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ヘルパンギーナとは
5類感染症定点把握疾患に定められており、厚生労働省が監視対象としている感染症のひとつです。感染者の多くは5歳以下の子どもで、1歳児の割合が最も高いことがわかっています。
ヘルパンギーナの主な症状

ヘルパンギーナは、感染から数日後に急に高熱が出ることが特徴です。熱はたいてい39〜40℃に達し、1〜3日程度続きます。発熱とほぼ同時に、のどの奥や上あごの粘膜に小さな水ぶくれができることが多く、それが破れると浅い潰瘍(かいよう)になり、強い痛みを引き起こします。のどの痛みのために食事や飲み物を嫌がるようになり、乳幼児では機嫌が悪くなったり、哺乳を嫌がったりすることも少なくありません。
水分が取れなくなると脱水症状を起こすことがあるため注意が必要です。また、発熱に伴って熱性けいれんが起こることもあります。ごくまれに髄膜炎や心筋炎といった重い合併症を起こすことも報告されています。
ヘルパンギーナの原因と感染経路
ヘルパンギーナの原因は、エンテロウイルスという種類のウイルスで、なかでもコクサッキーウイルスA群が有名です。感染経路はいくつかあり、咳やくしゃみによる飛沫、ウイルスがついた手や物、便を介して口に入ることで人から人へとうつります。発症後しばらくは体内のウイルス量が多く、感染させやすい状態です。症状が治まった後も、しばらくは便からウイルスが出ることがあるため、手洗いやおむつ交換後の清潔を心がけましょう。
こんなときは病院へ
ヘルパンギーナは多くの場合、数日で自然に回復しますが、注意が必要なケースもあります。たとえば、熱がなかなか下がらない、何度も吐く、水分がとれないなどの症状があるときは、早めに医療機関を受診しましょう。また、けいれんを起こしたり、元気がなくぐったりしている様子が見られたりした場合もすみやかな受診が必要です。
『ヘルパンギーナ』『子ども』に関するQ&A

幼稚園や保育園でヘルパンギーナが流行していると、不安に感じる方もいらっしゃるでしょう。
ここからはヘルパンギーナに関するよくある質問に回答します。

とくに流行しやすい夏の時期は、帰宅後の手洗いやおもちゃの消毒を丁寧に行いましょう。飛沫によってうつることもあるため、咳やくしゃみが出る場合はマスクを着用して感染を広げないように努めましょう。




<主な症状>
ヘルパンギーナ:高熱、のどの強い痛み、口の中に小さな水ぶくれ
手足口病:微熱または平熱、口の中・手のひら・足に水ぶくれ状の発疹
プール熱:高熱、のどの痛み、目の充血・かゆみ・目やに
<発疹の特徴>
ヘルパンギーナ:口の奥に1~2mmの小さな水ぶくれができ、つぶれると強い痛みが出る
手足口病:口・手・足を中心に2~3mmの発疹が現れ、かゆみは少ない
プール熱:発疹はほとんど見られない
<発熱の傾向>
ヘルパンギーナ:39~40℃の高熱が2~4日続く
手足口病:熱が出ないことも多く、出ても微熱程度で短期間
プール熱:38~39℃の高熱が4〜5日と比較的長く続く

まとめ

ヘルパンギーナは、夏に子どもを中心に流行するウイルス性の咽頭炎です。突然の高熱やのどの痛み、小さな水ぶくれが口の中に現れるのが特徴で、多くは数日で回復します。
ただし、水分がとれない、熱が長引く、けいれんや嘔吐が続くといった場合には早めの受診が必要です。
原因となるウイルスには複数の型があるため、繰り返しかかることもあります。手足口病やプール熱と症状が似ているため、症状の違いを把握しておくと良いでしょう。ワクチンはなく、特別な治療法もないため、こまめな手洗いや咳エチケットなど、日頃の感染予防を徹底しましょう。
※掲載内容は執筆時点での情報です。