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【皮膚科医が解説】アトピー性皮膚炎治療薬「デュピクセント」の効果・副作用

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2023/10/5
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アトピー性皮膚炎はかゆみを伴う湿疹が慢性的に出現する病気です。
アトピー性皮膚炎の方の肌はバリア機能が低下していることが多く、そのため少ない刺激でも湿疹を形成し難治化してしまうという特徴があります。小児期に発症し、小児のうちに寛解となる方も多くいらっしゃいますが、成人期まで症状が続いてしまう方もいます。近年アトピー性皮膚炎のさまざまな治療が研究されており、その中の一つがデュピクセントです。この記事では、そのデュピクセントに関して紹介します。

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デュピクセントとは


医師

藤田 悠花さんのコメント

デュピクセントは既存の治療でもコントロールが困難で、良い効果を得られなかったアトピー性皮膚炎の患者様に対して使用する薬です。

そして高い効果等が示されているため、しっかりステロイドの塗り薬などを使用していても、湿疹やそかゆみが出現してしまう方にとっては、さらなる治療の選択肢となりまえます。

アトピーの治療方の歴史



アトピー性皮膚炎に対するステロイド外用は1950年ごろから行われていましたが、厚生労働省からガイドラインが発表されステロイド外用が標準治療として行われるようになりました。

また同時期よりステロイド内服も治療法に加えられています。その後、ステロイドではない免疫抑制作用のある外用薬が登場し、2005年には紫外線療法、2010年には経口の免疫抑制剤が適応になりました。そして2018年にデュピクセントが新しく使用できるようになり現在に至ります。

作用する仕組み



アトピー性皮膚炎では、主にT細胞というリンパ球の影響が大きいとされています。

そのT細胞からさまざまなサイトカインという皮膚に炎症を起こすタンパク質の一種が放出されることで皮膚のバリア機能の低下や、皮膚内の炎症が励起され、それにより、皮膚に湿疹が起こるとされています。デュピクセントはそのサイトカインのうちのIL-4とIL-13を阻害することで、炎症を抑制し、湿疹の発生や増悪・かゆみを抑制します。

デュピクセントの有効性

成人で病歴が3年以上ある中等症以上のアトピー性皮膚炎の患者に対して、ステロイド外用とデュピクセントを併用した治療とステロイド外用のみの治療を比較した国際共同試験が行われました。その試験で、デュピクセントを使用した群が使用していない群と比べて皮疹の面積や重症度、掻痒感の50%を超える改善を認めており、有効性が確認されています。


デュピクセントの治療方法


デュピクセントの特徴や有効性に関して紹介しました。ここからは、デュピクセントの具体的な使用方法や使用ができる方、使用はできるが注意が必要な方などに関して紹介します。

投与方法



デュピクセントは注射薬で、皮下に注射を行います。1本300mgで、2週間おきに注射を行います。最初の1回は600mg(2本)の注射を行い、2回目以降は300mg(1本)となります。

注射する部位は二の腕やお腹、太ももです。初回と2回目は病院で注射を行う必要がありますが、自己注射の指導を受ければその後は自宅で注射を行うことができるため、2週間おきに通院する必要はなくなります。

治療可能な方

デュピクセントが使用可能な方は、15歳以上でアトピー性皮膚炎と診断されており、かつステロイド外用やその他の免疫抑制効果のある外用剤を6ヶ月以上使用しても改善があまりみられない方となります。

また、副作用などの問題でこれらの外用薬が使用できない方も対象となります。外用薬でコントロールができる方はデュピクセントを使用することはできません。それ以外の飲み薬や紫外線治療が有効である方も、デュピクセントの対象外になることがあります。

投与に注意が必要な方

デュピクセント投与に注意が必要な方は、喘息などその他のアレルギー疾患を持っている方や寄生虫感染症をお持ちの方となります。デュピクセントはアトピー以外のアレルギー疾患にも効果がありますが、アトピーの症状のみで判断してデュピクセントを中止した場合、それ以外の症状が急に悪化する可能性があります。また、寄生虫感染のある方はデュピクセント投与で症状が悪化する可能性があり、同じく注意が必要です。


