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ロコアテープは、最近発売された貼り薬です。その特徴や効果について、以前から使用されているロキソニンテープと比較することで解説します。
貼り薬の開発は、薬の侵入をバリアする「皮膚」との戦い

私たちヒトの全身は皮膚におおわれていますが、そもそもなぜ皮膚が必要なのか、考えてみたことがあるでしょうか。
日ごろ、皮膚の存在に恩恵を感じる機会は少ないかもしれませんが、実際には触覚を司ったり、外界との熱交換を行ったりと、様々な働きをしています。
こうした皮膚の機能の中に「保護」というものがあります。これは、その名の通り私たちの身体を守ってくれるという機能ですが、より具体的には有害物質やウイルスなどの侵入を防いでいます。これにより、我々の健康が保たれるのです。
一方で、薬を使用する状況ときには、こうした皮膚の機能がマイナスに働くケースがあります。
具体的には、湿布などの貼り薬を使う場合です。薬も身体にとっては本質的に異物なので、上で紹介した皮膚の保護機能によって、身体に入らないようにブロックされてしまいます (1)。こうした事情から、貼り薬の開発は常に皮膚の保護機能との戦いと言えます。
ロコアテープは「貼る飲み薬」と言える

今回の記事テーマであるロコアテープとロキソニンテープは、どちらも痛み止めとして使用する貼り薬です。
ロキソニンテープを含めた従来製品は、先ほど述べた皮膚のバリア機能の影響から、効果を期待する部位への吸収があまり良くないという問題点を抱えていました。そこで「より吸収されやすい貼り薬を生み出そう」という意図から開発されたのが、ロコアテープというわけです。
どのくらい吸収されやすいかと言えば、2枚を貼ったときの血液中の薬物濃度が、飲み薬を飲み続けた場合とほとんど同じになるほどです (2)。通常の貼り薬では、血液中まで有効成分が届く割合は極めて少ないと考えられるので、これは従来製品との大きな違いと言えます。
こうしたことから、ロコアテープは貼り薬でありながら、飲み薬に近い性質を持った薬であると言うことができます。
有効成分は両者とも「NSAID」
これらは、以前の記事でも紹介した「NSAID」に分類される成分です。今一度おさらいしておきますと、痛みや腫れなどに効果のある成分です。
要するに痛み止めの貼り薬です。またエスフルルビプロフェンは、すでに「アドフィード」などの商品名で販売されている「フルルビプロフェン」の鏡像異性体のうち、S体だけを取り出したものです (2)。
使用できる病気・症状

■ロコアテープ
変形性関節症のみ (3)
2016年1月に発売された薬で、海外でもまだ使用実績がないため、使用できる病気が限定されています (2)。
■ロキソニンテープ
変形性関節症、筋肉痛、外傷後の腫脹・疼痛 (4)
こちらは、普通のケガなどにも使うことができます。
貼り方

■ロコアテープ
1日1回患部に貼る。1回に貼る枚数は2枚まで (3)
ロコアテープは吸収が良いので、たくさん貼ると飲み薬を大量に飲んだのと同じような影響を体に与えます。そのため、一度に使用できる枚数が制限されています。
■ロキソニンテープ
1日1回患部に貼る (4)
特に、使用枚数についての制限はありません。
使用上の注意

■ロコアテープ
一緒に使用できない薬がある。副作用は胃腸障害に注意 (3)
繰り返しになりますが、ロコアテープは貼り薬の形をした飲み薬ともいえるので、使用にあたっては飲み薬のNSAID並みの注意が必要です。
■ロキソニンテープ
併用に問題ある薬は特になし。貼った部位のかぶれに注意 (4)
ロキソニンテープを含めて、通常の痛み止めの貼り薬は、貼った部位がかぶれたりする点を除けば、特段の注意を要することは少ないと言えます。
実際の効果の違いは?

