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アトピー性皮膚炎とは
アトピー性皮膚炎とはかゆみをともなう湿疹が、良くなったり、悪くなったりすることをくりかえす慢性の皮膚疾患です。
一般的に乳幼児期や小児期に発症する方が多く、成長と共に患者数は徐々に減少していきます。中には成人型のアトピー性皮膚炎に進んでしまう方や、成人期にはじめて発症する方もいると考えられています。

特徴
どの年齢のアトピー性皮膚炎にも該当する特徴をまとめると以下のようになります。- 左右対称性に湿疹が分布する
- 症状が良くなったり悪くなったりを繰り返す
- 「アトピー素因」を持つ方も多い
症状
上記の特徴に加えて、一般的な皮膚症状について具体例を以下のようにまとめました。心当たりのある方もいらっしゃるのではないでしょうか? これらを総合的に判断してアトピー性皮膚炎と診断していきます。- 痒みを伴う湿疹
- 急性期は紅斑(赤み)、ぶつぶつした丘疹、ジュクジュク
- 慢性期は苔癬化(ゴワゴワした皮膚の変化)
- 重症では痒疹(かゆみの強い丘疹が多発)
- 湿疹を繰り返す場所は茶色い色素沈着
- 全体的に肌は乾燥しがち
- 新旧の皮膚症状が混ざる
- 顔面の重症例では眼症状の合併症もある

年齢ごとの特徴と好発部位
様々な皮膚症状がありますが、年齢によって、湿疹が出やすい部位や湿疹の特徴が少し異なります。これが、同じ子どもでも年齢によって皮膚症状が変化してきたり、親子でも皮膚症状の見た目が違ったりする大きな理由です。
子ども(小児)の場合
アトピーと言えば子どもの皮膚症状を思い浮かべる方も多いでしょう。具体的なメカニズムは解明されていませんが、2歳頃を境にして心身の成長と共にアトピーの特徴も変化していきます。小児期のアトピーは10歳までに7割が寛解し、大人になるにつれ難治性が高くなるとされています。
小児期は治療の反応が良好なことが多く、アトピー性皮膚炎の治療において重要な機会です。すべての特徴が1人の子どもに当てはあるわけではありませんが、ぜひ参考にしてみてください。
- 痒みは我慢できずに引っかく
- 関節の内側に湿疹ができやすい
- 全体的に乾燥肌
- 伝染性軟属腫(水いぼ)や伝染性膿痂疹(とびひ)を合併することがある
- 頬・額・頭の乾燥や赤みから始まることが多い
- 顔全体や首・脇・肘の内側・膝の裏側のジュクジュクした湿疹
- 腹まわりや胸、背中、手足にも紅斑や丘疹が広がる
- かゆみが強い場合は引っかいて「ジュクジュク⇔かさぶた」を繰り返す

■幼児期・学童期(2~12歳)
- 首・脇・肘の内側、膝の裏側、手首、足首などの関節部の湿疹
- 背中や腹は乾燥して鳥肌のような見た目
- 繰り返し引っかくため「ジュクジュク・出血⇔かさぶた」を繰り返す
- 重症では顔・腕・太もも・すねにも皮膚症状が拡大
- 苔癬化したり、痒疹結節が出てきたりすることもある


関係していると考えられています。
もともとの体質によりますが、乳幼児期は成長につれて様々なアレルギー疾患が出たり消えたりすることがあり(「アレルギーマーチ」と呼ばれます)、その疾患の中に、アトピー性皮膚炎や気管支喘息があります。
アトピー性皮膚炎は皮膚に炎症が起こる病気、気管支喘息は気道(空気の通り道)に炎症がおこる病気で、外の世界と接する部分に炎症が起こっている点が共通しています。片方だけ発症することもあれば両方とも発症することもあります。いずれも早期に医療機関でしっかりと症状をコントロールしてもらうことが重要です。
大人の場合
大人のアトピー性皮膚炎を発症時期で分けると、①幼少期に発症して思春期以降も症状が残る場合、②学童期に症状がなくなったものの成人後に再度アトピーの症状が出てくる場合、③成人以降にはじめて発症する場合、の3タイプがあります。発症タイプにかかわらず思春期以降の皮膚症状には一定の特徴がありますのでご紹介します。なお、大人の場合はほかの疾患(特に皮膚リンパ腫といった皮膚がんの一種など)の可能性がないか、より慎重に見極める必要があります。今までと違う皮膚症状が出てきた場合は医療機関で相談しましょう。
- 上半身に皮膚症状が強い傾向
- 全体的に肌がカサカサ
- 精神的ストレスが悪化因子となることも多い
- 顔、首、胸、背中などに皮疹が出やすい
- 顔に強く症状が出るタイプもある
- 痒みの強い丘疹が腹まわりや背中、腕、太もも~すねに多発する痒疹タイプもある
- 全身に拡大した紅皮症(全体的に紅斑が広がる)タイプもある

