目次
寝ても寝ても眠い場合に考えられる原因は?
原因①:睡眠の質に影響を与える日常生活上の問題
過眠の原因の多くは生活習慣にあります。予定を詰めすぎたり、スマートフォンをついつい長時間使用したりすることで、必要な睡眠時間が取れていないことがよくあります。また、明るすぎる部屋や身体に合わない寝具で睡眠をとることで質の良い睡眠が得られず、結果的に十分な睡眠時間をとっても日中に眠気が強くなることもよくみられます。
習慣的に摂取している嗜好品やお薬も睡眠の質に影響します。例えば、カフェインを含む飲み物を就寝前に摂取すると寝つきが悪くなり、結果的に質のよい十分な睡眠が得にくくなります。寝酒は寝つきをよくするものの、睡眠が浅くなり日中の眠気に繋がります。花粉症の治療で抗ヒスタミン薬を常用している場合では、慢性的な過眠が生じることがあります。
原因②:女性ホルモンの変動
月経周期において排卵後から生理が始まるまでの期間を黄体期といいます。黄体期には女性ホルモンの一種であるプロゲステロンの分泌が盛んになり、これが強い眠気をもたらします。一方、プロゲステロンは体温を高くする働きもあります。眠りにつく前に体温が下がることで眠りが促されるのですが、プロゲステロンの影響で体温が下がりにくく寝つきが悪くなり、眠りも浅くなります。この結果、黄体期は日中の眠気が強くなります。妊娠時は黄体期と同様にプロゲステロンの分泌が増加した状態が維持されるため、過眠傾向がみられます。特に妊娠初期に多い現象です。
原因③:うつ病
うつ病は誰でもかかる可能性のある精神疾患です。不眠が代表的な症状ですが、若い女性では逆に過眠を呈する方もおられ、過食をともなうことが多いのも特徴です。一般的なうつ病と様子が異なるため、見逃されやすいので注意が必要です。原因④:睡眠時無呼吸症候群
睡眠時無呼吸症候群では、睡眠中に気道が閉塞し10秒以上の呼吸停止が繰り返しみられます。肥満体型や顎の小さい人がなりやすく、細身の女性であっても油断できません。睡眠中の出来事であり本人にほとんど自覚がないことが多いですが、息苦しさのために覚醒を繰り返すため、浅い眠りが続くこととなり過眠に繋がります。高血圧を二次的に引き起こし、居眠り運転に繋がることも多いです。「よくいびきをかく」と家族に指摘されている場合は注意が必要です。原因⑤:過眠症
日中に過度な眠気があり、眠気の原因となる明らかな身体疾患や内服薬などがない場合は過眠症が疑われます。代表的な過眠症であるナルコレプシーは、居眠りするような場面(例;試験中)ではないのに「睡眠発作」が繰り返されます。10~20分程度の居眠りが持続し、短い居眠り後に一時的に頭がすっきりするのも特徴的です。また、喜怒哀楽の感情が強く変化したときに、突然全身の脱力がおこる「情動脱力発作」が生じることがあります。10歳代での発症が多いです。また、特発性過眠症も慢性的な睡眠不足がないのにもかかわらず、日中に強い眠気がみられる病気です。明確な原因はわかっていませんが、幼少期から長時間眠ることが多く、10代から日常生活に支障をきたします。両疾患とも、正確な診断には睡眠障害の専門医療機関での検査が必要です。
年代別で考えられる原因はどんなもの?

女性では月経開始に始まり、妊娠出産、更年期など女性ホルモンの劇的な変化が生涯を通してみられるため年代ごとに主な原因が変わってきます。
10代-30代で考えられる原因
子どもは小学校低学年頃から段々と夜型の生活パターンとなり、就寝時間が遅くなっていきます。男性、女性ともに20歳前後で夜型の生活がもっとも目立つ時期となり、その後は年齢とともに朝型に戻っていきます。学生時代は学校が始まる時刻に合わせて起床する必要があるので眠りが分断され、十分な睡眠時間が取れずに日中に眠気が残りやすいです。女性の場合、先に述べました黄体期や妊娠初期にはプロゲステロンの影響も加わりさらに眠気が強くなります。出産後は女性ホルモンのアンバランスや育児による寝不足が生じやすく、うつ状態にも陥りやすい時期でもあるので過眠傾向が強まりやすいです。
40代以降で考えられる原因
更年期とは、閉経をはさむ前後10年間の期間を指し、多くは40代以降に生じます。更年期障害では、閉経に向けて女性ホルモンの一つであるエストロゲンの量が減少します。エストロゲンは内臓や脳など身体の機能を調整する働きがあるため、更年期には身体にさまざまな不調が生じます。エストロゲンの減少により自律神経のバランスが崩れ、うつ状態になったり、睡眠が浅くなったりします。このため、質のよい睡眠が得られにくくなり、寝ても寝ても眠いと感じるようになります。催眠鎮静剤の売れ筋ランキングもチェック!
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治療・予防について
予防や対策方法はある?
寝ても寝ても眠い場合、まずは睡眠の質を下げている生活習慣がないかを確認することが大事です。つきなみですが生活リズムや食事内容に気をつけて、規則正しい生活習慣を確立するようにしましょう。どのような点に気をつけて生活習慣を見直せばよいかについては、「睡眠障害対処12の指針」にわかりやすく記載されておりますので是非ご参考にしてください。治療方法はあるの?こんなときは病院へ

生活習慣の改善を試みても日中の眠気が改善しない場合は、先にあげたような病気の可能性も否定できません。それぞれの原因に応じた医学的治療が必要となる場合もありますので、一度病院を受診することをおすすめします。
睡眠時無呼吸症候群の場合は、肥満の改善やCPAP(持続陽圧呼吸療法)が有効です。CPAPは鼻に装着したマスクから空気を一定の圧で流し込むことで睡眠中に気道閉塞が起きないようにし、呼吸をスムーズにする治療法です。ナルコレプシーや特発性過眠症の診断には、睡眠時の脳波測定など特殊な検査が必要で、その診断に基づいてのみ治療薬(中枢神経刺激薬)が処方されます。うつ病や更年期が原因と考えられる場合には、精神科、産婦人科を受診の上、状態に応じた治療を受ければ症状が改善する可能性があります。
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まとめ

寝ても寝ても眠いというのはとてもつらいものです。可能な限り生活習慣を改善し、質のよい睡眠をとりましょう。日常生活でできる対処法を試しても眠気の改善が見られない場合は、早めに医師に相談しましょう。
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※掲載内容は執筆時点での情報です。
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石飛 信 医師
執筆・監修者プロフィールはこちら2003年福井大学医学部卒。福井大学神経科精神科助教を経て、2013年国立精神・神経医療研究センター 思春期精神保健研究室長。2020年よりありまこうげんホスピタル診療部長。現在、主に精神科救急医療に従事。専門は児童...

















