1.痛み止めセレコックスとはどんなお薬?

セレコックス(一般名:セレコキシブ)は2007年6月にアステラス製薬とファイザーから発売されました。

一般名のセレコキシブとは、セレコックス(商品名)の成分のことです。

 

セレコキシブは非ステロイド鎮痛消炎剤(NSAIDs)であると同時に、コキシブ系鎮痛消炎剤ともいわれ、日本ではセレコキシブが初のコキシブ系鎮痛消炎剤になります。

現在、セレコックスには100㎎と200㎎の錠剤があります。医師が処方するお薬なので、ドラッグストアなど市販で購入することはできません。

 

1-1. セレコックスの効能効果

間接リウマチ・変形性関節症・腰痛症・肩関節周囲炎・肩関節周囲炎・頸肩腕症候群・腱、腱鞘炎

手術後、外傷後並びに抜歯後の消炎や疼痛(添付文書より抜粋)

 

1-2. セレコックスの用法・用量

※15歳未満の小児は飲むことができません。

○関節リウマチ:セレコキシブ「100~200㎎」を朝、夕食後、1日2回、飲みます。

○関節リウマチ以外の疾患(手術、外傷、抜歯後を除く):セレコキシブ「100mg」を朝、夕食後、1日2回、飲みます。

○手術後、外傷後並びに抜歯後の消炎や疼痛:初回のみセレコキシブ「400㎎」で、2回目からは「200㎎」を朝、夕食後1日2回、飲みます。2回目を飲むときは1回目から6時間以上、開いていることが望ましいです。また、頓服として飲む場合、初回だけセレコキシブ「400㎎」を飲み、痛みが改善されなければ、2回目「200㎎」を飲みますが、1日2回まで。2回目を飲みとき、前回から6時間以上、経っていることを確認しましょう。

 

1-3. セレコキシブ(セレコックスの成分)の作用機序

セレコキシブはNSAIDsに分類されるお薬ですが、他のNSAIDsと比較して胃に優しいお薬といわれています。その理由はセレコキシブの作用機序にあります。

発痛物質といわれるPG(プロスタグランジン)はアラキドン酸からCOX(シクロオキシゲナーゼ)という酵素によって生成されます。セレコキシブなどのNSAIDsはCOXの働きを阻害し、PGの生成を抑えます。

ここまではセレコキシブもコキシブ系以外のNSAIDs(ロキソニンやイブプロフェン、ボルタレンなど)も同じ作用機序です、

実はCOXにはCOX-1とCOX-2があります。

この2つのCOXが生み出すPGは同じものではありません。

 

  • COX-1が生み出すPG:胃粘膜を保護し、腎機能を守る一方で血栓を作りやすい(血小板凝集作用:トロンボキサンの生成)

 

  • COX-2が生み出すPG:痛みや炎症を起こさせる物質であり、血管を拡げたり、血栓をできにくくする働きもある

 

セレコキシブなどのコキシブ系鎮痛消炎剤はCOX-2を強く阻害し、COX-1を阻害する働きは弱くなるように製剤設計されました。そのため、COX-2選択阻害薬という別名があります。

ちなみに、コキシブ系鎮痛消炎剤以外のNSAIDsはCOX-1とCOX-2、両方を阻害します。このことからこの薬のグループ(ロキソニンやイブプロフェン、ボルタレンなど)は非選択性NSAIDsともいわれています。

 

セレコキシブが胃に優しい痛み止めといわれる理由は、「胃粘膜を保護するPGの生成を阻害しないから」ということになります。

 

では、セレコキシブのコキシブ系鎮痛消炎薬がとくに心臓や血管に負担をかけ、心血管系の病気の誘因になるという報告があった理由について解説します。

 

2.セレコキシブが心臓や血管に負担をかけるといわれた理由

詳細をいえば、セレコキシブと同じグループのコキシブ系鎮痛消炎薬であるロフェコキシブ(日本では未承認)が、とくに心臓や血管に負担をかけるという結果になったため、同類のセレコキシブも理論的にそうではないかと予測されたのです。

 

