1.ヘモリンドとは?

1-1. ヘモリンドの作用と効果

扶桑薬品が痔の治療薬として臨床開発した、病院の処方箋が無ければ入手できないヘモリンガルという医療用医薬品があります。

 

その薬の発見は、ある臓器の病気を、その同じ臓器を酵素的に分解して得たポリペプチド(タンパク質の分解物)で治療できるという現象に端を発してます。腸の病気を研究していた際に偶然、狙っていた腸の病気にではなく痔に効果があることを突き止めて痔の静脈血管叢分解物からヘモリンガルの発見に至っています。

市販薬ヘモリンドは、扶桑薬品からヘモリンガルを市販薬として販売する権利を得た小林製薬が出している薬です。ヘモリンドはドラッグストアや薬店で購入できる薬です。

 

医療用医薬品のヘモリンガルでは臨床試験を含む様々な研究が積み重ねられていますので、まずはこちらについて説明していきます。動物実験による作用メカニズムとして、微小循環系におけるうっ血改善作用、炎症や浮腫の治癒作用と傷を治りやすくする作用が認められています。組織がうっ血すると血液循環が悪化するため栄養不足で機能しなくなり、最終的には壊死を起こします。

 

うっ血を改善しようと生体はアドレナリンによって血圧を上げて血流を促します。ヘモリンガルはアドレナリンの血圧上昇作用を増強します。炎症が起きると組織が赤く腫れたりしますがヘモリンガルは、その症状を改善することや、損傷を受けた腸粘膜組織を治癒することも分かっています。

 

人に対する臨床試験では痔核(イボ痔)が肛門の外側にできた外痔核の患者と肛門の内側にできた内痔核の患者で効果が調べられています。ヘモリンガルを服薬した患者と偽薬(プラセボ)を服薬した患者で、服薬3~4日後と7日後に効果が判定されています。内痔核が中等度に改善した割合は、服薬3~4日後でヘモリンガル26.4%、プラセボ21.8%でしたが、7日後にはヘモリンガル63.6%、プラセボ42.9%と、ヘモリンガル服薬7日後に内痔核患者の症状改善効果が確認されています。外痔核の中等度改善の割合は、3~4日後でヘモリンガル21.2%、プラセボ20.4%でしたが、7日後ではヘモリンガル60.7%、プラセボ38.5%と、やはり7日後に効果が認められました。

 

ヘモリンガルを服薬しない患者(プラセボ)でも治癒する有効率が増加するのは、痔が自然治癒した患者がいることを示しています。その他に日本国内で57試験の報告があり(総患者数1,507名)、服薬7日後より14日後の方でより有効率が上回り、平均して内痔核と外痔核ともに70~80%の有効率となる結果でした。これらの結果をもとにヘモリンガルの効能として痔核(イボ痔)の出血、痛み、腫れ、かゆみを治すこととあります。市販薬ヘモリンドでは内痔核と外痔核の症状を治すことを効能としています。

 

人や動物、植物などの生命機能を担っているタンパク質はアミノ酸が100個程度繋がったペプチドと呼ばれるものが複数集まった構造のポリペプチドから出来ています。ヘモリンガルやヘモリンドは多くのポリペプチドから出来ている静脈血管叢エキスを主成分とする薬です。

1-2. ヘモリンドの使い方

医療用医薬品のヘモリンガルでは、静脈血管叢として1回0.18mgを1日3回、舌下投与することとしています。この量と回数は臨床試験結果からイボ痔に効果のある用量用法として確認されています。

 

またヘモリンガルは粘膜吸収しないと効果が無い事も研究から分かっているため舌の下に薬を入れて口の粘膜から吸収するように服薬します。飲み込まないようにしなければなりません。

 

市販薬ヘモリンドでは空腹時に舌の下で自然に溶かして粘膜吸収させるとあります。口の中で粘膜吸収させる薬では服薬5~10分間は、吸収を妨げる食べ物や飲み物を口に入れないで服薬する必要があるので、「空腹時」の服薬は適切な指示かもしれません。

