目次
調剤基本料とは?

調剤基本料とは、医薬品の備蓄(廃棄、摩耗を含む)等の体制整備に関する経費を評価したものであり、その区分は薬局経営の効率性を踏まえて設定されています。集中率や処方箋の受付回数、会社グループの規模感などが基準となり、区分分けされています。
一方、今回の記事では説明しませんが、一定の機能(体制)を有する薬局を評価するものとして、地域支援体制加算、後発医薬品調剤体制加算、連携強化加算などがあり、調剤基本料に加算して算定することができます。
大まかには、調剤基本料1、2、3と特別調剤基本料A、Bの5つに分かれます。
令和6年度診療報酬改定での変更点

2024年度の診療報酬改定で、大きく変更になったのは、3点となります。
1点目として、調剤基本料1、2、3において点数の引き上げ(3点)がありました。これは、地域医療に貢献する薬局の整備を進めることや、職員の賃上げを実施することなどの観点から行われました。
2点目は、調剤基本料2の適用範囲の拡大です。算定対象となる薬局に、1ヶ月における処方箋の受付回数が4,000回を超え、かつ、処方箋受付回数が多い上位3つの保険医療機関に係る処方箋による調剤の割合が7割を超える薬局が加わりました。医療モールの処方箋を受ける薬局などが想定されています。
3点目は、特別調剤基本料の区分がA(敷地内薬局)、B(基本料の届出がない薬局)と新設されました。
調剤基本料の点数と算定要件

調剤基本料1
調剤基本料1 45点(処方箋の受付1回につき)調剤基本料1の施設基準
調剤基本料2、3、特別調剤基本料Aのいずれにも該当しない保険薬局であること
※調剤基本料の「注1」のただし書の施設基準に該当する保険薬局(「医療を提供しているが、医療資源の少ない地域」に所在する保険薬局)は、第88の2から4までの基準にかかわらず調剤基本料1となる。
調剤基本料の注1ただし書に規定する施設基準
(1)基本診療料の施設基準等別表第六の二に規定する地域に所在すること。
(2)当該保険薬局が所在する特定の区域内における保険医療機関(歯科医療のみを担当するものを除く。)について、許可病床数が二百床未満であり、その数が十以下であること。ただし、当該保険薬局において、特定の保険医療機関に係る処方箋による調剤の割合が七割を超える場合については、当該保険医療機関は、当該特定の区域内に所在するものとみなす。
(3)処方箋受付回数が一月に二千五百回を超えないこと。
解説
他の区分の施設基準に該当しない場合は調剤基本料1であり、現状では多くの薬局がこれに該当します。
医療資源の少ない地域の薬局は、一定の施設基準を満たせば、通常の処方箋集中率や処方箋受付回数の要件にかかわらず、調剤基本料1を算定することができます。
調剤基本料2
調剤基本料2 29点(処方箋の受付1回につき)調剤基本料2の施設基準
次のいずれかに該当する保険薬局であること。
イ 処方箋の受付回数が一月に四千回を超えること(一月の処方箋の受付回数が多い上位三の保険医療機関に係る処方箋による調剤の割合の合計が七割を超える場合に限る。)。
ロ 処方箋の受付回数が一月に二千回を超えること(イに該当する場合を除き、特定の保険医療機関に係る処方箋による調剤の割合が八割五分を超える場合に限る。)。
ハ 処方箋の受付回数が一月に千八百回を超えること(イ又はロに該当する場合を除き、特定の保険医療機関に係る処方箋による調剤の割合が九割五分を超える場合に限る。)。
ニ 特定の保険医療機関に係る処方箋の受付回数(当該保険薬局の所在する建物内に複数の保険医療機関が所在している場合にあっては、当該複数の保険医療機関に係る処方箋の受付回数を全て合算した回数とする。)が一月に四千回を超えること(イからハまでに該当する場合を除く。)。
ホ 特定の保険医療機関に係る処方箋の受付回数(同一グループの保険薬局(財務上又は営業上若しくは事業上、緊密な関係にある範囲の保険薬局をいう。以下同じ。)のうち、これに属する他の保険薬局において、保険医療機関に係る処方箋による調剤の割合が最も高い保険医療機関が同一の場合は、当該他の保険薬局の処方箋の受付回数を含む。)が、一月に四千回を超えること(イからニまでに該当する場合を除く。)。
解説
調剤基本料2では、処方箋の受付回数が多い規模の大きい薬局が該当します。
2024年度の改定により、算定対象となる薬局に、1ヶ月における処方箋の受付回数が4,000回を超え、かつ、処方箋受付回数が多い上位3つの保険医療機関に係る処方箋による調剤の割合が7割を超える薬局が加わりました。
調剤基本料3
調剤基本料3 イ 24点 ロ 19点 ハ 35点(処方箋の受付1回につき)調剤基本料3のイの施設基準
次のいずれかに該当する保険薬局であること。
イ 同一グループの保険薬局における処方箋の受付回数の合計が一月に三万五千回を超え、四万回以下のグループに属する保険薬局((6)に該当するものを除く。)のうち、特定の保険医療機関に係る処方箋による調剤の割合が九割五分を超える又は特定の保険医療機関との間で不動産の賃貸借取引があること。
ロ 同一グループの保険薬局における処方箋の受付回数の合計が一月に四万回を超え、四十万回以下のグループに属する保険薬局((6)に該当するものを除く。)のうち、特定の保険医療機関に係る処方箋による調剤の割合が八割五分を超える又は特定の保険医療機関との間で不動産の賃貸借取引があること。
調剤基本料3のロの施設基準
同一グループの保険薬局における処方箋の受付回数の合計が一月に四十万回を超える又は同一グループの保険薬局の数が三百以上のグループに属する保険薬局((6)に該当するものを除く。)のうち、次のいずれかに該当する保険薬局であること。
イ 特定の保険医療機関に係る処方箋による調剤の割合が八割五分を超えること。
ロ 特定の保険医療機関との間で不動産の賃貸借取引があること。
調剤基本料3のハの施設基準
同一グループの保険薬局における処方箋の受付回数の合計が一月に四十万回を超える又は同一グループの保険薬局の数が三百以上のグループに属する保険薬局((2)、(4)のロ又は(6)に該当するものを除く。)のうち、特定の保険医療機関に係る処方箋による調剤の割合が八割五分以下であること。
解説
調剤基本料3のイでは、集中率が高く、中小規模のチェーン薬局が該当します。
調剤基本料3のロでは、大手チェーン薬局が該当します。処方箋受付回数や店舗数300という基準が設定されています。店舗数300という基準は、2022年度の診療報酬改定で加わりました。
調剤基本料3のハでは、大手チェーン薬局が該当します。ロと比較して、集中率が低い薬局はこちらに該当します。
特別調剤基本料
特別調剤基本料A 5点
特別調剤基本料B 3点
特別調剤基本料Aの施設基準
保険医療機関と不動産取引等その他の特別な関係を有している保険薬局(当該保険薬局の所在する建物内に保険医療機関(診療所に限る。)が所在している場合を除く。)であって、当該保険医療機関に係る処方箋による調剤の割合が五割を超えること。
特別調剤基本料B
施設基準の届出を行っていない薬局が対象
解説
特別調剤基本料Aは、いわゆる敷地内薬局が該当します。
加算については算定要件の制限があり、地域支援体制加算・後発医薬品調剤体制加算・在宅薬学総合体制加算は100分の10に相当する点数のみ算定されます。その他、特別な関係を有する保険医療機関への情報提供を行った場合に算定できない点数があります。また、7種類以上の内服薬(特に規定するものを除く)の調剤を行った場合、所定点数の100分の90に相当する点数で算定するなどの減算もあります。
敷地内薬局においては、改定の度に手厳しい点数となっています。
調剤基本料のポイント
ポイント①集中率
現状では、処方箋受付回数が多く、規模が大きい薬局や大手チェーン薬局において、集中率が85%、95%といった基準が定められています。患者のための薬局ビジョンなどを参考に、今後の薬局の方向性を考えると、地域におけるかかりつけ薬局としての役割が期待されています。そのため、今後、面で処方箋を受ける薬局が評価されることが考えられますので、集中率について意識しておくことが大切でしょう。
ポイント②敷地内薬局
診療報酬改定のたびに、敷地内薬局における点数は減算されています。今回は診療報酬点数の内容には盛り込まれませんでしたが、敷地内薬局を持つ会社全体に減算が及ぶ可能性についての議論もありました。今後も引き続き注視が必要であり、敷地内薬局における点数が厳しくなることが予想されます。ポイント③大手チェーン薬局
調剤基本料には、薬局経営の効率性の観点が含まれているため、効率性が高いとされる大手チェーン薬局の点数は低く設定されています。2022年度の改定では、300店舗というラインが要件に盛り込まれるなど、こちらも年々厳しくなっています。一方で、大手チェーン薬局の基本料の引き下げが難しくなってきた場合には、個店や小規模の会社における点数の引き下げも行われるのではないかと予想されます。
『調剤基本料』に関するQ&A

