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調剤報酬改定に注目した方がよい理由は?

皆さんがご存知の通り、保険薬局の収入は、厚生労働大臣が定める点数、すなわち調剤報酬によって決定されます。
2年ごとに改定が行われ、その内容によっては薬局の経営方針が大きく変わることがあります。そのため、調剤報酬の改定内容を把握していなければ、以前に加算されていた点数が加算されなくなることや、新たに加算可能な点数を見逃してしまうことで、薬局の経営に大きな影響を及ぼす可能性があります。また、調剤報酬の詳細をしっかり理解することで、国が期待する薬局の理想像を知ることができます。この方向性に沿って先手を打って行動することができれば、毎回の改定において不安になることはなくなり、薬局の成長を促進することができるでしょう。
2024年度の調剤報酬改定の方針について
まずは、2024年度の調剤報酬改定のスケジュールとともに大枠の方針を説明します。
調剤報酬改定のスケジュールは?

2024年度の調剤報酬改定の内容が答申され、点数含め全容が示されましたが、実際に施行されるのは、6月1日となります。
今までは4月1日に施行されていましたが、医療機関・薬局、システムベンダの業務負担を軽減するため、今回の改定から2ヶ月後ろ倒しになりました。一方、薬価改定に関しては例年どおり、4月1日からの実施となりますのでご注意ください。
調剤報酬改定の方針は?
今回の診療報酬全体の改定率は+0.88%の改定率となりました。看護職員・病院薬剤師その他の医療関係職種ベア引き上げのための特例的対応分(+0.61%)等を除く、+0.46%を、医科は+0.52%、歯科は+0.57%、そして調剤は+0.16%と、例年通り1:1.1:0.3 で配分することで着地となりました。診療報酬改定全体の大枠の方針としては、4つのポイントがあり、①人材確保・働き方改革等の推進、②対物から対人へと質の高い医療の推進、③質の高い在宅医療の確保など地域包括ケアシステムの深化・推進、④医療DXの有効活用や後発医薬品の推進など医療保険制度の安定性・持続可能性への向上、があります。
2024年度の調剤報酬改定のポイント
続いて、皆さんが最も気になる調剤報酬改定の主なポイントを解説します。ここでは、全てを解説しきれないため、大まかなイメージをとらえていただき、詳しくは答申資料をご参考ください。

ポイント①:調剤基本料

調剤基本料は、全体としてそれぞれ現行から+3点となります。一方、敷地内薬局においては特別調剤基本料Aが該当し、現行7点から、5点とマイナスになり、後発医薬品調剤体制加算や地域支援体制加算等が100分の10、多剤調剤時に薬剤料を減額するなど減算となっています。
また、調剤基本料2に、月4000回以上の処方箋受付があり、かつ上位3つの医療機関の処方箋枚数を合わせた調剤の割合が70%を超えている店舗も該当となりました。こちらは主に医療モール薬局が該当してきます。
ポイント②:地域支援体制加算

地域支援体制加算1,2,3,4ともに、現行から-7点となりました。また、加算要件も大きく変更になり、地域支援体制加算1.3においては、10個の要件の内3つ、地域支援体制加算2.4においては、10個の内8つを満たす必要があります。全体として現行より満たすべき数字的なハードルは下がっているものの、クリアしなければいけない要件の数が増えています。
そのため、必須となっているかかりつけ薬剤師指導料を率先して行なっていく他、在宅医療、あとは服薬情報等提供料の算定も重要度が高いため、積極的に行なっていく必要があるでしょう。
また、施設基準として、健康サポート薬局の届出要件となるOTC48薬効群の品目を取り扱うこと、緊急避妊薬を備蓄すること、など新たな基準が加わっていますので、よくご確認ください。

ポイント③:連携強化加算と医療DX推進体制整備加算

現行では地域支援体制加算と紐づいていた連携強化加算は別枠となり、現行2点から5点へとプラスとなりました。満たすべき施設基準としては3つで、第二種協定指定医療機関の指定、災害に備えた体制(BCP)、オンライン服薬指導体制の整備となります。
また、医療DX推進体制整備加算が月1回、4点として新設されました。施設基準としては、薬局においてDXを推進しているかが含まれており、オンライン請求、資格確認、電子処方箋、電子薬歴などが含まれています。

ポイント④:在宅医療

今回大きく評価が改められたのが在宅医療に関する項目です。既存の在宅患者調剤加算が廃止され、在宅薬学総合体制加算1(15点)、2(50点)が新設となりました。在宅医療に力を入れており、無菌調剤が可能な店舗は2の算定ができる可能性が高いでしょう。
また、在宅医療スタート時に薬学的管理の視点で訪問し、指導を行なった場合に算定できる在宅移行初期管理料(230点)や、処方箋を交付する前に残薬調整を行なった場合にも在宅患者重複投薬・相互作用等防止管理料が算定できることになったこと、主に終末期のケアにおける緊急訪問で、夜間(400点)、休日(600点)、深夜(1000点)とあらたに算定できることも大きなポイントとなります。介護保険においても居宅療養管理指導料は現行から+1点、かつ医療用麻薬持続注射療法加算、在宅中心静脈栄養法加算も算定できるようになりました。
また、無菌製剤処理加算の評価対象が見直され、医療用麻薬を希釈せずに原液のまま無菌調製を行った場合でも加算を算定できるよう変更されました。
ポイント⑤:特定薬剤管理指導加算3

