1.ミノマイシンについて

1-1. 有効成分と作用

有効成分

ミノマイシンの有効成分は「ミノサイクリン」という抗生物質です。

 

作用の仕方

タンパク質を合成する「リボソーム」という細胞小器官を阻害することで、細菌のタンパク質の合成を抑制し、細菌の増殖を抑えます。

 

 

1-2. どんな症状に使われる?

ミノマイシンは抗菌薬なので、以下のような感染性疾患に使用します。

 

・皮膚感染症

・リンパ節炎

・乳腺炎

・骨髄炎

・喉頭炎

・扁桃炎

・急性気管支炎

・肺炎

・膀胱炎

・尿道炎

・淋菌感染症

・感染性腸炎

・外耳炎

・中耳炎

・歯周組織炎

・つつが虫病

・オウム病 など

 

 

- - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -

ニキビに効果ある?その他の疾患にも!

 

ミノマイシンはニキビの原因となる「アクネ菌」に対しても有効で、ミノマイシンの服用はニキビ治療のガイドラインでも推奨されています。

アクネ菌を死滅させるのではなく、増殖を抑える薬ですので、治療には免疫機能の助けが必要となります。そのため、効果がみられるのに時間がかかり、服用開始後1週間ぐらいにはニキビの改善がみられます。

間違っても、服用して直ぐに効果がないからといって、服用を中止しないようにしましょう。抗菌薬の自己判断での服用中止は「薬剤耐性菌」の発生に繋がります。

 

また、ミノマイシンには抗菌作用以外にも、抗炎症作用と神経保護作用などがあり、関節リウマチや多発性硬化症、筋萎縮性側索硬化症、ハンチントン病、パーキンソン病などの治療にも利用できるのではないかと期待されています。

- - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -

 

1-3. ミノマイシンの剤形

ミノマイシンの内服薬には以下の剤形があります。

 

・ミノマイシン錠50mg

・ミノマイシンカプセル50mg

・ミノマイシンカプセル100mg

・ミノマイシン顆粒2%

 

どの剤形でも効果に変わりはありませんが、服用する方の年齢や病態・症状に合わせて使い分けされます。

 

 

1-4. ジェネリック医薬品はある?

ミノマイシンには、以下のジェネリック医薬品が販売されています。

※「〇〇」は製薬メーカーの屋号「サワイ」「日医工」「トーワ」など

 

・ミノサイクリン塩酸塩錠50mg「〇〇」

・ミノサイクリン塩酸塩錠100mg「〇〇」

・ミノサイクリン塩酸塩カプセル50mg「〇〇」

・ミノサイクリン塩酸塩カプセル100mg「〇〇」

・ミノサイクリン塩酸塩顆粒2%「〇〇」

 

 

2.テトラサイクリン系抗生物質について

2-1. 抗生物質の分類

抗生物質は、作用の仕方から以下の7つに分類されています。

 

抗生物質の分類

・ペニシリン系抗生物質

・セフェム系抗生物質

・カルバペネム系抗生物質

・マクロライド系抗生物質

・テトラサイクリン系抗生物質

・アミノグリコシド系抗生物質

・ニューキノロン系抗生物質

 

この中でも、ミノマイシンはテトラサイクリン系抗生物質に該当します。

 

 

2-2. テトラサイクリン系抗生物質の特徴

テトラサイクリン系抗生物質は、細菌の「リボソーム」という細胞小器官に作用し、タンパク質の生合成を阻害します。

細菌を殺菌するのではなく、細菌の増殖を抑える働きがあるため、治療には体の中の免疫機能も重要になります。

 

幅広い細菌に対して効果があり、グラム陽性菌、グラム陰性菌、クラミジア、リケッチア、マイコプラズマ、マラリアなどに有効です。

 

良く使用される抗菌薬に「クラリス」や「ジスロマック」などのマクロライド系抗生物質がありますが、近年、マクロライド系抗生物質に対して耐性を獲得したマイコプラズマが問題になっています。

テトラサイクリン系抗生物質は、「マクロライド耐性マイコプラズマ」にも有効性が高く、治療に使用されています。

 

このように、テトラサイクリン系抗生物質は有効性が高い抗生物質ですが、小児・妊婦さんには使用しづらいこと、耐性菌ができやすいこと、飲み合わせの悪い薬・飲食物があることなどから、使用される頻度は少ないのが現状です。しかし、以下のような抗菌作用以外の作用があることが報告されており、今後は利用される機会が増えるかもしれません。

 

【菌作用以外の作用】

・抗炎症作用

・神経保護作用

・免疫抑制作用

・傷の修復作用

 

 

3.ミノマイシンの服用方法と注意点

3-1. 服用方法

成人

通常、初回の投与量を100~200mg(ミノサイクリン塩酸塩の量として)として、以後12時間あるいは24時間おきに100mg(ミノサイクリン塩酸塩の量として)を服用します。
※年齢、体重、症状などに応じて用量が増減する場合があります。

 

小児

通常、体重1kgあたり、ミノサイクリン塩酸塩として2~4mg(ミノマイシン顆粒2%として0.1~0.2g)を1日量として、12時間あるいは24時間おきに服用します。

※年齢、症状に応じて用量が増減する場合があります

 

 

- - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -

ミノマイシン顆粒の飲ませ方

 