従来のアトピー治療との違い


医師

藤田 悠花さんのコメント

デュピクセントの具体的な使用方法などに関して紹介しました。ここからは、デュピクセントが今までのアトピー性皮膚炎の治療方法と何が違っているのかに関して解説します。

作用の違い



標準治療であるステロイド外用は、皮膚のバリア機能低下に対する皮膚保護や起こってしまった表皮の炎症を抑える治療です。しかしデュピクセントはそれらを起こす炎症性サイトカイン自体を抑制します。

そのため、ステロイド外用は起こった炎症やバリア機能を治す治療であるのに対して、デュピクセントは症状を起こす根本を抑制し症状を起こさないようにする治療となっています。

使用方法の違い

今までのアトピー性皮膚炎の治療が塗り薬や飲み薬であったのに対して、デュピクセントは注射薬であることが今までの治療法との大きな違いです。

飲み薬の場合は毎日の内服が必要ですが、デュピクセントの場合は2週間に1度の注射となるため、回数面での負担は少なくなるでしょう。(初回と2回目の注射は病院で施行しないといけないですが、その後は自己注射も可能となります。)

そのため、薬を飲むことをついつい忘れてしまいがちな方などには適している治療法だと思われます。

副作用の違い

今までステロイド外用でコントロールが難しかったアトピー性皮膚炎に対して、免疫を抑える飲み薬を使用していましたが、感染症にかかりやすくなるなどの副作用が多くなるため元々の病気などの兼ね合いで使用できない方もいらっしゃいました。しかし、デュピクセントはそれらの免疫抑制剤と比較すると感染症などを起こしにくいとされているため、比較的使用しやすい薬剤となっています。

デュピクセント特有の副作用に結膜炎がありますが、結膜炎を経験したという報告は少なく、現時点では起こる可能性が低いとされています。

『デュピクセント』に関するQ&A


Q&A

デュピクセントに関して紹介しました。新しい薬のため、あまり馴染みがない方がほとんどだと思います。ここからはデュピクセントに関して、患者様からよく聞く質問に対して答えていきます。

費用はいくらくらいかかりますか?
薬剤のみの値段は1本で約58,000円です。3割負担の保険の方の場合、1本あたり約17,000円程度となります。初回は2本必要になるため、2倍の値段がかかります。また、これに加えて診察費が必要になります。費用が高額になるため、医療費控除の使用や自己注射を導入した場合は高額療養費制度の使用が可能になる可能性があり、適用になった場合は費用負担が軽減されます。高額療養費制度は年収により、還付される金額が異なります。
何回注射すれば良くなりますか?いつまで注射を続けなければいけませんか?
多くの患者さんが1回目や2回目の注射でかゆみの軽減や、皮疹の改善などの効果を実感されている印象です。
すぐに効果が実感できなかった方でも、使用していくにつれて症状の改善を得られている場合がほとんどです。いつまで注射を継続するかという点に関しては、まずは半年程度注射を継続してもらいます。そして、その後症状を見つつステロイド外用のみでコントロールできるかどうかを検討し、可能であれば中止します。
打ちたい時にすぐ打てますか?
デュピクセントはアトピー性皮膚炎の診断がなされていて、既存の治療を6ヶ月行っても皮疹の改善が乏しい方にのみ適応があります。そのため初診の場合は、今までの治療経過の確認などが必要になるため投与はできません。一番早くて次回受診からとなるでしょう。また、薬剤は冷凍保存されているため、使用する前に45分間の解凍が必要です。飛び込みで受診した場合、解凍中は待機となるため事前に予約しましょう。

まとめ




アトピー性皮膚炎の新しい薬剤であるデュピクセントを紹介しました。効果も高く、他の免疫抑制剤と比較すると副作用も少ないため新しい治療の選択肢としてはとてもいいものであると思います。

値段が高いため、どうしても金銭的な負担が大きくなってしまいますが、その分かゆみや皮疹に悩まされることのない日常を送れる可能性があります。今までの治療で改善がない方は、一度お近くの皮膚科に相談してみてください。

※掲載内容は執筆時点での情報です。

  • 藤田 悠花 医師

    執筆・監修者

    国公立大学医学部医学科卒業後、急性期総合病院で研修し現在皮膚科診療を主に行っている。

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