薬剤師が行う服薬指導において、患者に対して特に重点的に丁寧な説明が必要なケースでは特定薬剤管理指導3を算定できるようになります。たとえば、医薬品リスク管理計画(RMP)の策定が義務付けられている医薬品を初めて処方された患者に対してRMPに基づいた情報提供資材を活用して、副作用や適正使用に関する説明を行うことで本加算を算定できます。他に算定できるケースとして、選定療養の対象となる先発医薬品を選択しようとする患者に対してその説明を行った場合や、供給状況が不安定な医薬品について、前回とは別の銘柄を調剤・交付し丁寧な説明を行った場合などがあげられます。
ちなみに、10月から薬局においてスタートする選定療養の仕組みに合わせて、処方箋の書式変更などが行われました。選定療養に関しては、薬局において今までにない仕組みとなりますので別途詳しく確認するようにしましょう。
ポイント⑥:服薬情報等提供料2
保険薬局と医療・介護に関わる多職種との連携を強化するため、薬剤師が服薬情報等に関する情報提供を行った場合に算定する服薬情報等提供料2の算定要件が見直されました。改定後は介護支援専門員に対して情報提供を行った場合やリフィル処方箋調剤に伴う医療機関への情報提供においても本指導料を算定できます。一方で、これまでは患者や患者家族等に対して服用薬の情報を提供した場合にも算定できましたが、改定後は算定対象外となります。ただし緊急安全性情報等の安全に関する情報提供を行った場合には特定薬剤管理指導3を算定できます。
ポイント⑦:その他のポイント
薬学的フォローアップに関する評価として、調剤後管理指導料が新設され、糖尿病患者、慢性心不全患者が対象となり60点が算定可能となりました。本指導料は、かかりつけ薬剤師指導料の算定とも合わせて行うことができます。吸入薬指導加算もこれまではかかりつけ薬剤師指導料との同時算定は不可でしたが、調剤報酬改定後からは同時算定できるようになります。またいわゆるハイリスク薬の算定要件は見直され改定後は、算定できるタイミングが限定されました。これまでのように毎回算定できるものではなくなったため、算定タイミングに注意が必要です。
これまで飲みやすくするために製剤上の調製を行った場合に算定していた嚥下困難者用製剤加算が廃止となり、自家製剤加算における算定のみに変更となります。
外来服薬支援料2は一包化調剤などによって患者の服薬管理を容易にすることで算定できる加算です。介護老人福祉施設の施設職員と協働して服薬管理を行った場合には外来服薬支援料2 施設連携加算を算定できることとなりました。
『調剤報酬改定』に関するQ&A

ここからは、2024年度の調剤報酬改定のなかで疑問に感じやすいご質問に回答していきます。詳しくは、今後、厚生労働省から発信される疑義解釈資料をご参考ください。

新規算定を行う場合には、2023年5月〜2024年4月31日の実績に基づいて届出が必要になります。


オンライン診療に伴う緊急避妊薬の調剤を行うためには、各都道府県で実施される研修を受ける必要がありますが、通常の外来での調剤を行う上では研修は必須ではないと考えられます。


指定の要件、指定の手続きに関しては、所轄の各都道府県のホームページ等にてご確認下さい。


特別調剤基本料A(敷地内)を算定する薬局において10分の1の算定となります。
一方、医療機関側としては、後発医薬品使用体制加算、外来後後発医薬品使用体制加算、一般名処方加算などが引き上げとなっており、より一層、後発医薬品の使用は推進されると考えられます。


具体的には、先発医薬品(後発医薬品の上市後5年以上経過したもの又は後発医薬品の置換率が50%以上となった長期収載品)を対象に、後発医薬品の最高価格帯との価格差の4分の3までを保険給付の対象とし、4分の1は保険給付の対象外となります。

まとめ

今回は、2024年度の調剤報酬改定の答申内容をもとに、薬局にお勤めの皆さんにとって特に重要な改定のポイントを選び、できるだけ分かりやすい形で解説しました。
基本料がプラスになるものの、地域支援体制加算はマイナスに転じているので、そのマイナス分を新設された加算や在宅医療での取り組みでどうカバーしていくかが課題になるかと考えられます。
まずは今回の改定内容をしっかりと把握し、日々の現場での取り組みの活かしていただくとともに、薬局の経営という視点からも点数を参考にしましょう。
また、今後の薬局に求められる評価を知ることで、先んじて薬剤師、薬局の理想の姿を目指して日々の業務に取り組んでいただくことにつながることを祈っております。
※掲載内容は執筆時点での情報です。
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竹中 孝行 薬剤師
執筆・監修者プロフィールはこちら薬剤師。外資系製薬会社に勤務後、保険薬局勤務を経て、2012年株式会社バンブーを設立。薬局、介護、美容事業を運営。 一般の方に薬局・薬剤師のことをより知ってもらうことを目的に、2016年一般社団法人薬局支援協会を...
