ロコアテープは、使用実績が少なく、効果や使用に関するエビデンスは、非常に限られています。
現状では、製薬企業が提供するデータをもとに判断するほかないのですが、その中に、ロコアテープがひざの痛みを抑える効果を、通常のフルルビプロフェン貼り薬と比較したものがあります (2)。ちなみに、フルルビプロフェン貼り薬は、ロキソニンテープほぼ同等の効果を持つと考えられています (5)。
これを見ると、確かにロコアテープで効果が高く、その差は統計学的にも意味があるものでした。そのため、「ロコアテープは、これまでの痛み止め貼り薬より効果が高い」と考えられがちです。しかし、本当にそうでしょうか?
冷静に考えてみれば、統計学的に有意な (=意味のある) 差が得られたとしても、実際の治療において意味のある差がそれ以上なら、実質的に意味がないことになります。
こうした事情から、近年注目されるようになった考え方に「臨床的に意義のある最小変化量 (MCID)」というものがあります。これはその名の通り、実際の治療において意味のある最小の差、と言うことです。
では、痛み止め貼り薬を使った場合のMCIDは、どのくらいなのでしょうか。
MCIDは、対象にしている病気や症状、その評価方法などによってさまざまです。先ほど紹介したデータでは、Visual Analogue Scale (VAS) という痛みの評価尺度が使われています (2)。
そこで、いろいろな部位の痛みにおけるVASのMCIDを調べたところ、発見できたうちもっとも小さいもので13.7mm (6)、その他もおおむね15-30mmでした (7-9)。よって、少なくとも13.7mm以上の差がなければ、意味のある違いとは言い難いでしょう。
では、ロコアテープとフルルビプロフェン貼り薬の効果の差はいくらかと言えば、7.8mmです (2)。つまり、現時点ではロコアテープは、ロキソニンテープを含めた従来品と比較して、より効果が高いと評価できるデータはないと考えるのが妥当です。
これは、使用についても同様です。新しい薬全てに言えることですが、販売が開始された直後は未知の部分が多く、慎重に使用してデータを集めていく必要があるのです。
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まとめ

■ロコアテープとロキソニンテープは、どちらもNSAIDの貼り薬である
■ロコアテープは、変形性関節症にしか使えない
■ロキソニンテープは、筋肉痛やケガの痛みにも使用できる
■ロコアテープは吸収されやすく、使用にあたってはNSAIDの飲み薬と同様の注意が必要である
■ロコアテープの効果が従来品より優れているかどうかは、現状では判断できない
参考文献
・(1) 瀬崎仁 他 薬剤学第4版 廣川書店
・(2) ロコアテープ インタビューフォーム 大正製薬株式会社
・(3) ロコアテープ 添付文書 大正製薬株式会社
・(4) ロキソニンテープ50mg/ロキソニンテープ100mg 添付文書 第一三共株式会社
・(5) ロキソニンパップ・ロキソニンテープ インタビューフォーム 第一三共株式会社
・(6) Hawker GA, et al. Measures of adult pain: Visual Analog Scale for Pain (VAS Pain), Numeric Rating Scale for Pain (NRS Pain), McGill Pain Questionnaire (MPQ), Short-Form McGill Pain Questionnaire (SF-MPQ), Chronic Pain Grade Scale (CPGS), Short Form-36 Bodily Pain Scale (SF-36 BPS), and Measure of Intermittent and Constant Osteoarthritis Pain (ICOAP). Arthritis Care Res (Hoboken). 2011 Nov;63 Suppl 11:S240-52. PMID: 22588748
・(7) Fishbain DA, et al. At Completion of a Multidisciplinary Treatment Program, Are Psychophysical Variables Associated with a VAS Improvement of 30% or More, a Minimal Clinically Important Difference, or an Absolute VAS Score Improvement of 1.5 cm or More? Pain Med. 2016 Apr;17(4):781-9. PMID: 26814242
・(8) Lee JS, et al. Clinically important change in the visual analog scale after adequate pain control. Acad Emerg Med. 2003 Oct;10(10):1128-30. PMID: 14525749
・(9) Katz NP, et al. Determining the clinical importance of treatment benefits for interventions for painful orthopedic conditions. J Orthop Surg Res. 2015 Feb 3;10:24. PMID: 25645576
※掲載内容は執筆時点での情報です。
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黒田 真生 薬剤師
執筆・監修者プロフィールはこちら薬剤師免許取得後、岡山県倉敷市の老舗薬局「いずし薬局」での修業を経て、2016年に独立。現在かわべ薬局の薬局長を務めるかたわら、岡山大学薬学部の非常勤講師として教壇に立つ。また、薬剤師の情報リテラシー向上を目...

