原因
アトピー性皮膚炎に関しては全世界で研究が盛んに行われていますが、残念ながら全容の解明には至っていません。原因も1つではなく、様々な要因が複雑に絡み合っていると考えられています。ここでは今のところ分かっている範囲で、体質的な要因と環境的な要因に分けてまとめていきます。
体質的な要因
トピー性皮膚炎の患者さんの多くが「アトピー素因」と呼ばれる体質であると言われています。アトピー素因とは肌のバリア機能がそもそも低下していることと免疫が通常よりも強く働いてしまうことを言います。■アトピー素因
- 肌のバリア機能が低い
- 肌の水分保持能が低い
- 免疫が過剰に働きやすい

■かゆみのサイクル
アトピー性皮膚炎の皮膚では少しの刺激で炎症を起こし、かゆみを感じやすくなっています。無意識のうちに引っかいてしまい、それが刺激になってまた炎症がひどくなってしまうという、悪循環に陥ってしまいます。

■保湿
アトピーの方は生まれつき肌が弱いと考えられています。もう少し詳しい表現にしますと「皮膚(特に一番外側の角層)の構造が弱く、皮膚に必要な水分を維持しにくくなり、外からの刺激に影響を受けやすい」という体質で、
肌が乾燥しがち(ドライスキン)になり、日常的な刺激でも皮膚に炎症が起こってしまいます。このため、アトピーで保湿剤を使用したケアが推奨されています。
保湿剤を使用することで、皮膚の水分量を保ったり、外部からの刺激やアレルゲンの侵入を防ぐことで、炎症の再燃を予防することができます。皮膚のバリア機能を回復・維持することでかゆみの抑制につながります。毎日継続して保湿を行うことが大切です。

環境的な要因
直接肌に触れる刺激に弱いという体質のため、生活環境によっては皮膚症状が一気に悪化してしまうことがあります。日常生活で肌につける化粧品や洗浄剤などの刺激物、温度や湿度の急激な変化、日々の精神的ストレスの積み重ね、風邪などの体調不良でもかゆみが増してしまいます。かゆくて引っかくと湿疹が拡大したり悪化したりするので、ご自身の生活環境を思い返して何が刺激になっているのか洗い出すのも大切です。肌にとって優しい環境を整えてあげましょう。
アトピー性皮膚炎に関するQ&A
それではアトピー性皮膚炎に関してよくある疑問点について回答していきます。日ごろの悩み事を解消できれば幸いです。

偏った食事では体調不良になりアトピーの皮膚症状も悪くなることが多いので、栄養バランスの良い食事を適量摂取することを心がけると良いでしょう。




また補助的に漢方薬を使うこともありますが、皮膚の炎症を抑える一般的な治療も同時に行い、まずは症状を抑えていくのが一般的です。漢方薬を試したい場合は主治医とご相談ください。


8〜9歳では半数程度が、16歳以降では9割程度が自然寛解するという報告があります。また、適切な治療とスキンケアを行うと、反応が良いことが多いのも小児期のアトピーの特徴の一つです。しかし、自然に治ることを期待して皮膚症状がひどいまま放置してしまうと寛解に至らず長引いてしまいがちです。医療機関で適切な治療を受けることが重要です。なお、寛解に到達しても保湿などの肌ケアは続けた方が良いでしょう。



まとめ
アトピー性皮膚炎の年齢別の皮膚症状の特徴や原因について解説していきました。成長に伴って皮膚症状の出やすい部位が変わったり、症状の見た目も違ったりすることをご理解いただけましたでしょうか?
アトピー性皮膚炎は近年劇的に研究が進んでいる領域です。それに伴い治療選択肢も増えてきています。一昔前に諦めて通院をやめてしまった方も、再度治療にチャレンジしてもいいかもしれませんね。
まずはきちんと診断をつけることからスタートし、上手にアトピー性皮膚炎と向き合っていきましょう。
※掲載内容は執筆時点での情報です。
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大泊 香 医師
執筆・監修者プロフィールはこちら医師。2013年卒、初期臨床研修を修了後、大学病院での皮膚科研修で研鑽を積み、大学の関連病院皮膚科で勤務。2019年からは大学院に進学し、皮膚科疾患の研究を行うかたわら、派遣先のクリニックで多くの患者と向き合う。

