「ミノマイシン顆粒2%」はオレンジ風味に味が付いていますが、苦味を感じて服用を嫌がるお子さんもいます。

飲みにくい場合は、乳酸菌飲料、プリン、チョコクリームと一緒に服用すると飲みやすいでしょう。何かに混ぜる場合には、服用する直前に混ぜましょう。

一緒に服用すると飲みにくくなるものは特にありませんが、牛乳、ヨーグルト、スポーツドリンクは薬の吸収を悪くしてしまいます。これらは服用してから2時間以上あけてください。

 

- - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -

 

 

3-2. 飲み合わせの悪い薬・飲食物

テトラサイクリンは、Ca(カルシウム)、Mg(マグネシウム)、Al(アルミニウム)、Fe(鉄)などのミネラルと一緒に服用すると、キレートという複合体を形成し、腸での吸収が悪くなってしまいます。

 

Caを含む消化管機能改善薬(コロネル、ポリフル)、Al・Mgを含む制酸薬・便秘薬(スクラート、マグミット、酸化マグネシウムなど)、貧血で服用する鉄剤(フェロミア、テツクールなど)を服用する場合は、ミノマイシンの服用と3時間程度あけてください。

 

Ca、Mg、Al、Feを含むサプリメントやCaを多く含む飲食物(牛乳、ヨーグルトなど)も同様です。

硬度の高いミネラルウォーターでの服用も同じ理由で、腸での吸収が悪くなる可能性があるので避けた方が良いでしょう。

 

また、血栓の薬「ワーファリン」や心不全の薬「ジゴシン」「ラニラピッド」などを服用中の方は、副作用のリスクが高くなる可能性があります。

ワーファリンによる出血傾向(血が出やすい、痣ができやすい、血が止まらない)、ジゴシン、ラニラピッドによる吐き気・下痢、脈の乱れ・動悸、めまいなどの副作用症状がみられる場合は、医師・薬剤師にご相談ください。

 

3-3.  服用に注意が必要な方

・テトラサイクリン系抗生物質で過敏症を起こしたことのある方は服用することができません。

 

・妊娠中の方や小児(特に8歳未満の小児)に投与した場合、胎児やお子さんに歯牙着色・エナメル質形成不全、一過性骨発育不全を起こすことがあるため、他の抗生物質で治療ができない場合以外には一般に使用しません。

 

3-4. その他の注意事項

・治療の途中で服用を中止してしまうと、薬が効きにくい「薬剤耐性菌」を生み出す恐れがあります。症状の改善がみられても自己判断では服用を中止せず、最後まで飲みきってください。

 

・めまいが起こることがあるので、ミノマイシン服用中は自動車の運転や危険を伴う機械の操作、高所での作業などを控えるようにしましょう。

 

・稀に服用した後に、尿が茶色や緑色、青色に変色することがありますが、体調には問題ありません。

 

・食道で留まってしまうと潰瘍を起こすことがあるので、多めの水で服用し、就寝直前の服用などには注意してください。

 

 

4.ミノマイシンの副作用

テトラサイクリン系抗生物質に特徴的な副作用に「めまい・吐き気」があります。

高用量を服用した場合に起こることが多く、用量を下げたり服用を中止すれば改善する場合がほとんどです。しかし、自己判断での減量・中止はなるべく避け、処方医に指示を仰ぐようにしましょう。また、ミノマイシン服用中は車の運転や危険な機械の操作、高所での作業は控えてください。

 

抗菌薬に共通の副作用として「下痢・軟便」があります。

症状の軽い下痢・軟便の場合は、服用の中止はせずに、こまめに水分を摂取しながら服用を継続してください。

重篤な下痢(1日に何度もトイレに行く、血便、粘液が混ざった便)がみられる場合は、医師・薬剤師にご相談ください。

 

その他にも以下のような副作用が報告されています。

 

 

アナフィラキシーショック

皮膚の痒み、蕁麻疹、喉の痒み、冷や汗、息苦しい、動悸、めまい、意識の低下 など

 

皮膚粘膜眼症候群(Stevens-Johnson症候群)

中毒性表皮壊死融解症(TEN)

高熱(38℃以上)、目の周りや唇のただれ、喉の痛み、皮膚の広範囲の赤み など

 

薬剤性過敏症症候群

皮膚の広い範囲の赤み、高熱(38℃以上)、喉の痛み、食欲不振、倦怠感 など

 

血液障害

発熱、喉の痛み、頭痛、倦怠感、痣ができやすい、めまい など

 

肝機能障害

倦怠感、食欲不振、発熱、発疹、吐き気、皮膚の痒み、皮膚や白目が黄色くなる など

 

腎機能障害

尿量が少なくなる、ほとんど尿が出ない、むくみ、発疹、倦怠感 など

 

間質性肺炎

軽い運動(階段を登るなど)での息切れ、痰が絡まない咳、発熱 など

 

膵炎

胃のあたりがひどく痛む、吐き気・嘔吐 など

 

精神神経障害

痙攣、一時的にボーっとして意識が薄れる、めまい など

 

偽膜性大腸炎

重篤な下痢、粘性の便、お腹の張り、腹痛、発熱、吐き気 など

 

この他にも副作用は報告されているので、服用後に体調の異変があれば医師・薬剤師にご連絡ください。

 

 

5.おわりに

ミノマイシンの有効性や特徴についてご理解して頂けたでしょうか?

使い勝手が悪いため処方される機会はあまり多くありませんが、もし処方された際には、めまいなどに注意して服用してください。

また、ミノマイシンは比較的耐性菌ができやすい抗菌薬ですので、しっかりと忘れずに服用をお願します!