1.腎臓病の食事で最も注意すべきはタンパク質

腎臓病の人が食事で気を付けるべき最大の点は「タンパク質」です。

タンパク質は代謝の過程で尿素やクレアチニンと言った物質に変化します。これらの物質は腎臓から尿としてしか排泄できません。タンパク質の摂取量が多いと尿素やクレアチンも増え、その分腎臓に負担がかかってしまいます。

タンパク質は筋肉や血液、ホルモンなど身体の部品となる重要な栄養素です。タンパク質やタンパク質を構成するアミノ酸は体内で作り出せないため、必ず食事から摂取する必要があります。しかし、腎臓病を治療するためには食事からタンパク質を摂取する量を減らす必要があります。

2.腎臓病の食事で適切なタンパク質摂取量は?

タンパク質の代謝物は腎臓に負担を掛けます。しかし全く摂取しないというわけにもいきません。人体はタンパク質の摂取量が極端に不足してしまうと、筋肉を分解してタンパク質として利用してしまいます。その代謝の過程で老廃物が発生し、腎臓に負担をかけてしまいます。

タンパク質の摂取量は腎臓病の種類や進行度合いによって異なりますが、およそ体重1kgあたり0.6gから1gの間に収まります。GFR(糸球体ろ過量)が45から59の間にあるステージ3bの慢性腎臓病の人は1日のタンパク質の摂取量を体重1kgあたり0.6-0.8gに制限します。

 

<慢性腎臓病のステージ>

GFR(糸球体ろ過量) によるステージ

重症度

ステージ1 (GFR>90)

正常または高値

ステージ2 (GFR 60~89)

正常または軽度低下

ステージ3a (GFR 45~59)

軽度~中等度低下

ステージ3b (GFR 30~44)

中等度~高度低下

ステージ4 (GFR 15~29)

高度低下

ステージ5 (GFR<15) 5D

末期腎不全(ESKD)

タンパク質だけではなく、エネルギー摂取量も気にする必要があります。
エネルギー摂取量が不足すると、足りない分を補うために筋肉などからタンパク質が分解されます。この場合でも代謝物として尿素やクレアチニンが作られ、腎臓の負担になります。適切なエネルギー量はBMIが22のときの標準体重をもとに計算されます。

標準体重=身長×身長×22

で例えば身長170cmの人の場合の標準体重は1.7×1.7×22≒63.5となります。そこにさらに35を掛けたものが適正なエネルギー量となります。ただし年齢や体重によっては上下します。

3.カリウム、ナトリウムの過剰摂取に注意!

3-1. ナトリウムの制限

腎臓は、ナトリウムを排泄する重要な器官です。しかし、腎臓病を発症するとナトリウムを排泄する機能も低下するため、塩分を過剰に摂取すると体内にナトリウムが残ってしまいます。ナトリウムが体内で多くなると浮腫(むくみ)や高血圧の原因となり、全身の様々な部位で不調が現れます。また高血圧は腎臓病の症状を進めてしまうため、負の相関関係があります。

腎臓病でも高血圧でも治療のためにはナトリウムを制限する必要があります。現在、厚生労働省では1日当たりの塩分の摂取量を男性8g、女性7gとしています。しかし、腎臓病と高血圧を予防・治療するためには1日6g未満を目標とし、できれば3-6g程度にすることが重要です。

塩分を制限すると最初のうちは味が薄く感じ物足りないと思いますが、出汁や柑橘類、香辛料などを使って味にバリエーションを持たせましょう。

3-2. カリウムの制限

カリウムも腎臓によって排泄されます。腎機能が低下してカリウムが排泄されなくなると血液中のカリウム濃度が高まり、高カリウム血症の危険性が高まります。高カリウム血症は最悪の場合、不整脈から心停止を引き起こすことがあるため、とても怖い病気です。

慢性腎臓病の場合はステージによってカリウムを制限するかどうかが、制限する場合はどの程度かが決まります。ステージ3bから1日2000mg以下のカリウムの制限がはじまりステージ4を超えると1日の摂取量は1500mg以下となります。

4.まとめ

腎臓病の治療や進行を遅らせるためには「食事療法」が重要です。

特にタンパク質はクレアチニンや尿素など腎臓でしか排泄できない代謝物を体内で作るため、制限が必要になります。タンパク質の制限量は腎臓病の種類や進行度合いにもよって異なるため、医師の指導をしっかりと受けることが必要です。

その他、ナトリウムやカリウムの過剰摂取も腎臓の負担になってしまうため、摂取制限が必要です。特にナトリウムは高血圧の原因となり、高血圧は腎臓病の悪化の原因となるため、日ごろから意識して摂取量を減らすようにしましょう。