続いて、調剤後薬剤管理指導料についてよくある質問にお答えします。

薬局の場合は、「40歳未満の勤務医師・勤務歯科医師・薬局の勤務薬剤師、事務職員、歯科技工所等で従事する者の賃上げに資する措置として、+0.28%の改定」となっています。
2024年度にベア+2.5%、2025年度にベア+2.0%の実現を踏まえた内容とされており、会社としては意識する必要があるでしょう。


2024年度施行以降、前年5月1日〜当年4月末までの実績によって判定されます。




調剤基本料3-ロは、大手チェーン薬局であり(300店舗以上 or 同一グループ400,000回超/月)、集中率が85%超と高い薬局が該当してきます。

調剤基本料に関連する疑義解釈
2024年度の診療報酬改定における、調剤基本料に関連する疑義解釈を記載します。



①令和6年8月に新規指定を受ける場合
②令和7年4月に新規指定を受ける場合

まとめ

今回は、2024年度の調剤基本料の改定の変更点をおさらいするとともに、それぞれの施設基準の詳細と押さえておくべきポイントについて説明しました。大手チェーン薬局や敷地内薬局における要件や減算が厳しくなってきている一方で、今後、個店や小規模の薬局においても、調剤基本料が厳しくなっていくことが想定されます。一定の機能(体制)を有する薬局を評価するものとして、地域支援体制加算、後発医薬品調剤体制加算、連携強化加算などがあります。これらの加算を基本料にプラスして取得できるかが大きな鍵となるでしょう。
今後の調剤基本料の動きを予想し、薬局の運営をどのようにしていくのが良いかを考えることが大切ですので、今回の記事が一つの参考になれば幸いです。
※掲載内容は執筆時点での情報です。
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竹中 孝行 薬剤師
執筆・監修者プロフィールはこちら薬剤師。外資系製薬会社に勤務後、保険薬局勤務を経て、2012年株式会社バンブーを設立。薬局、介護、美容事業を運営。 一般の方に薬局・薬剤師のことをより知ってもらうことを目的に、2016年一般社団法人薬局支援協会を...

















