マラソンランナー必見!湿布薬について

医療現場では、皮膚に貼って効果を示すようなお薬のことを「貼付剤(ちょうふざい)」と呼びますが、ここでは、湿布薬として説明していきます。

湿布薬の成分と種類

一般的な湿布薬には、有効成分として消炎鎮痛成分が含まれており、患部の炎症を抑え、痛みを和らげる効果が期待できます。
市販薬で販売されている湿布薬の代表的な消炎鎮痛成分としては、ジクロフェナク、ロキソプロフェン、フェルビナク、インドメタシン、サリチル酸メチル、などがあります。

商品は多く、様々なメーカーから販売されています。湿布薬の中でも、主に「テープ剤」と「パップ剤」があります。テープ剤は、肌色で薄いタイプのもので、伸縮性があり、粘着力が強いため、はがれにくいといった特徴があります。一方、パップ剤は、白色で少し厚みがあるタイプのもので、水分を含んでおり、粘着部分が肌に優しく、かぶれなどの心配が少ないといった特徴があります。
商品としては、湿布タイプの他にも、ゲルやローション、スプレータイプなどがあります。

湿布薬に期待できる効果

消炎鎮痛成分が入っていますので、関節痛や筋肉痛などの炎症をおさえ、痛みを和らげる効果が期待できます。湿布薬は、貼った患部(局所的)に作用しますので、マラソン後など痛みが局所で急性の症状の場合に、適しています。

ただ、あくまでも湿布薬は、一時的な痛みを和らげるものであり、筋肉痛を早く治したり、筋肉を修復するような作用はありません。そのため、湿布薬を貼って、痛みが和らいでいるからといって、無理な運動を再度行ったりすると炎症が悪化し、治りが遅くなってしまう可能性もあるので注意が必要です。

マラソン中の湿布薬とのつきあい方

マラソン中に湿布薬を使用するのは良い?

あまり見かけることはないのですが、稀に、マラソン中に湿布薬を使用している方がいます。マラソン中に湿布薬を貼ることは、おすすめはできません。理由としては、次のようなことがあります。

・症状が出ていないのに使用すると副作用のリスクが上回るため、症状があるときにだけ使用をするべきである(予防的な使用は用法・用量に記載がない)
・貼った部分が汗などで蒸れて、副作用である発疹、かぶれ、かゆみなどの皮膚症状を起こしやすくなる。湿布薬によっては、光線過敏症とよばれる日光アレルギーを起こすことがある。
・痛みという体からの警告信号に気づかずに、無理して走ってしまい、怪我につながる可能性がある

このような理由から、マラソン中に湿布薬を使用することは控えたほうが良いでしょう。一方で、マラソン中に痛みが生じ、どうしても、解熱鎮痛剤を使用したいという場合には、同じ外用薬でも、湿布タイプではなく、ゲルタイプやスプレータイプなどを選ぶと良いでしょう。

又、マラソン時の内服の鎮痛剤の服用についてはこちらの記事をご参考ください。

マラソン後の湿布薬の使用は?

マラソン後のアフターケアとして、筋肉痛や関節痛に対して、湿布薬を使用する場合は、正しい使用方法ですので、問題ないでしょう。ただし、あくまでも一時的な痛みを和らげる効果で、根本の原因を治療するものではありません。痛みを和らげる補助的なものとして使用するようにしましょう。
市販薬の湿布薬を利用する場合は、2週間以上、連続で使用することはしないようにし、しばらく使用しても、痛みなどの症状が続く場合や、ひどくなっている場合には、すぐに使用を中止し、病院を受診するようにしましょう。

マラソンランナー要確認。湿布薬使用の注意点

副作用

基本的には、湿布薬は、局所に作用し、全身に対する副作用などはほとんどありません。
共通する副作用としては、発疹、発赤、かゆみ、刺激感などの症状になります。かゆみなどの兆候が見られた際は、使用しないようにしましょう。汗をかきやすい時期などは、汗をしっかりふきとってから貼るようにしましょう。
皮膚が弱い方や、アレルギー症状が出やすい方は、貼る時間を短くするなど調整し、様子をみながら使用するようにしましょう。

又、医療用医薬品の成分であるケトプロフェンを含むモーラス、ミルタックスなどのお薬は、「光線過敏症」とよばれる日光アレルギー(日光に対する過敏な免疫反応)により、皮膚が赤くなる、水ぶくれ、かゆみを伴う皮疹などの症状が起こることもあります。

用量・用法を守る

市販で湿布薬を購入した場合は、説明文書をしっかりと読み、用法・用量を守るようにしましょう。多くの場合、1日に貼る回数、貼って良い限度枚数などが記載されています。症状がひどいからといって、より高い効果を期待して、自己判断で必要以上に使用すると、副作用のリスクが高まり、危険です。

長期で使用しない

湿布薬は、あくまでも一時的な痛みを和らげるものであり、長期で使用するのは避けるようにしましょう。
痛みが起こる原因には、マラソンだと、筋肉不足やランニングフォームなどの走り方に問題がある場合もあります。原因が何かを特定し、根本から解決することによって、湿布薬に依存しないランニング生活を送ることが大切です。

おわりに

今回は、マラソンランナーが湿布薬を利用する際の注意点などを説明しました。私も、ウルトラマラソンを走った後は、2〜3日はヨチヨチ歩きになり、その後しばらくは、筋肉の疲労が残ります。基本的には、アイシングやマッサージをしつつ、自然治癒にゆだねますが、その際に、職場の行き来を少しでもスムーズにできるように湿布薬を使用して、痛みを和らげることもあります。
皆さんにとっても、今後のランナー生活において、今回の記事を参考に、湿布薬を正しく活用していってもらえますと幸いです。