セレコキシブは胃粘膜を保護するPGを生み出すCOX-1は阻害しないと前述しました。ところが、このPGは血栓を作りやすくする働きもあります。

また、血管を拡げたり、血栓を作りにくくするPGの生成を抑えるCOX-2の働きは阻害するため、心筋梗塞や脳血栓の発症誘因になると理論づけられたわけです。

よって、セレコキシブも非選択性NSAIDs以上に、心臓や血管に負担をかけやすいのではということになったわけです。

 

3.セレコキシブの心臓や血管への負担度はイブプロフェンなどと変わらない

2016年11月、ファイザーがアメリカで、セレコキシブが与える心血管系への影響を臨床試験した結果が出たことを公表しました。

24000人の変形性関節症や関節リウマチの患者さんを対象にした大規模の臨床試験が行われました。

その結果、心臓や血管への負担はイブプロフェンやナプロキセンといった非選択性NSAIDsと同程度であると証明されたとファイザーが告知しました。

ここで注意したいのは、セレコキシブが心血管系のリスクがなかったというのではなく、イブプロフェンと同等のリスクはあったということです。

要するに、セレコキシブだけでなくロキソニン、イブプロフェンなどほとんどのNSAIDsも心臓や血管に負担をかけているということです。

2016年4月に全日本民医連(※)は民医連副作用モニターに過去5年間、セレコキシブによる脳出血や心筋梗塞などの発症報告はなかったことを公表しました。

 

何度もお話しますが、セレコキシブは心臓や血管への負担がないというのではありません。

セレコックスの添付文書の冒頭にも心血管系疾患発症のリスクが高いという警告文は掲載されています。

では、非選択性NSAIDsがどのように心血管系と関わっているのでしょうか?

※全日本民医連:全日本民主医療機関連合会の略称。医療従事者と住民が協力し合って、どんな人でも受けやすい医療を目指して医療機関が全国各地に設立。民医連に加入している事業所は1700以上。

 

4.非選択性NSAIDs(ロキソニンなど)と心血管系の関係は?

ロキソニンやイブプロフェンなどの非選択性NSAIDsのよくある副作用に、腎機能低下や浮腫などがあります。

非選択性NSAIDsはCOX-1とCOX-2を阻害します。そのため、痛みや炎症は抑えますが、胃粘膜が荒れ、腎機能低下がおこりやすく、ナトリウムや水分が体外に出にくくなります。そのため、むくみ(浮腫)がおき、心臓や血圧にも悪影響を及ぼします。

また、心筋梗塞を起こした後、あるいはバイパス術など心臓の手術をした後、血液が固まらないようにするお薬(抗小板作用)を飲みます。

このような患者さんが頭痛や体の痛みが出て、非選択性NSAIDを飲んだ場合、PGの生成が阻害されるため、抗血小板剤との相乗効果でより出血しやすい状況を作ってしまうリスクがあります。

ロキソニンの添付文書の冒頭で、腎機能低下とともに心臓や血管へのダメージがあることを示唆しています。

 

5.痛み止め「NSAIDs」購入するときの注意点

セレコックスは医療用医薬品なのでドラッグストアなど市販では販売されていませんが、ロキソニンやイブプロフェン、アスピリン(アセチルサリチル酸)などはドラッグストアや薬局で購入出来ます。

このような痛み止めを購入するときの注意点を掲載します。

 

○飲む人は15歳以上であること

○購入時に薬剤師や販売登録者に相談をおススメの人

○ぜん息に罹患している人

○胃潰瘍や十二指腸潰瘍に罹患中、過去に罹患した人

○腎臓や肝臓の機能低下がある人

○心筋梗塞や脳梗塞などの血栓系疾患を発症した人

○血液をサラサラにするお薬を飲んでいる人

 

その他、気になることがあれば、相談してから購入しましょう。

また、高齢者はたとえ、無病で健康体であっても若いときと比べ、生理機能の低下がみられるため要注意です。

 

6.まとめ

セレコックスは心臓や血管に対する負担が他のNSAIDsと同程度ということで、「とくに」ではないという見解になりました。とはいえ、心血管への影響は依然としてありますからこれからも注意を要するお薬として認識する必要があります。

 

また、セレコックス以外のNSAIDsも心臓や血管への負担があるということをいつも頭に入れておきましょう。