目次
キンダベート軟膏[ステロイド塗り薬]とは?
ステロイドは元々体の中で作られている物質で、体内にある副腎皮質という場所では複数のホルモン(副腎皮質ホルモン)が作られています。
その中の一つに「糖質コルチコイド」があります。これを元に合成した薬をステロイド剤と呼んでいます。ちなみに、スポーツ選手のドーピング問題に出てくるのは蛋白同化ステロイドと呼ばれるもので、糖質コルチコイドとは別物です。
糖質コルチコイドも蛋白同化ステロイドもどちらも単に「ステロイド」と呼ばれることが多いので紛らわしいのですが、医療の世界でステロイドと言えば「糖質コルチコイド」を指します。
今回の記事でも、これ以降はステロイド=糖質コルチコイドとします。
成分と作用・効能効果

キンダベート軟膏に含まれる有効成分は「クロベタゾン酪酸エステル」という物質でステロイド剤の一種です。
ステロイドには、炎症を抑える作用(抗炎症作用)や血管の拡張を抑える作用(血管収縮作用)、過剰な免疫反応を抑える作用(免疫抑制作用)を持っています。ステロイド塗り薬はこれらの作用により、皮膚の炎症を抑え、発疹や発赤、かゆみなどに対して効果を発揮します。
医療保険の中で、キンダベート軟膏は、「アトピー性皮膚炎(乳幼児湿疹を含む)」、「顔面、頸部、腋窩、陰部における湿疹・皮膚炎」に対して使用することが認められています。
ステロイドの強さの位置付け

ステロイド塗り薬はその強さによって5段階に分類されています。その分類は、作用の強いものから順に、
Ⅰ群:strongest(最強)
Ⅱ群:very strong(とても強い)
Ⅲ群:strong(強い)
Ⅳ群:medium(普通)
Ⅴ群:weak(弱い)
となっています。
人間の皮膚は部位により厚さが異なります。そのため、ステロイド外用剤の吸収も部位によって異なります。(肘の内側と他の部位の吸収を比較した場合、手の平は0.8倍、首は6倍、頬は13倍)
また、皮膚の厚さは年齢によっても異なります。どのランクのステロイド塗り薬を使用するかは、症状だけでなく、使用する部位や年齢も考慮して決められます。
キンダベート軟膏は、Ⅳ群:medium(普通)に分類されています。
キンダベート軟膏と同じ強さのステロイドとその違い

キンダベート軟膏をはじめとする、Ⅳ群:medium(普通)に分類されるステロイド塗り薬を並べてみます。
・キンダベート0.05%(クロベタゾン酪酸エステル)
※ジェネリック:キングローン、キンダロン、クロベタポロン、パルデス
・アルメタ0.1%(アルクロメタゾンプロピオン酸エステル)
※ジェネリック:タルメア、ビトラ
・リドメックスコーワ0.3%(プレドニゾロン吉草酸エステル酢酸エステル)
※ジェネリック:スピラゾン、ユーメトン
・レダコート0.1%(トリアムシノロンアセトニド)
※ジェネリック:トリシノロン、ノギロン
・ロコイド0.1%(ヒドロコルチゾン酪酸エステル)
※ジェネリック:アボコート
成分は異なりますが、全てⅣ群:medium(普通)に分類される比較的作用が穏やかなステロイド塗り薬になります。
違いとしては、まず、発売している会社が異なります。次に、医療保険で認められている効能・効果が異なるため、診断された病名によって使用できる薬剤が変わってきます。
ですが、炎症を抑える作用自体には大きな違いはないと考えてもらって問題ありません。
キンダベート軟膏の正しい使い方
アトピー性皮膚炎に使用する場合、0.5g(チューブによっても異なりますが成人の人差し指の先端から第一関節まで出した量)を手の平2枚分の面積に塗布するように指示されることが多いです。
よく塗り薬を刷り込むように塗布する人がいますが、皮膚を擦ることで返って炎症を悪化させてしまうことがあるので、優しく塗布するようにしてください。
キンダベート軟膏で起こりうる副作用