 

一方でヘモリンドの用量は下表のように症状によって細かく分類されていますが、医療用医薬品ヘモリンガルの研究結果からは、その根拠は分かりません。

 

症状の名称

1回量

服用回数

急性症

2錠

1日4回

一般症状

1錠

1日3回

慢性症

第1日 1錠

1日4回

第2日 2錠

1日3回

第3日以降 1~2錠

1日3回

 

症状の名称

症状

急性症

激しい痛みと、出血、腫れ、かゆみ、違和感等を伴う症状

一般症状

急性症の激しい痛みが緩和された後の排便時の痛み、出血、腫れ、かゆみ、違和感等を伴う症状

慢性症

長期にわたり、排便時の痛み、出血、腫れ、かゆみ、違和感等を伴う症状

ヘモリンド1錠中には、静脈血管叢エキスが0.18mg含まれているので、ヘモリンドの一般症状に対する服薬量が医療用医薬品ヘモリンガルの服薬量に相当します。

 

また市販薬ヘモリンドは15歳未満では服薬禁止となってますが、医療用医薬品ヘモリンガルでは服薬に年齢制限は設けていません。市販薬ヘモリンドには医療用医薬品ヘモリンガルの研究から得られた知見からでは用法用量に説明できない相違があります。

 

1-3. ヘモリンドの副作用と注意点

医療用医薬品ヘモリンガルの臨床試験結果からは副作用として下表の結果が報告されており、これらの症状が認められた場合は服薬を中止するように記載されています。

 

 

頻度0.1%未満

頻度不明

過敏症

掻痒感(かゆみ)、発疹等

 

消化器

悪心、食欲不振、下痢、胃部不快感、腹部膨満感

軟便

 

市販薬ヘモリンドの添付文書では、以下の副作用が認められた場合は服薬を中止するように記載されており、この内容は医療用医薬品ヘモリンガルの臨床試験によって確認された副作用情報と口内炎以外は同じだと考えられます。市販薬ヘモリンドの副作用として口内炎が挙げられている根拠は、医療用医薬品ヘモリンガルの臨床試験結果からは分かりません。

関係部位

症状

皮膚

発疹・発赤、かゆみ

消化器

食欲不振、吐き気、嘔吐、口内炎等の症状、腹部膨満感

 

2.ヘモリンドに関するQ&A

販売元の小林製薬に寄せられたヘモリンドの関する質問に対して、独自の見解で回答させていただきます。

2-1. どのくらい使用したら効果が現れますか?

医療用医薬品ヘモリンガルの臨床試験結果では服薬3~4日後では効果が認められず、7日後に肛門の外側と内側のイボ痔それぞれに効果が確認されています。ヘモリンガルと同成分としているヘモリンドも服薬7日後以降に効果が期待されます。

 

2-2. 肛門の内側にあるイボ痔への効果はどのようなことで分かりますか?

医療用医薬品ヘモリンガルの臨床試験において、効果判定はイボ痔の縮小や消失、出血、痛みなどで行っています。ヘモリンドの内側にあるイボ痔への効果として肛門内のイボ痔の存在感が感じられるようでしたら、その感覚が消えていくことや出血や痛みがある場合は、それらの症状が軽減することで確認できます。

 

2-3. 何故、飲み込まずに舌の下で溶かすのですか?

医療用医薬品ヘモリンガルの基礎研究結果からは、臓器を酵素分解したエキスは粘膜吸収によって効果が発揮し、飲み込んでしまうと効果が出ない、またはむしろ症状が悪化することが分かっています。口の粘膜から吸収させないと効果が得られない薬ですので舌の下で全部溶かしてください。

 

3.終わりに

今回は薬の添付文書とインタビューフォーム、今日の治療薬2019を参考に市販薬ヘモリンドの効果について、まとめてみました。市販薬ヘモリンドは医療用医薬品ヘモリンガルの市販品として販売されていますが、用法用量で異なる点があります。薬の説明書をよく読み、副作用などに注意しながら使用してください。