食品として使用されますが、これにもビタミンKが非常に多く含まれています。ですので、ワーファリン服用中はクロレラの摂取も禁止とされています。
1-2. ビタミンKを含むもの全般に注意が必要
ビタミンKが多く含まれている食材を以下まとめてみました。
|
食品名 |
ビタミンKの含有量 |
一食の食品、食材の量 |
|
抹茶 |
2900μg |
小さじ2杯 4gでは116μg |
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パセリ |
850μg |
1本 8gでは68μg |
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アシタバ |
500μg |
1/4わ 50gでは250μg |
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オカヒジキ |
310μg |
1/2袋 50gでは155μg |
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ほうれん草 |
270μg |
小1/4わ 50gでは135μg |
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春菊 |
250μg |
小1/2袋 50gでは125μg |
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のり |
210μg |
中1枚 2gでは4μg |
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にら |
180μg |
1/2わ 50gでは90μg |
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芽キャベツ |
150μg |
3個 30gでは45μg |
*1μg(マイクログラム)とは、百万分の1グラムのことで、
1g=1000mg、1mg=1000μgになります。
ワーファリンのライバルはビタミンKです。なので、納豆、青汁、クロレラ以外にもビタミンKを多く含む食品には注意が必要です。代表的なのが抹茶や緑黄色野菜、海藻類です。
また、緑黄色野菜や海藻類もビタミンKを多く含んでいます。ですが、これらについては完全に避けることは難しいですし、もし完全に避けてしまうと栄養バランスにも影響してしまいます。日常生活で摂取する量であれば問題なく、あくまでも、食べ過ぎないことを意識してもらえれば大丈夫です。
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2.注意して欲しいこと
ワーファリンをすでに飲んでいるのに、今回まとめた食品をよく食べている人はいますか?「じゃあ、すぐにやめます!」いや、それはちょっと待ってください。
ワーファリンを服用している人はご存知かと思いますが、ワーファリンを飲んでいる場合、血液検査をしながら血の固まりやすさちょうど良い数値になるように、ワーファリンの量を調節しています。今、ちょうど良い数値なのに今までの食生活を極端に変えてしまうと・・・。急激にワーファリンの効果が上がってしまい、今度は出血しやすい体になってしまう可能性があります。すでにワーファリンを続けていて、血液検査でちょうど良い数値になっている場合、極端な食生活の変更は返って危険な場合があります。まずは、医師や薬剤師に相談してからにしましょう。
また、ワーファリンと納豆はダメというと、納豆が血を固めやすくするのだと勘違いしてしまうケースもあります。納豆はあくまでもビタミンKを多く含んでいるためワーファリンの効果を下げてしまうだけであって、納豆が血液をドロドロにしてしまうことはありません。ワーファリンを摂取していない場合は納豆を避ける必要はありません。
3.ビタミンKはなぜダメ?ワーファリンが作用する仕組み
3-1. 血液が固まる仕組み
血管が傷ついて出血してしまったとき、体には出血を止めるための仕組みが備わっています。出血が起きると血液の中にある血小板が集まり、血を止めるというものです。ですが、これは簡易的なもので完全な止血ではありません。血小板による応急処置が行われると同時に、凝固系と呼ばれる仕組みが働き始めます。
この凝固系にはローマ数字がつけられた因子が関与していて、第Ⅰ〜ⅩⅢ因子が存在します。
これらの因子が連鎖的に反応を起こし、最終的にフィブリンという物質が作られ、これが赤血球を固めて血栓が作られます。
3-2. ワーファリンで血液がサラサラになる仕組み
ワーファリンが血液サラサラの薬と呼ばれるのは血栓を作りにくくして血を固まりにくくするためです。ワーファリンは凝固系に関わる複数の因子の働きを邪魔することで血栓が作られるのを妨げます。
これらの因子は凝固系を進めていくのにビタミンKを利用します。ワーファリンはビタミンKに似た構造を持っているので、これらの因子を騙してしまいます。本来、ビタミンKを使わないといけないのに、その偽物であるワーファリンを使ってしまうのでうまく凝固系を進めることができず、血栓を作ることができなくなるというわけです。
ワーファリンが邪魔をする血液凝固因子は第Ⅱ、Ⅶ、Ⅸ、Ⅹ因子です。
(ちなみに、Ⅱ(に)Ⅸ(く)Ⅶ(なっ)Ⅹ(とう)と覚えます)
4.まとめ
今回はワーファリンを飲んでいる時に注意が必要な食べ物についてまとめてみました。食べ物はあくまでも食べ物で薬ではないのですが、今回のワーファリンのように一部の薬は食べ物による影響を受けて効果が変化してしまうことがあります。食べ物だから自由に食べて大丈夫と思わず、薬を飲む際には医師や薬剤師に気をつける食べ物があるかどうかも聞いてみてくださいね。
参考資料
・Warfarin適正使用情報 第3版 株式会社エーザイ
・ワーファリン錠0.5mg/ワーファリン錠1mg/ワーファリン錠5mg/ワーファリン顆粒0.2% 医薬品インタビューフォーム 株式会社エーザイ
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