ステロイドというと副作用が怖いというイメージを持つ方は少なくありません。ですが、副作用に注意が必要となるのは大量・広範囲への使用、長期の使用、密封法(ODT)を行なった場合がほとんどです。
起こりうる副作用としては、ステロイドによるニキビ、皮膚炎、皮膚の萎縮、多毛、色素脱失などです。Ⅳ群であるキンダベートでは極めて起こりにくいですが、長期に渡って広範囲に塗布をしている場合、体内への吸収が上がってしまい、その反動で人間が必要とするステロイドを体内で十分に作れなくなってしまう可能性があります。
一般的な使用で注意して欲しいのは、目の周囲や瞼への使用です。ステロイドが目に作用することで眼圧が上昇し、緑内障を引き起こしたり、白内障を起こすこともあります。
また、免疫抑制作用を持っているため、感染症による炎症(水虫、ヘルペス、化膿性疾患等)に使用することで感染を悪化させてしまうことがあります(感染症に対する薬剤と組み合わせて使用する場合は別です)。なので、安易な自己判断で使用を開始するのは禁物です。
キンダベート軟膏と同じ成分の市販薬について
ただ、同じⅣ群のリドメックスコーワ軟膏やロコイド軟膏と同じ成分のものについては市販されています。
ロコイド軟膏と同じ成分の市販薬

ただし、ロコイド軟膏にはヒドロコルチゾン酪酸エステルが0.1%含まれていますが、市販薬に含まれている成分濃度が少なく違うため、全く同じというわけではありませんのでご注意ください。
次のような市販薬があります。
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キンダベート軟膏に関するよくある相談

ここからは薬局でよく聞かれる質問についてまとめていこうと思います。
顔に塗っても大丈夫?
ですので、顔のような皮膚の薄い部位に対しても使用されることが多いです。
ですが、自己判断で使用してもいいという意味ではなく、あくまでも医師の診察のもとで処方されたのであれば大丈夫ということです。
長く使っていると副作用が出る?
皮膚の薄い部分への使用や塗布した部位を密封するような使い方であればさらに起こりやすくなってしまいます。慢性的な症状などではその限りではないので、診断ごとの医師や薬剤師の指示通りで問題ありません。
一般的な目安を挙げるとすれば、基本的にはステロイド剤の使用は2週間以内と考えてください。
キンダベート軟膏はニキビにも使う?
炎症には違いないのでステロイド塗り薬を使用することで改善することもあるかもしれませんが、免疫を低下させることで原因菌の繁殖を促してしまい、返って悪化してしまう可能性もあります。
医師の診察のもとでニキビの治療を行いながら合わせてステロイドを使用することはありますが、自己判断での使用は避けるようにしましょう。
化粧をする場合は、どう気をつければ良い?
化粧をする場合なので、もちろん顔に塗布するケースだと思います。ですので、化粧を落とし、入浴後に塗布してもらえればと思います。
化粧水は?と質問されることも多いのですが、これについて色々な考えがあるかと思いますが、個人的には化粧水の後にステロイド塗り薬を使用することをおすすめしています。理由としては、ステロイド塗り薬を使用した後に化粧水を塗布することで、患部以外にもステロイド塗り薬が広がってしまうのを防ぐためです。
赤ちゃんへの使用について知りたい
ですので、成人に使用する場合よりも1ランク低いステロイド塗り薬を選択することが多いです。
そういう意味では、キンダベート軟膏はⅣ群で作用が穏やかなため、赤ちゃんに対しても使用されることは多いステロイド塗り薬になります。実際に、医療保険でも「乳幼児湿疹」に対する使用が認められています。
おわりに

今回はステロイド塗り薬のキンダベート軟膏についてまとめてみました。
ステロイド外用剤の中でも作用が穏やかな部類になるため、顔や子供の皮膚のような敏感な部分にも比較的安心して使用することが可能です。
ですが、長期の使用や、大量・広範囲の使用になると副作用が出やすくなってしまいます。ステロイド剤は効果的な反面、使用できないケースや注意が必要なケースも多く存在するので、必ず医師の診察を受け、医師や薬剤師の指示通りに使用するようにしてください。
参考文献
・1. キンダベート軟膏 添付文書 グラクソ・スミスクライン株式会社
・2. Feldmann RJ, et al., J. Invest. Dermatol., 48, 181-3, 1967
※掲載内容は執筆時点での情報です。
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ぺんぎん薬剤師 薬剤師
執筆・監修者プロフィールはこちら「薬剤師の脳みそ」というブログを運営しています。薬剤師は町の身近な研究者。健康や医療・薬に関する様々な情報を突き詰めて、使いこなしていきたいと思っています。薬や薬局での仕事に関する情報を通じて、薬や薬剤師...























